複々線からみる関西と関東
こんにちは。今日は複々線について関東と関西の特徴について私鉄に着目して、お話しようと思います。
そもそも複々線とはなんぞやという話ですが、平たく言えば、線路が四本あることをいいます。
上下線一本ずつある複線の倍、線路があるのでその分多くの列車が走れるので、人口と移動の多い大都市部でよくみられます。
関東と関西私鉄の複々線区間(私鉄)
まずはどのあたりに複々線区間があるのか見ていきます。
関東私鉄
・東武伊勢崎線
とうきょうスカイツリー(押上)~曳舟 1.3キロ
北千住~北越谷 18.9キロ
・東武東上線
和光市~志木 4.6キロ
・西武池袋線
練馬~石神井公園 4.6キロ
・京成本線
青砥~京成高砂 1.2キロ
・京王線
新宿~笹塚 3.6キロ
・小田急線
代々木上原~登戸 11.7キロ
・東急東横線
田園調布~日吉 5.4キロ
・東急田園都市線
二子玉川~溝の口 2.0キロ
・京急本線
金沢文庫~金沢八景 1.4キロ
・東京メトロ有楽町線+副都心線
小竹向原~池袋 3.0キロ
関西私鉄
・近鉄大阪線
大阪上本町~布施 4.1キロ
・南海本線
難波~岸里玉出 3.9キロ
岸里玉出~住ノ江 2.8キロ
・阪神本線+阪神なんば線
大物~尼崎 0.9キロ
・阪急神戸線+阪急宝塚線
大阪梅田~十三 2.4キロ ※3複線
・京阪本線
天満橋~寝屋川信号所(萱島から1.1キロ先)
12.6キロ
参考↓
関東私鉄と関西私鉄の複々線の特徴をみる
方向別か線路別か
関東は線路別複々線で乗り換えが不便で関西は方向別複々線で乗り換えが楽というのは関西、関東あるあるでよくある話ですが、これはあくまでもJRの話です。
私鉄をみると、関西にも線路別複々線はみられます。阪急線、南海の難波~岸里玉出、阪神線は線路別複々線で、それぞれ神戸線と宝塚線、京都線、南海本線と高野線、阪神本線と阪神なんば線という系統が走ります。
一方、関東での系統別複々線は有楽町線、伊勢崎線のとうきょうスカイツリー~曳舟、京王線です。これらの区間は2層構造だったり、若干離れた所をはしり、別路線のような感覚(とうきょうスカイツリー駅と押上駅、有楽町線と副都心線、京王線と京王新線)となるので複々線の実感が薄いです。
その他は方向別複々線です。
私鉄でみるとそこまで大きな地域差はありません。
緩急別か系統別か
方向別複々線であっても一方は○○線、もう一方は××線に行く列車が走るという事例もあります。
系統別に運行してる路線は関東だと小田急線、東武伊勢崎線「以外」が該当します。関西だと京阪線、南海本線岸里玉出以南以外は該当です。
小田急、東武伊勢崎線、京阪、南海の複々線は一方は各駅停車などの遅い列車が主に走る緩行線、一方は急行など速達列車が走る急行線でいわゆる緩急別で役割を果たしています。
東急田園都市線は二子新地、高津にはホームがない線路がありますし、南海本線も今宮戎、萩ノ茶屋、阪急線は中津にホームがありません。
しかし、東急田園都市線の複々線区間なら外側線は田園都市線、内側線は大井町線と路線系統ごとに走る線路がわかれています。
緩急別か系統別かについては、地域差というよりは複々線区間の長さにありそうです。緩急別の方式をとっている路線の多くは複々線区間の距離が10キロを超えます。
山手線や大阪環状線の接続駅や内側まで複々線区間が続くか?
関東の場合、京王線と有楽町線がそれぞれ新宿駅と池袋駅に接続しています。
ただこの2路線、先述のように別路線のように感じる印象は否めません。京王新宿駅と新線新宿駅、有楽町線池袋駅と新線(副都心線)池袋駅、それぞれ離れた所にあります
多くの路線は山手線接続駅まで複々線は続いていません。都心部は閑散としているのかというとそういう訳ではありません。
いわゆる郊外の駅で都心部や別のターミナル駅に接続する路線が新たに分岐しており、都心側の輸送力を維持しています。
比較的都心に近い所で分岐するとも限らず、東武東上線は埼玉県に入ってすぐの和光市駅と池袋から約12キロ離れた所から複々線区間が始まり、東武東上線の複々線区間は全て埼玉県内です。
多くの場合は分岐する支線側が地下鉄線へ直通しますが、東急田園都市線の場合、二子玉川で分岐する大井町線は地下鉄には入らず大井町駅が終点となり、田園都市線が地下鉄半蔵門線に直通します。
また、東急東横線は郊外よりの日吉駅で東急相鉄新横浜線へ、都心よりの田園調布駅で東急目黒線へ分岐があります。
京成本線も距離は短いですが、都心より、郊外より双方に複々線区間の両端で分岐しています。
関東で郊外側「のみ」で複々線の終端で分岐する路線は京急本線くらいです。
京急の複々線は横浜を過ぎた金沢文庫ー金沢八景の一駅だけ存在します。車庫も近接しており、金沢文庫から久里浜や逗子方面に向けての始発列車も存在し、複々線を活かしたダイヤが組まれています。京急の複々線区間は少し独特です。
関西の場合は阪神線以外は複々線区間が大阪環状線の駅まで続いています。
そして、阪急梅田駅や南海難波駅のような巨大な頭端式ホームに各路線がターミナル駅に集約されています。近鉄大阪上本町駅もかつては近鉄奈良線と大阪線両方の列車が地上ホームに発着していました。そして、郊外側の十三や岸里玉出、布施駅で各路線分岐していきます。
都心側で分岐する路線もあるにはありますが、南海汐見橋線(高野線)や京阪中之島線はあまり機能していません。複々線からの分岐というパターンで機能しているのは阪神なんば線くらいです。
東京は都心やターミナル、繁華街と言われるエリアが広く、大阪は狭いと言ってもいいでしょう。つまり、東京は土地も限られます。関西では複々線事業は昭和の時代に終わったのに対し、近年完了した小田急線の複々線化は2018年のことであり、計画から半世紀もかかりました。
また、大阪は郊外を走る私鉄と地下鉄直通が少なく、東京は私鉄と地下鉄直通が盛んに行われていたという背景も大きいでしょう。
関東は山手線の外側の郊外駅で他路線と合流して複々線になります。
関西は大阪環状線の内側、接続駅から複々線区間が始まり、郊外の駅で分岐して線路が減ります。
この部分は関西、関東で明確な違いがあると言えます。
まとめ
複々線の形態自体には関東、関西に大きな違いは見られませんでした。
しかし、路線図として見たとき、複々線がどこで始まり終わるのかに着目すると違いがありました。
今回はここまでですお読み頂きありがとうございました。