SNS発展の背景は承認欲求ではない
(岡田先生の話の備忘録)
原始時代、子供のうちに半分程度死亡している。死因のほとんどは、殺害によるもの。
狩猟民族の頭蓋骨を調べたところ、成人の10-15%に左側に窪みがあった。つまり、右利きの人間によって石で殴られて殺害されたということ。狩猟民族内では、ハイスペックな人間しか生き残れないため、のろまな者・いるだけで皆がイライラするような者は人口の10-15%殺され、間引きをされながら人類は進化していった。
農耕時代、平和になるかと思いきや、殺される人間の割合は20%に増える。狩猟時代と異なり、集団で生活するようになったため。
人類の最大の死因は、人間関係のトラブル。子供は半数、大人も20%程度は仲間や家族によって殺されている。飢餓・伝染病・野生動物による被害ではなく、知り合いに殺される人数のほうがずっと多い。
嫌なやつは皆で殺すのが、人間の本能。自分ひとりで手を下してしまうと、集団の中で危険な人間とみなされてしまう。なので、言葉を持った人間は「なぜ、あいつを殺すべきか」を周りに伝えて、その噂を広めて、その準備をする。噂で誰を次に殺すべきなのかを決める。このような方法で、群れの中で邪魔な者を間引きしていった。
そんな世界では、誰かの悪い噂や自分がどう思われているのかという情報は、最重要
150-200人を最大値とするダンパー数の中で伸びてきた本能。我々の脳は、100万年の歴史の中で、150-200までしか群れとして認識できていない。SNSをまったく想定していない。出版が発展して、よその世界の話を聞いたり、SNSで自分がどう思われているかは脳は想定していない。
周りの人間にどう思われているか、周りの人間に自分の状況を伝える。これが一番大事だ。その対象は150人だと脳は思い込んでいる。SNSが登場した瞬間、脳はパニック。自己承認欲求は後付け。本来そこにあるのは、150人しかいない世界で、脳が本能的に一番これが大事だというプログラムが、いまだに最重要課題として動いているから。
「俺はこんな人間なんだ」、「あいつはどんな人間なんだ」、「こんなひどい人間は殺すべきかもな」と我々がかつて群れのなかでしていたのと同じ行動を無意識に延々と繰り返してしまう。
SNSで自分の状況を伝えること、他人の噂を知ることは、食欲や睡眠欲よりも上に来る。こんなごはんを食べている私を見て。あなたの群れの中で、私は値打ちがありますよね。と言わないと、命の危機を迎えてしまう。
殺されたくない、誰をころすべきかという本能が、人間をおしゃべりにして、噂好きにしている。食事や睡眠時間を削ってでも、噂話や自己アピールをする。ごはんそっちのけで、友達からLINEが来たら、すぐに返信をしなければならないと思ってしまう。つながり欲求は三大欲求より強い。芸能人の悪い噂をリツイートするだけで、脳のなかで報酬系ドーパミンがでてしまう。そして、相手が死ぬまで攻撃をやめることができないのも、人間の本能。
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