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デジタルの未来を語る 「さあ、これからの話をしよう」〜宮村和実編〜

私たちネットイヤーグループが考えているデジタルの未来。その実現のために、特定分野で活躍し、後輩の育成など社を引っ張っていく社員のことを私たちは「リード職」と呼んでいます。今回は、ウェブマーケティング創世記ともいえる頃からUX(ユーザーエクスペリエンス)に取り組んでいる宮村和実。彼が語る未来とは何か、「さあ、これからの話をしよう。」

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IAからUXデザイナーへ。ユーザー視点がより重要に

こんにちは、宮村和実です。UXデザイナーとして、さまざまな大手企業と組んで、UXデザインプロセスを重視する案件をリードしてきました。今はその経験を活かして、UX人材育成も担当しています。

前の会社でウェブプランナーをしていた僕がネットイヤーグループに入社したのは、創立から2年後の2001年。それまでの経験と志向性から、「IA(インフォメーションアーキテクト)をやらないか」と声がかかったことがきっかけです。その頃、海外では多くのIAが活躍しはじめていましたが、日本ではほぼ知られていない職種でした。UXと情報デザインという領域に注力しながら、ウェブサイトの設計をする職種と知り、ぜひやってみたいと思いました。

当時の日本には、ウェブやデジタルでユーザー視点を重視するという考え方はほとんどありませんでした。ネットイヤーグループに依頼してくるクライアント企業は、ユーザビリティの重要性を理解しながらも、やり方がわからないという感じでしたね。でも、プロジェクトを進行するうちに、クライアント企業の理解は深まっていったと思います。

この後、ユーザビリティ向上という考え方だけでなく、ユーザー体験そのものをより良く変えるという本来の考え方が受け入れられるようになったことで、僕の職種はより理解しやすいUXデザイナーという名称に変わりました。やってきたことの根本は変わらないんですけれどね。

クライアントと共にUXを考える、共創型プロセスの増加

UXデザインの重要性が認識されたことで、プロジェクトの進め方は大きく変化しています。こちらがペルソナやユーザー体験シナリオ、それらに基づくUIを考えて提案し、クライアントがレビューするという方法だけでなく、クライアントと共にグループワークでペルソナとカスタマージャーニーからUXを考える共創型プロセスが増えてきました。ユーザーについて理解を深めるリサーチの重要性も認識されるようになってきました。

「リサーチ → グループワークでペルソナやカスタマージャーニーづくり → アイデアを発想してコンセプトにまとめる → あるべきサービスの形に落とし込む」

こうしたプロセスを進める上で最も重要なのが、UXを最優先するマインドです。それがプロジェクト関係者に浸透していなければ、デザインプロセスを計画・実行することはできません。さらに、関係者全員が主体的に顧客視点で考え、行動できなければ、せっかく良いサービスを生み出しても、うまく提供できなくなってしまいます。

近年、事業会社でもUXを重視する活動をし、成果につなげるための人員を抱えるようになってきました。でも、自分たちだけでは難しい。自走できるよう、UXに詳しいネットイヤーグループにサポートしてほしい。そうした依頼がかなり増えてきたと実感しています。

そんなときに起きたのが、新型コロナウイルスの蔓延です。

コロナウイルス禍で生まれた、オンラインのUXプロセス

コロナウイルス禍でクライアントと直接会うことが難しくなり、グループワークによるUXデザインプロセスも当初は打撃を受けました。これまでのように集まって、テーブルの上に模造紙を広げて、付箋紙を貼って……ということができなくなってしまいました。

でも、ツールを駆使すれば、オンラインでも効果的にグループワークができることがわかりました。Zoomなどのウェブ会議システムや、Miroなどのオンラインホワイトボードサービスなどを活用。ユーザーへのインタビューやリサーチ、ペルソナとカスタマージャーニー作成、アイデア発想、デザイン、プロトタイプづくり、ユーザビリティテスト……こうした課程をすべてクライアントと一緒にオンラインで実施しました。

当初はどこまでできるか不安でしたが、オンラインならではのメリットも発見しました。ワークの成果を次のタスクにスムーズに移行できるし、各自の成果をみんなで共有しやすくなる。さらに、参加者の作業がリアルタイムで把握できるので、こちらも細かくケアできます。

準備は大変だし、試行錯誤の繰り返しですが、徐々にこれでいけると確信を持てるようになりました。

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全関係者がユーザーに向き合い、組織横断でサービスづくりを

効果的なUXデザインアプローチをクライアントとともに実践するため、クライアント内部にその土壌をつくるUXデザイン教育も行ってきました。それだけでなく、2020年からネットイヤーグループ内部にUXデザイン推進室をつくり、社内に対してもUXを重視したマインドやスキルの教育を今まで以上に推進し始めました。目標は、専門家としてのUXデザイナーに限らず、誰もが主体的にUXを考え、活動できるようになること。基礎教育はオンラインでもできるようになったので、次は定着と浸透です。専門性を高め、社内でUXについてより詳しい人材を増やす。今はそうした段階に向けて、チャレンジしている最中です。

多くの企業にとって、UXデザイナーという職種を専門職として設けることは、かつてのIAと同じようにまだまだ少ないケースだと思います。それより、あらゆる社員や関係者がユーザーに向き合い、組織横断でサービスづくりに尽力できると、その企業は強くなれるはず。

組織の中でUXが重要だというマインドを浸透させ、スキルをつけ、自走させる。多くのクライアント企業で、顧客中心に動く人材が増えている状態が生み出せていると感じています。社内でUX/IA領域に強い人材を育てているわけですが、それをクライアント側にも広めて、日本でUXを重視した人材が次々と育つようになったら、すごいですよね。

これからも、より良いサービスを生み出せるよう、クライアントの状況に合わせて柔軟にサポートしていきたいです。僕たちと一緒に、サービスの未来をつくりましょう。

カスタマーエクスペリエンス事業部
UXデザイン推進室
シニアUXデザイナー
宮村 和実


2001年より、ネットイヤーグループ株式会社にてIA/UXデザイナーとして活動。デジタルマーケティングの支援において、様々な企業のウェブサイト、サービスにおけるUXデザイン、評価に幅広く携わる。
さらに企業内部へのUX/CX浸透のための教育・啓蒙活動にも尽力。2017年からUX Schoolを開校。
現在はUXデザイン推進室にて社内外のUX人材の育成に務めており、2020年度は32名ものUX/IA人材育成を実施。UXの専門家のみならず、営業、ディレクター、ビジュアルデザイナーetc組織横断でUXデザインを活用できる人材を育成している。



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