人間関係でヘトヘトになったときは『フルーツバスケット』で涙活がおすすめ
私は「SHElikes」に入って学んでいます。もし、あなたも同じであれば、少なくとも1つの共通点があります。「SHEメイト」であることです。
私たちは、将来の夢や希望に胸を膨らませて、次への扉を開いた仲間です。今、立っているのは、「キャリアスクールコミュニティ」という場所。新しい出会いの予感にときめきますね。
ただし、気をつけたいことがあります。
環境を変える、人間関係を変える、自分を変える。ポジティブな行動を起こしているときでさえ、人は変化に対してストレスを感じる生き物です。
私のように、人前に出ると緊張してしまう人は、知らず知らずのうちに疲れを溜めているかもしれません。意識して、癒しの時間を確保したいものです。
そこで、私のバイブルであり、カタルシスを感じさせてくれる、とっておきのマンガをご紹介します。
『フルバ』の愛称で親しまれる全世界大ヒット少女マンガ
『フルーツバスケット』は、高屋奈月氏が『花とゆめ』(株式会社白泉社)にて、1998年から2006年まで連載していた少女マンガです。
全世界コミックス累計発行部数3000万部を突破しており、2008年には「もっとも売れている少女マンガ」として、ギネス世界記録にも認定されています。世界中で愛されているといっても、過言ではありません。かくいう私も、少女期を『フルバ』に支えてもらった1人です。
『フルーツバスケット』は、ヒロインである透が母親を亡くし、1人でテント暮らしをしている描写から始まります。彼女は、その敷地の持ち主である草摩家に居候することになり、一族を長い間苦しめている十二支の呪いを知ってしまいます。物の怪憑きと呼ばれる彼らとの交流を通して、時には傷つきながらも、幸せな毎日を送っていくのです。
『フルバ』の最大の魅力は、簡単にカテゴライズできないところにあると思っています。
愛蔵版第1巻の作品サイトでは、「大ヒット十二支ホームコメディ」と銘打たれています。しかし、繊細で内省的な心理描写が巧みであり、代表的なエピソードの中にはシリアスなものが多数あります。
それでいて、登場キャラクターたちが揃って美形、恋愛感情を相関図にまとめると好意的な矢印がたくさん出ているといった、安心の王道設定と展開。ほろりと泣ける場面でも、くすくすと笑えるような、ユーモア溢れるセリフに救われるときもあります。
心を揺さぶられる感動的なエピソードと唯一無二のセリフ
私と『フルバ』との出会いは、2001年にアニメを観たことがきっかけです。TVのチャンネルを変えていたら、偶然にも最終回の放送を見つけました。キャラクターも設定も知らないのに、印象的なセリフに感動して、号泣したのを覚えています。
原作マンガの虜となった10歳の私は、毎日のようにコミックス第1巻から6巻までを読み返しては、泣いてすっきりしていました。涙活の習慣化です。子どもの力ではどうにもならなかった出来事を、ただの過去へと浄化してくれたのは、他ならぬ『フルバ』の力なのです。
次第に、コミックス刊行を待ちきれず、隔週発売の『花とゆめ』を楽しみに生活するようになっていました。書店に並ぶ日には、学校から帰ったらすぐに、お小遣いを握りしめて駆け出したものです。
登場キャラクターごとにメイン回があり、ヒロインだけでなく、どの子たちも切ない想いを抱えながら生きていることが分かります。
親に捨てられた過去、学校に行けなくなってしまった現在、自由を奪われるであろう未来。思わず感情移入せずにはいられません。
私が座右の銘としている言葉も、このマンガで登場します。
『弱さ故の向上心』。見た目のことでいじめられ、不登校になった女の子が、再び教室に入ることを決意したときのモノローグです。
数多く登場する個性的なキャラクターたちの吸引力
エピソードだけでなく、キャラクターにも惹きつけられる魅力があります。
私のおすすめは、『マブダチトリオ』と呼ばれている、ヒロインたちより1世代上のお兄さんたちです。年下の子たちに見せる顔が、とても柔和で素敵です。トリオで集まっているときには、ダークな一面を垣間見せるので、ギャップがあります。それが、とても憎らしく、愛おしいのです。
3人とも、当時の私には想像もできないような、切ない恋愛を経験していました。それなのに、高校生であるヒロインたちの前では、おふざけをして遊んでいるチャーミングな大人として振る舞っています。私が大好きな『はとり』さんは、『紫呉』と『綾女』をクールにあしらい、時には冷ややかに怒っていましたが。いや、でも、それがいいのです。
高校生の時代から続くトラウマ、20代前半のどうにもならなかった恋慕。歳下の子たちを見守りながら、自分自身を省みている姿を見て、将来の自分の姿を思い浮かべました。歳を重ねていくということは、過去を昇華させていくことなのかもしれない、と。
残念ながら、20代の頃の私には、少女漫画の王道のような、心焦がされるような劇的な出会いはありませんでした。それでも、ヒロインたちにとっての『マブダチトリオ』の存在のように、私も誰かの支えになっているかもしれないと、強く生きていこうと心がけていました。
『フルバ』は、ただ一人と結ばれることだけで、幸せになれるわけではないのだと、辛く哀しい現実も教えてくれた気がします。人と人とを繋ぐ人、ほんの少しの勇気を与えられる人。ヒロインの透は、そういう優しくてしなやかな女の子です。いつまで経っても、私の心に居候していてほしい子です。
『フルバ』には、あなたの心を暖めてくれる子が必ずいると思います。王子様系、ツンデレ、クール、俺様、甘えん坊。主要なキャラクターだけでも、20人を超えます。それなのに、それぞれに個性的。読み進めるうちに、推しキャラが増えてしまうこと必至です。
「毒親」ブームになる前から、親子の愛憎を描いていた
登場キャラクターだけでなく、全体を通して存在する大きなテーマ自体にも、惹かれてやまない理由があるように感じられます。
血縁関係は、どんなに切りたくても、容易く切れるものではありません。それを、このマンガでは「呪い」とも「絆」とも表現してます。
ヒロインに留まらず、ヒロインの両親の出会いも描かれています。さらに、ヒロインたちの子世代の物語(『フルーツバスケット another』)が、スピンオフマンガとして連載され、完結を迎えています。
親との関係性に苦しんだキャラクターが、自らも親になっていく。その葛藤には、少女だった読者が大人の女性になっても、視点を変えながら共感することができるのです。
家庭の不和や崩壊の一方で、家族以外の人との強い結びつきが「信頼」、そして「愛情」へと育っていく過程は、希望に満ち溢れています。
新しい出会いが、煌めいて見える今だからこそ、あなたに『フルーツバスケット』をおすすめします。
家族や親戚、友人や知り合いとの既存の繋がりも、大切にしたい。「したい」ことが、「しなければならない」ことに変貌してしまう。そんなことは日常茶飯事です。
『フルバ』に泣かせてもらって、笑わせてもらって、自分を大切にしましょう。また元気になれたら、自然と誰かに会いたくなるはずです。