仕事とロボコン、それぞれの経験が相乗効果を生む。会社での新しいチャレンジで学生が得たこととは
New Innovations で働くNHK学生ロボコン経験者に、自身が好きなものづくりの領域や企業で働くことで変化した考え方、卒業後のキャリアについてインタビューしました。
得意領域での実力発揮や技術への好奇心が、ものづくりの原動力に
——まず、みなさんがロボコンで担当してきたことについて教えてください
美添 : 2022年のLAGORIでは機体の自己位置推定と動的経路計画、2023年のCasting Flowers over Angkor Watではチーム内ライブラリの開発と操縦用Androidアプリケーションを担当しました。現在は今年のHarvest Dayに向けて鋭意活動中です。
齋藤 : 東海地区交流ロボコン2023では、トロコイド歯車を使った4輪独立ステアリング機構の設計と全体統合設計を担当しました。現在は、NHK学生ロボコン2024に向けて機体設計を担当しています。
河間 : NHK学生ロボコン2021の投壺で、4輪独立ステアリング機構の制御と経路追従、矢の投擲機構の制御を担当しました。
吉田 : 主に回路領域の担当で、既存基板の改善設計やメンバーの教育などの長期的にチームを強化するための基礎づくりをしていました。
——みなさんが開発において得意だな、好きだなと感じる領域を教えてください
美添:新しい技術を吸収して、アウトプットするのが好きです。飽きっぽいことの裏返しかもしれません。開発においてはアプリケーションのような比較的高めのレイヤーが得意です。
齋藤:頭の中にイメージしたものをそのままCADに起こすのが得意で、いろいろなパーツを毎日作っています。本格的に設計を始めたのは大学から。CADはNew Innovations に入ってからきちんと教わって、今ではほぼ毎日ゲーム感覚で触ってますね。気分が乗ってきたら朝までやっちゃうこともあります(笑)
河間:強いとか得意な領域はあまりないかもしれません。ロボコンでは人が足りてない部分があれば、初心者ながらも突っ込んでいくタイプなんです。一番経験が長いのは、マイコン内のシーケンスとシステムの実装、モーターの制御といったミドル領域です。
吉田:得意な領域って難しいですよね。わたしは「この大会で1位をとりたい」という目標に向かって開発に取り組んでいます。そのために、タイミングに応じて必要なスキルを選択してやっているイメージです。誰かの役に立っていたり、「すごい!」って言われることは正直うれしいし、気持ちがいいので、その感覚がやめられなくてものづくりをしていますね。
美添:私も自分の得意分野が発揮されている瞬間を見るのは楽しいです。ただ、どちらからというと「技術が好き」という側面が強いかもしれません。
河間:私も技術を極めたい想いが強いかもしれないですね。私の原動力は好奇心と闘争心。そして、全力の戦いがしたいと思っています。限界ギリギリ、勝つか負けるかの勝負に自分の力を叩きつけたいですね。
——ロボコンではどんなことに苦労しましたか
吉田:大学に入る前は一人か二人の超少人数でやっていましたが、人が増えてチームになったことで、人とのコミュニケーションを大切にする必要が出てきました。一人でもくもくとやっているだけだとチームが全く進まない。周りの人たちを巻き込みながらやっていくのが大事だと気が付きました。どうしたらいいのか研究して修正してきたのが、今にも活きている気がします。
美添:チームの作られた経緯にもよると思いますが、基本的にはモチベーションが高く、優秀な人が集まるので、温度感の差はそこまでないのではと思います。ただ、ロボコンに出ることが好きで勝ちたいと思っている人と、ロボコンに向けた開発が好きで要素技術をやりたいと思っている人がいるので、方向性の違いみたいなものは生じます。
斎藤:あとは、作るロボットが大きくなると、どうしても人数を集める必要があります。そうなると、一人がダウンしてもプロジェクトが続いていくことが集団開発においては大事です。サークルだと他にもやりたいことがあるなど、割ける時間にばらつきが出ますが、New Innovations では仕事としてやるので、そういうことが生じないのは心地よいですね。
河間:早稲田は経験者や高専生が入ってこないですし、ロボット製作は大変なのに、どんなに頑張っても基本的に大学の単位として認定されません。勉強もロボコンも頑張りたいと思って入ってきても両立できる人はなかなかいないので、その時点でハードルが高い環境ではありました。
モチベーションが高い人でないと続けにくいし、そういうことを理解したうえで、メンバーの教育やモチベーション管理ができているチームは少ないと思います。
齋藤:ロボコンはサークル活動なので、メンバーによって優先度が異なることに最初はやるせない気持ちを感じたことは私もあります。根本的な解決ではありませんが、可能な範囲でできるだけ面白いことをしていきたいと考えることで、あまり気にならなくなりました。
会社という新しい環境へのチャレンジで変化した考え方
——New Innovations で働いてみて、これまでのものづくりやロボコンとの違い、面白さはどんな時に感じますか?
吉田:ロボコンでは自分の所属するコミュニティに交流が閉じてしまいがちなのですが、New Innovations にはいろいろなロボコン出身者がいて、ものづくりに対する多種多様な思想を取り入れることができます。
美添:やっぱり育っていく環境が同じだと、大体同じような考え方になるんだと思います。こうやって文化の違いを感じられて面白いです。
河間:root C の場合、整備のために機械の中に人が立ち入ることがあるので、安全への意識レベルの高さは今までになかった観点ですね。
齋藤:技術を突き詰めていくのはロボコンに近い開発スタイルですが、食品を扱っていること、一般の人でも取り扱えることを考えて設計するのは大きな違いだと思います。
あとは、今まで板金をやったことはなかったのですが、加工方法がリッチになっていろいろ試せるようになったのは純粋に楽しいですね。
齋藤:大学に入ってからは回路やソフトといった専門性が上がって、さらに締め切りも意識するようになりました。ここはNew Innovations も同じで、大学の延長線上にある部分なのかなと思います。
——ロボコンと仕事で似ているところ、仕事を通じて学んだことの中でロボコンの課題解決に活かせたことはありますか。
斎藤:戦略ありきの開発をするという点で、ロボコンと仕事は似ていると思います。ロボコンは限られた時間とリソースのなかで、他チームの過去の実績を見ながら、時にはルールをハックしたりして、どう勝ち抜いていくのかをかなり精巧に考えていました。この心理戦がすごく楽しかったりもします。
河間:NHKロボコンの際、メンバー間で技術力とモチベーションの大きな差がありました。その時は技術力のある数人だけで主要な開発を全て行いましたが、もやもやしてしまいました。その点、New Innovations では全員技術力もモチベーションも高いので、同じような悩みを感じたことがなく、すごく良い環境だと強く感じます。
また、RoboMasterではソフトウェアが属人化しがちだったこともあり、書いた人以外が読めない・編集できないという状況が多くあり、課題を感じていました。
そこでNew Innovations でも活用しているUMLという、ソフトウェアの設計と実装を切り分けて開発を行える設計ツールを、RoboMasterでのソフトウェア開発にも導入し始めました。会社と同じように、うまく複数人で同じソフトウェアを開発できるようにしていきたいです。
美添:仕事と聞くと、一般的にはつらくて大変と思われることが多いような気がしますが、これをなんとかして楽しくしてやろうという姿勢を中尾さんから感じています。ロボコンでも、できるだけメンバーが楽しく活動して、終わったあとに「やってよかった」と思ってもらえるように動きたいと考えるようになりました。
齋藤:New Innovations でのミーティングの形式をロボコンチームでも採用し、無駄な時間を削減し現在のところうまくいっています。Slackの使い方も真似していて、楽しく開発できるようにチャンネルを作ったり、スタンプを作ったりして雰囲気作りをしています。
どんなに大変な経験をしても、なくなることはないものづくりへの想い
——企業でのものづくりだからこそ大変だな、難しいなと感じることはありますか
河間:報連相がしっかりできないといけないことです。その中でも言語化と報告範囲の難しさを感じます。
ロボコンでは、結果さえ出せればあまり何も言わないし言われないことが多かったです。
しかし、仕事の場合は思い付きを試す前に内容や方法を相談する必要があり、アイデアを言語化することが難しいです。
これらを解決するためには、逃げずに訓練して報連相の能力を身に付けることが必須だなと思います。
美添:ロボコンは人件費ゼロなので時間を使って解決することもあります。一方、会社は自分の時間に人件費がかかるので、意思決定の際に自分の工数を考えなければならず、少し難しさを感じます。既存のものをうまく使うなど、最小限の時間で最大の価値を生み出せるように意識しています。
齋藤:コスト、耐久性や製造性、組み立てやすさ、使いやすさ、安全性など考えるべきことが多く、自分にはまだ経験が足りないと痛感することが多くあります。より良い設計ができるように経験を積んでいきたいです。
——今後の目標や卒業後のキャリアなど、何かやりたいことがあれば教えてください。
河間:自分のチームはまだ、中国・深センで開催される、RoboMasterの世界大会に行けていないんです。来年の8月には深センに行って、生で中国の強さを感じたいですし、海外チームの中で最強になりたいです。修士卒業後は博士課程に進学するつもりです。今のところものづくりから離れるつもりはないので、博士卒業後はメーカーに就職して技術者として働きたいと思っています。
吉田:留年は絶対に回避します(笑)!あとは学部生のうちにロボカップのSSLの世界大会で1位になりたいです。その後は、まだ学部2年生なので、あまり想像できないのですが、大学院修士課程で楽しく研究をしたいなと思っているくらいですかね。
ただ、高校2年生の頃にロボカップで辛い目にあって「もう二度とロボットなんて製作してやるか!」と思っていた時期があったにも関わらず、今ものづくりを楽しくやっているので、なんだかんだでずっとものづくりは行うだろうなと思っています。
美添:未来のことはまだあんまり考えられてないですね。好きなことを見つけて、それに一生懸命だったらいいなと思います。未来はコントロールできないので、チャンスが回ってきたら必ずつかみ取りたいです。大学院修士課程には進学するつもりですが、まだまだ判断するには情報量が足りないと思っていて、いろいろな経験をしていきたいですね。
ただ、ものを作って新たな価値を創造することがとても好きなので、なにかを作り続けるだろうなとは思っています。
齋藤:死ぬまでに何台ロボットを作れるのかと自分に問い続けているので、数年先はなんだかんだ学ロボをやっていると思います。その過程で、自分が作りたい!と思えるものを見つけたいです。
もちろん、研究も頑張りたいです。まだ学部2年なのでしっかりと考えられているわけではないのですが、いまNew Innovations でやっているように機械設計などでFAやロボットに関わる仕事につきたいなとも思います。
美添:中尾さんと働いてみて、楽しさや想いを大事にしてることが一番の衝撃で、影響を受けたことでした。いつも楽しそうに話していて、将来に対して熱意や希望を持っています。大学では話さないような特許の話、経営の話などもフランクに教えてくれるので、こういう人と働いてみたいなと思うきっかけになったかもしれません。同世代だというのも刺激になります。
吉田:みんながそうやって熱中できる好きなものを見つけてくれたら嬉しいし、自分たちもそういう人と一緒にものづくりをしたいですね。
New Innovations は、OMO領域における技術者及び事業企画を積極採用しています。人型ロボットをはじめ様々な開発に携わってきたシニアエンジニアや、幼少期からロボット製作に携わり国内外のロボットコンテストで優勝した若手人財まで、幅広いメンバーが活躍している開発組織です。少しでも興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。
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