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「結婚」という「安定への不可逆変化」
いつまで学生時代の夢を見ているんだ、と言われればそれまでなのだが、大学生活は間違いなく今の社会人生活より楽しかった。
寮という特殊な環境にいたこともあり、周りには常に人がいた。深夜に突発的にラーメンを食べに行ったり、朝4時からサッカーをしたり、徹夜で麻雀をしたりと、飽きない毎日だった。
周囲の環境と人間に本当に恵まれていた。
自分のやりたいことに共感してくれる人がいて、自分も誰かの誘いで何かをやることが本当に楽しかった。
仲の良い先輩はこれらのことをよく「ワクワク」と言っていた。感情の赴くままに、面白そうなことに向かって突き進んでいく。まさしく「ワクワク」が原動力だった。
社会人になると、もうそんな「ワクワク」することにはなかなか出会えない。
人生の大きな決断のひとつは結婚だろう。
結婚の向こう側に「ワクワク」は無いのだろうなと思う。
もちろん、結婚して楽しいこと面白いこと幸せを感じることはたくさんあるはずだ。
ただ、学生時代に経験した「ワクワク」とはベクトルが違うように感じる。
結婚すると、それ相応の立場と責任が生まれる。その立場を失うわけにはいかない。
例えば、仕事を辞めることなどもってのほかだろう。
ふらっと1年くらい海外を旅するなんてこともできない。
徹夜で麻雀することも難しい。
後先考えずに、ただ楽しい方に向かっていた「ワクワク」を追いかけることはもうできない。
ただ、それらを踏まえたうえでも結婚は素晴らしいものだと思う。
しかし、一度結婚してしまうとあの学生時代の「ワクワク」はもう一生自分の手を離れてしまうのではないかという怖さがある。
結婚してしまうとこちら側にはもう戻ってこれない。
それが本当に寂しい。
今の仕事を辞めたいとは思わない。
それなりにお金は貰えているし、やりがいも感じる。
ただ、例えば10年後の自分が何か別の「ワクワク」に魅力を感じていて、仕事を辞めることを考えている可能性は0ではない。
もしその時結婚をしていて、失うことのできない立場があった場合、その「ワクワク」には蓋をすることになるだろう。一生を捧げるべく結婚した相手を無下にすることはできない。
学生時代は「ワクワク」が原動力だった。そこから始まる行動で、色々な経験が出来たし、そのおかげで今の自分が形成されたと思っている。
それを否定せざるを得ない、結婚というものが自分にとってはあまりに大きな壁に感じる。
結婚は可逆変化ではない。不可逆的なのだ。
あの安定を求められる世界に行ってしまうと、もうこちらには戻ってこれないだろう。
万が一その時になったら離婚をすればいいのかもしれないが、離婚前提で結婚をするのは相手に失礼だ。その辺の誠実さはまだ持ち合わせている。バツがつくのは自分は構わないが相手にとっては当然嫌だろう。相手には相手の人生がある。
「ワクワク」という表現を教えてくれた先輩も今は一生懸命働いている。まだ結婚はしていないみたいだが。
学生時代を共に過ごした友人たちもいずれは結婚するのだろう。
自分だけがいつまでも「ワクワク」に幻想を抱いている。
結婚したくないわけではない。素敵だとは思う。
ただ、
あの時全身で享受していた、
自分の原動力だった、
純巣に楽しく面白かった
「ワクワク」を今後の人生で否定することが、自分にとってあまりにも痛い。