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中東問題最初の三冊
① 日本にも影響を与える中東情勢
『中東から世界が見える』(酒井啓子著)
著者は「イラクとアメリカ」(岩波新書)「移ろう中東、変わる日本 2012-2015」(みすず書房)で知られる中東問題の第一人者酒井啓子
イラク戦争(2003年)からアラブの春(2010年)までの流れを俯瞰しながら、この戦争がなぜ起こったのか、どのような影響をもたらしたのかを解説しています
本書は中学生向けに書かれたものですが、大人でも基礎知識の整理に役立つ一冊です
中東問題が日本でも重要度の高い問題であること
それは以下の3点に集約されます
石油資源と戦争の関係
イラク戦争は大量破壊兵器の存在を口実に始まりましたが、その背景には石油資源の確保という側面もありました
中東の石油は世界経済に直結しており、その動向は日本のエネルギー政策にも影響を与えていま。グローバル化がもたらした変化
インターネットや国際メディアの発展により、中東の情勢はより身近なものとなっています
イラク戦争を通じて、私たちは遠い国の出来事もリアルタイムで知ることができる時代に突入しました日本への影響:パンドラの箱が開いた
イラク戦争は、日本の外交・安全保障政策にも影響を与えました
自衛隊の派遣、経済制裁、国際協力の在り方など、日本が直面した課題について考察しています
② 9.11後の世界と現代の課題
『9.11後の現代史』(酒井啓子著)
テロ事件「9.11」は世界を大きく変えました
前述の『中東から世界が見える』の続編として読める本書、
2001年9月11日のテロがどのように世界情勢を動かし、現在の国際関係や難民問題にどのような影響を与えたのかを詳しく解説しています
9.11の影響とは?
テロとの戦いと国家の変化
9.11以降、世界中の国家が「テロとの戦い」を掲げ、軍事・外交政策が大きく変わりました
特にアメリカの対外政策が大きく変化し、イラク戦争、アフガニスタン戦争へと発展していきました難民問題の深刻化 中東やアフリカからの難民流入が増え、欧州を中心に社会問題となっています
9.11をきっかけに世界が「不寛容な時代」に入ったとされる背景について解説します9.11ネイティブ世代と以降の世代 2001年以降に生まれた世代にとって、9.11は歴史上の出来事に過ぎません
しかし、その影響は現在も続いており、SNSやメディアを通じて新たな形で世界の分断が進んでいます。
③ シリア情勢の現在:民主化と国際問題化
『シリア情勢』(青山弘之著)
シリアは日本から遠い国ですが、近年の内戦と混乱は国際社会に大きな影響を与えています
青山弘之氏の著書では、シリア情勢を5つの視点から整理し、現代の国際問題として理解するための重要な知識を提供しています
シリア情勢の5つのキーワード
民主化運動の行方
アラブの春の一環として始まった民主化運動ですが、シリアでは大規模な内戦へと発展しました政争化と権力闘争 アサド政権と反政府勢力の対立が激化し、シリア国内の政治対立は泥沼化しています
軍事化と紛争の長期化 国内の武力衝突が激化し、多くの市民が犠牲となっています
また、ロシアやアメリカなどの大国が介入し、戦争はより複雑化しています国際問題としてのシリア
難民問題、テロ組織の台頭など、シリア情勢は国際社会全体に影響を及ぼしていますアル=カーイダとテロの拡大
イスラム過激派組織の活動が活発化し、世界各地でのテロ事件につながる要因となっています
このように、シリアの問題は単なる国内問題にとどまらず、国際社会全体に影響を与えています
日本に住む私たちも、これらの動向を理解し、世界の動きを知ることが重要です
「新書白書」第1稿目は中東問題を考える三冊でした