はじめての有形
私はずっと形ないものを売っていた。所謂無形営業出身である。
人材広告会社に勤めていたころ「広告はみずもんやからな」と
大好きだった上司がそう言った。
「あてにならんもんうってんねんから結果がどうであっても
〝しかたなし〟。それより次の手を考えながら動け」
といつもいつも教えられていた。
話は変わるがこの上司は「春と臓器以外はなんでも売ってええで」が口癖だった。なんちゅうことを言うねん。でもそんなところも私の自由にさせてくれている感じがして大好きだった。
人材広告屋ではあったけど、代理店要素も持っていたので、自社商品だけでなく幅広く提案できたのも「春と臓器以外」は提案できたからだった。
そしてそんな仕事の在り方は私にすごくあっていた。
ただ、ずっと形あるものは扱っていなかった。
むしろ形あるものをどうやって扱うのかが一切知らなかった。
時が経て。
キャリアコンサルタントとして、また講師として仕事をするようになり
ますます「無形」に拍車がかかっていった。
自分の脳みその中をどう伝えるのか。
いつもそれを大切にしていたかもしれない。
あと「自分」という存在をどう売るか。人気商売(自分をどう売るのかはある種有形営業かもしれないけど)
だけど先日。ついにMY AGENDA CARDの見本が納品された。
その時の喜びはすごかった。ちょっと娘を産んだ時に似てたかもしれないw
感動した。震えた。今もデスクの上で燦然と(見本なのに)輝いている。
こうしている今もちらりと横に目を走らせればMY AGENDA CARDは
ある。「おまえがつくったんだぞ!」そんな風に言われている気がする。
嬉しい。
しばらくは、この風景、MY AGENDA CARDの感触を楽しみたい。