【思考】揺れて、立ち止まって、また歩く。
心はいつも、揺れている。
朝起きたときの天気、
誰かの一言、スマホの通知ひとつで
波打つように揺れる。
揺れずにいられる日なんて
ほとんどないのかもしれない。
でも決して
それが悪いわけじゃない。
風で揺れる木がしなやかで美しいように
揺れるからこそ人間らしい。
ただ、それに飲み込まれて
自分がどこに立っているのか
分からなくなるときがある。
そんなときに役立つのが
「メタ認知」というやつだ。
ちょっと難しそうな言葉だけど
簡単に言えば、
自分を少しだけ離れた場所から見る力。
たとえば焦っている自分に気づいて
「ああ、今焦ってるんだな」ってつぶやいてみる。
それだけで少し呼吸がしやすくなる気がする。
ニュートラルでいることは
感情をなくすことじゃない。
怒りや悲しみ、喜びや幸せ。
そんな感情をちゃんと感じながらも、
その中で溺れずに立っていられることだ。
でも、つい感情に引っ張られる。
イライラするときは
世界中が敵に見えてしまうし、
誰かに褒められるとつい自分が
すごい人間のような気がしてしまう。
ニュートラルでいるって、難しい。
でも、メタ認知能力を使えば
ほんの少しだけそれに近づける気がする。
「たとえば」を、紹介してみる。
① 心を言葉にしてみる
イライラすることがあったら
その理由を紙に書いてみる。
「今日は上司に文句を言われた」とか
「雨で服が濡れた」とか。
書いてみると自分がなにに
揺れているのかがはっきりしてくる。
ただ書くだけで
心の波が少し静かになることがある。
② 自分に問いかける
気持ちが落ち込んだり
自己否定が止まらなくなったら
こう聞いてみる。
「それって本当?」
「他の考え方もあるんじゃない?」
意外なことに、
たいていの悩みは絶対じゃない。
問いかけてみると
心にほんの少しスペースが生まれる。
③ 一日の終わりに自分を眺める
夜眠る前に、一日を思い返してみる。
「今日の自分は、
どんな一日を過ごしたのだろう」
自分を自分じゃない
誰かのように眺めてみると、
その日あった良いことや頑張った自分が
見えてくる。
生きている限り、感情は揺れる。
でも揺れながらもニュートラルでいることは
きっとできる。
それは心の海を漂う小舟の上で
地平線を見つめ続けるような感覚だ。
メタ認知能力はそんな揺れる心を
そっと支えてくれる道具だと思う。
今日も揺れ続ける心が、ほんの少し軽く、
柔らかく生きられますように。
そんな感じ。