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プロの仕事

信頼できる美容師さんに巡り合えたら、できるだけ長くお世話になりたいと思っている。
初めての美容院に入るときの緊張度が高すぎるので、なるべくあれを味わいたくない。

いま通っている美容師さん、多くを言わなくても希望を汲み取ってくれるセンスの良さがあり長く通っているのだけど、最近勤め始めたアシスタントの方がどうにも悩ましい。
まず、その人は髪が腰くらいまで長いのだけど、汚い。
え?美容院に勤めているのに?何の手入れもしてないの?というくらいパサパサでバサバサ。
デパコスの美容部員さんの肌が汚いと何の説得力もないのと同じ。
最初会ったとき「よく採用されたな」と思っちゃった。
それ以上に悪いのが、髪の扱いが雑なこと。
美容院というのは、髪型がどうのこうのの前に癒されに行くと思っているので、髪を雑に扱われるのは耐え難い。
その人がシャンプー担当になってから、カラーをしたあと頭が痒くなるようになった。

「流し足りないところはありませんか」って聞かれて、「ここをもう少し」と私はなかなか言えない。
遠慮というより、プロの仕事にケチつけたくない。
流し足りないと相手に思わせるような仕事をするわけないよな?あぁ?と思っている。
プロなのだから。

だいたい、その人が担当するまで「洗い足りない」「流し足りない」経験をしたことがなかった。
いつもきれいさっぱり、洗いあがった~って満足感しかなかったのに、その人は後頭部をちゃんと洗ってくれない。
確かに洗いにくい、洗いにくいけど、そこをどうにかするのがプロ。
実際、みんなちゃんと洗ってくれてたんだし。

それでも、一度はお伝えした。
「襟足のあたりをもう少し流していただけると嬉しいんですけど…」
そのときは流してくれた。
でも次に行ったらまた雑な洗い方に戻っていた。
「あ、この人シャンプーのことで文句言った人だ」ってインプットされませんかね、フツー。

そのアシスタントさんにシャンプーされるのが嫌で、一度その美容院を離れた。でも、次に行った美容師さんが合わなくて、「シャンプーさえ我慢すればいいか」と出戻ることにした。そのときにまたお伝えした、しっかりめに流していただきたい、痒くなるから、と。

でも、まったく改善されない。
「ちゃんと流せや!足りないんじゃコラ!」って伝えるのも結構勇気のいること。
そのなけなしの勇気を振り絞った結果、今までと同じって、どゆこと?

流し足りないという私の感覚の問題だけならまだよかった。
痒くなるのはさすがにね、癒しとか以前の問題。
カラー剤が合わない可能性もあるし、と思って、カラーだけ別に美容院に通い始めた。

美容院って、なんとなくカットが華というか、美容師としてのセンスの発揮のしどころはカットなのでは?と思っていたんだけど、カラー専門の美容師さんに話を聞いたら、やっぱりそこにもプロがいた。

その人は前は20席あるくらいの大きな美容院で働いていたんだけど、腰を痛めて歩けなくなり、3年くらい寝たきりの生活になってしまったんだそう。
手術やらリハビリで歩けるようになったとき、いまのカラー専門店で声をかけてもらったと。
カラーは腰に負担がかからないというのもあるけど、もともとカラーが好きで、お客さんの髪の色から、カラー剤を乗せた後のことを考えて配合して、仕上がりが思ったとおりになったときの達成感が何物にも代えがたい、と話してくれて、やっぱりプロの話は惚れ惚れする。
その人は今も足のしびれが完全にはよくなっていなくて、装具をつけてお仕事されているんだけど、てきぱきとして丁寧な仕事ぶりだ。

2か所の美容院に通うなんて時間の浪費も甚だしいし、元々の美容院で全部済めばいいのに、というのは今でも思っている。
素敵なカラー専門の美容師さんに出会えたけれど、だからよかったというのも違う。
美容院に行くと、いつもプロの仕事というものについて考える。




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