映画感想 ビーキーパー



 ジェイソン・ステイサムは象徴であり、記号であり、もはやブランドと言ってもいい。
 復讐に燃えるステイサムが、敵をスマートになぎ倒し続ける90分強。私なりに楽しんだので書いておこうと思う。

・ステイサム版ジョン・ウィック?

 アダム・クレイ(ジェイソンステイサム)はアメリカの片田舎で養蜂家として余生を過ごしていた。しかし、その恩人であるパーカー夫人が詐欺にあい自殺したことを知ると秘密結社の元エージェントの力を発揮して、主詐欺グループの一味に対して復讐を行なっていく。
 敵を倒していきながら、グループ組織のボスまでたどり着き○○の息子まで倒していく。
 愛犬を殺されてマフィアのボスを殺しに行く映画「ジョン・ウィック」と物語の骨格だけみれば同じなのだ。
 しかし、この作品にジョンウィック感はほとんどない。
 理由はもちろん、主演がステイサムだからである。
 ステイサムが死なないという観客の納得感(一種のブランド)を盾に、どんどん強い敵をおかわりしてくるのだ。インフレしていく敵を、ステイサムがちぎっては投げ、みたいな感覚で殺していくのでストレスフリー。
 この爽快さは、ステイサムのブランドと実力が醸し出す無敵感でしか成り立たないと思っているので、世界一かっこいいハゲ(57歳)におかれては今後も壮健であってほしい。

 ああ、ステイサムが強すぎるって?このジャンル(?)で突っ込むのは野暮でしょう。

・ステイサム以外

 タイトルが雑だけど、この映画ってそんな感じのバランスだと思う。
 まず、ジェレミーアイアンズがかっこいい。
 ハウスオブグッチで圧倒的なイケオジ役だったが、今回もイケオジであった。ああいうオジサンになりたいランキング、私的には断トツ1位である。
 まあ、元CIA長官感があるかというと、かっこよすぎて無いなって思ってしまうのだが。

 あと、監督のデヴィッドエアーは、エンドオブウォッチを撮るだけあって、銃器や軍組織への解像度が高かった。
 FBIの特殊部隊が着けていたプレキャリやヘルメットぐらいしか見てないが、たぶん実際の部隊と同じものを使ってる。
 演技面でも、中盤に登場するアメリカ陸海軍の特殊部隊員を集めたチームが、きちんと室内戦のトレーニングを積んでいる動きでとてもリアルだった。
 こういうリアリティとフィクション的面白さが、もっとうまく噛み合えば大ブレイクしそうだと思うのだが…。次回作も期待してます。

 ちなみに一番驚いたのは、詐欺事件って日本以外でも流行ってること。

・色々言いたいことはあるけどね

 この手の映画にいろいろケチをつけるのもあれなので1つだけ。
 復讐心を燃やす主人公を見せておいて、ビーキーパーとしての論理を出してくるのは、よく考えるとモヤモヤする。
 途中からなんとなく戦う理由がすり替わっているのがちょっと。 

・総括

 酒を飲みながら何も考えずに映画を見る。そういう日のための映画もあっていいじゃない。でも、真面目に見たら70点くらい。


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