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2023年上半期ベスト本【アート編】
サイエンス編からの続き。
アート部門は本当に豊作で、5冊に絞るのは非常に心苦しい…でも、がんばって減らしました。なお、美術ではなく「Artificial=人が作ったもの」の意味とお考えいただければ。
無(最高の状態)
僕の精神的な支柱の一つに「禅」があって、自分では多少なりとも知ったつもりでいた。ただ、本書を読むと今まで感じられなかった脳科学・神経科学とのつながりや、仏教の他の経典とのつながりも見えてきて、今までにない腹落ち感があった。
個人的には、3月に少し体調を崩し、そして持ち直した後に本書を読んだのだけど…もっと早く読んでおくべきだったと思う。でも、いつだって知識なんて、失敗の後に得られるもの。もっと悪い状態にだってなりえたけど、そうならなかった。それだけでも、万々歳なんだろうな。
セックスロボットと人造肉 テクノロジーは性、食、生、死を“征服”できるか
本当なら、これはサイエンス部門に入れるべき本かもしれない。でも、本書で語られるものは、どれもひどく人工的で「作り物」感に溢れている。
決して拒否せず、ポルノと同様のプレイを受け入れてくれる「セックスロボット」。環境に負荷をかけず、おいしさと家畜を征服する充足感をくれる「人造肉」 etc.
まだ未熟なテクノロジーが持つグロテスクさと共に、著者はそこにシリコンバレーやテックベンチャー特有のうさんくささと、どうしようもない男性偏重のバイアスを見てとる。
正しい科学の使い方、正しいテクノロジーなんてない…分かっちゃいる、分かっちゃいるのだけど。でも、セックスロボットを作る暇があったら、女性に向き合うことをしたら?あるいは他者と向き合えない自分の内側と向き合うことをしたら?そんな風に考えてしまうのだ。
ピアニストになりたい! 19世紀 もうひとつの音楽史
歴史を勉強してもっとも面白いのは、現代に通じる何かを発見するとき。
本書は、19世紀の音楽史なんだけど、でもほぼ現代のビジネスに通じる全てが詰まっている。今僕が、ある意味自分自身のプロモーションのためにこの記事を書いているのだけど、こういった行為の源が19世紀のピアニストの中にも垣間見える。
入手困難な本かもしれないけど、古本や図書館で見つけたら、迷わず入手してほしい。
風俗で働いたら人生変わったwww
僕をこの業界に戻してくれた?本。風俗を使うことで救われた人も、そこで働くことに居場所を見つけた人もいる。そして、そうでない人も。
本書を読んだ後で、僕の人生は変わっただろうか?水嶋先生にもらった宿題を、僕はまだ考え続けている。
「できる」と「できない」の間の人
人は何だってできる…わけじゃない。誰もが「できる」ことと「できない」ことを持っていて、その狭間をふわふわ漂っている。でも、「できない」ことが沢山ある人もいるわけで…本書は、そういう方によって書かれた本。
でも、人間の魅力ってなんだろう?人と人をつなげるものってなんだろう?と考えると、それは「できない」ことであったり「弱さ」であったり、そしてそれに向き合い続けることだったりする。多分、そんな風に自分自身の弱さに向き合い続けることが「強さ」なんだろう。
番外編
スミマセン、選外ですが、あまりに惜しい書をまとめて紹介!
会って、話すこと。――自分のことはしゃべらない。相手のことも聞き出さない。人生が変わるシンプルな会話術
60分で読めて、一生心に残る書。エッジの効いたユーモアも魅力。
パンツが見える。羞恥心の現代史
現代風俗史の金字塔。我々の常識が如何に変わりやすいか、そしてそのことを如何に忘れやすいかを教えてくれる。
哲学の女王たち
女性哲学者にスポットライトを当てた、そのコンセプトが素晴らしい。女性をエンパワーメントするってこういう事だと思う。
「わかりあえない」を越える――目の前のつながりから、共に未来をつくるコミュニケーション・NVC
NVCのコンセプト「会って、共感する」が僕の信条と完全に一致する。もっと深掘りしたい!
人生変わった?
ハイ、ご覧の通り非常に迷いながら選んだことが伝われば大変幸いでございます。いずれ劣らぬ良著だけど、でも、僕の人生の大きな転機は、やっぱり本だけじゃなくて実践が伴ってきたから訪れたのだと思う。
実りは、いつやってくるか分からない。幸運もそう。でも、幸運も実りも、見つけられるのは、探し続けている人だけ。受け取れるのはその準備をしている人だけ。
だから毎日、ちょっとずつでも、ね。