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タイ旅行の代償

私の友達の話ep2
倫太郎は大手通信会社に勤め、『頭角を表したよ』
と、聞いたのはコンパ仲間の友人のケイタから。 
『あいつ、すごいよ。もう西日本で新人をまとめるグループマネージャーになって、任されているらしいよ』

それから飛ぶ鳥を落とす勢いで、西日本からあり得ない、異色の東日本に栄転となったのだ。
入社3年目
西日本から東日本に行くだけでも絶対ないと言われているのに、それを易々とやってのけた。
当初から『俺はトップを目指す』と豪語していた倫太郎。
『流石だな』とみんなで話をしていた。
そんな倫太郎は東日本に行く前に、西日本勤務で最後の休みを使い旅に出た。

東南アジアをめぐる旅は最後の目的地”タイ”に行き着いた。

そこである事件は起こった。

東南アジアで安い宿に泊まり、色んな外人と出会いそしてさまざまなことにチャレンジした。
マリファナを渡され、タイの奥地で葉っぱを吸いながら帰路に帰る途中に
ヒッチハイクをした。

大型トラックの荷台にはたくさんのタイ人が露天商や、農夫が乗り込み、タイのバンコク行きにみんながその荷台に乗り込んでぎゅうぎゅう詰めになりながら座っていた。

ほろ酔い気分の倫太郎はゆらゆら揺られながら、ラリっていた。

その時事件は起こった。
トラックが大きな路肩にある石を乗り上げたのだ。
運転席は大きく揺れ、そのはずみで荷台は大きくバウンドした。

運転席とは真逆に座っていた倫太郎。
乗り上げていることも知らず、ラリっていた。
その瞬間荷台は大きくドカーンっと地面にバウンドした。

何が起こったかわからず、安全靴を履いていた倫太郎。
あぐらをかいて座っていたのも束の間、自分の安全靴の踵の一番硬い部分が
自身の〇タマを大きく蹴ってしまった。
全体重が○タマに乗ったのだ。 しかも片方だけの

『いっっっっっっ痛ーいい!!!』と大声で叫ぶも、周囲はわからない。
『痛い痛い』とノタウチ回った。
右に左に転がり、あそこを押さえ『痛い、痛い』と涙が出た。

ようやくその涙の様子を見て、只事でないと周りが判断して運転手を止めた。
みるみるタヌキの睾丸か!!!というくらい(タヌキは見たことがないが)
膨れ上がり、履いていたチノパンツがパンパンに膨れ上がった。


それを見た荷台の人たちが悲鳴を上げた
『うわー』
『ぎょえー』

倫太郎は痛みにノタウチ周りながら、『俺が一番痛いねん!!!』と叫んでいた。
運転手はそのままタイ市内の病院に走ってくれた。

痛みに悶え、もう死ぬかと思っていた。
『痛い、痛い、痛い、痛い』

病院に到着。すぐにタンカーで救急室に運ばれた。
股間を見るなり、看護婦も医者も全員が叫んだ『ウォー』
すぐに処置した。

結果、2つある睾丸は一つになった。 
一個潰れていたのだ。。。。。

看護婦が手術後の処置に来るなり、『プッ』っと笑っていた。
それを見て『笑うなよ!』と日本語で言ったが、全く通じなかった。

この事件で帰る日は遅れていた。
ようやく歩けるようになり、病院にある公衆電話に向かった。

西日本の課長に連絡した。
『あの、西本です。』
『お!!西本生きとったか?お前 インドネシアに行って誘拐でもされたかと心配してたんやぞ!』
『実は俺、ここだけの話にしてください。 ○玉が一個潰れたんです』
『え!!!!何 ○玉が潰れた!!!!!!???』
『あ、課長、周りにいっぱいいますよね。小さい声でお願いします。そうなんです。自分の踵で蹴ってしまい、一個潰してしまって入院してるんです』

『え??何??○玉が??か??』
『だから課長大きいんで声が、そうです○玉が潰れんたんです。』
『何?○玉が一個潰れたのか?』
『そうです。(もう無理やみんなに聞こえてる。。)』

倫太郎は課長が大声で叫ぶ傍ら諦めた。
これで会社に戻ったらどんな目で見られるんやろうか?と。

案の定2週間入院して、会社に戻った。
大手通信会社の社員数は半端ない。
受付の子が倫太郎を見る目が ”奇異の目”になっていた。
(あなたが○玉を一個無くした西本さんね)という目に皆がなっていた。
部署に着くなり、全員が(一個無くした可哀想な西本くん)という目で見ていた。

課長が『大丈夫やったか西本!!』と叫んだ
だから倫太郎は叫び返した。
『タマが一個でも生きていけるって俺証明しましたよ!!』

倫太郎の人生はタマが無くなったことにより、大きく動いたのかも知れない。
これは倫太郎の人生の序章すぎるほどの序章に過ぎないのだから。

#私の友だちの話 #友達#タイ#一人旅#無くしたもの

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