"これからの顧客体験"とは | サービスデザイン視点で考える
こんにちは、ネットイヤーグループ、
サービスデザインチームコラム担当です。
これから、サービスデザイン視点でのコラム配信を、定期的に初めていきます。
企業がマーケティング戦略を考える際や、顧客満足度を高めるうえで重要だと言われている「CX(顧客体験/カスタマー・エクスペリエンス)」ですが、
今回は、「これからの顧客体験とは」という視点で、改めての基礎的な視点と、これから何が重要なのかについて、改めて深堀していきたいと思います。
■「顧客体験」とは何?
まずは、改めて「顧客体験」とは何なのか、概念を振り返ってみたいと思います。現代の市場では、製品やサービスの質だけでなく、「顧客がそれらのサービスや商品とどのように関わるか」が重要視されています。
ここで重要になってくるのが、UX(ユーザーエクスペリエンス)とCX(カスタマーエクスペリエンス)になります。
CX (カスタマーエクスペリエンス)、UX(ユーザーエクスペリエンス)も日本語では「顧客体験」と一言で訳すことができますが、
しかし、これら二つの概念は、しばしば混同されがちですが、それぞれ異なる焦点を持っています。
そこで、今捉えられているCXとUXの概念をUIも含めて整理したいと思います。
CX (カスタマーエクスペリエンス)とは?
CXとは「カスタマーエクスペリエンス」の略で、顧客がブランド全体との相互作用を通じて得る体験、経験する感情、印象、好み、反応などの全てのことを指します。
例えば、お客さんがサービスや商品を通じてどんな経験をするか、どんな感情を抱くかなどということです。
お店での買い物やインターネットでのサービスの利用、問題が起きたときのサポートの質など、全ての体験が含まれます。お客さんが良い経験をすればするほど、そのサービスや商品が好きになり、また利用したくなるという訳です。
UX(ユーザーエクスペリエンス)とは?
UXとは「ユーザーエクスペリエンス」の略で、特定の製品やサービスを使用する際のそれぞれのユーザーの「体験」を指します。人が商品やサービスを実際に使ってみて、どんな感じがするかということです。
例えば、スマホのアプリを使う時、ボタンの位置は探しやすいか、色やデザインは目に優しいか、欲しい機能は簡単に見つかるか、といったことがUXになります。
ここで気になるのが、「UI(ユーザーインターフェース)」との違いです。UIとはユーザー・インターフェース(User Interface)の略称で、ユーザー(利用者)と、製品・サービスをつなぐ接点(インターフェース)のことになります。
画面上のボタンの配置やデザインなど、実際に私たちが操作する部分がどうなっているか、ということです。UIが使いやすければ、使っている時のユーザーの感じ方(顧客体験)も良くなるわけです。
UI、UX、CXはそれぞれ異なる概念ですが、密接に関連しているので、製品やサービスの成功にとって、重要な役割を果たしています。
このように、UXとCXは異なるアプローチですが、両者は相互に関連し合っています。決してどちらが重要だということはありません。
製品やサービスの使いやすさ、顧客の満足度を高めて、競合他社との差別化をするためには、UI、UX、CXのすべてに注力することが必要なのです。
■時代の流れ~今起きていることとは?~
ここまで「顧客体験」について基本的な説明をしてきましたが、次に私たちが普段生活する中で体験している具体例をに取り上げてみたいと思います。
例えば、Amazonで本を買おうと調べたとします。すると、調べた本に類似した本が「おすすめ」として表示されることがあります。
これは「レコメンド」と呼ばれ、私たちの閲覧や購入履歴に基づいて、興味があるかもしれない商品や情報を提示してくれるシステムになります。
他にも、楽天市場で商品を購入したとき、購入商品や購入者の情報から興味のありそうな関連商品のDMが届くことがあります。
これは、「One to Oneコミュニケーション」という、各消費者の購買パターンを理解し、それぞれに合った情報や商品を提案、個別対応するというマーケティング手法です。
このような活動のおかげで、私たちは、いろいろな興味のある商品の中から楽しく便利に買い物ができています。
しかし、こうした便利さには裏があり、「フィルターバブル」という現象があるのをご存知でしょうか。これは、インターネット上で私たちが見る情報が、自分の興味や過去の検索履歴に基づいて選ばれ、同じような情報ばかりが提示される現象のことです。
フィルターバブルのせいで、同じ情報ばかりになり、新しい情報や異なる視点が見えにくくなり、自分の世界観だけが強化される状態になります。
これは、情報がフィルターされ、自分の「泡=バブル」の中で閉じこもってしまうことから、このような「フィルターバブル」という名前がつけられています。
また、Appleは、2021年4月、iOS14.5に「ATT(App Tracking Transparency)」というプライバシー保護の機能を導入しました。これは、アプリが私たちのデータを追跡する際に、私たちの許可を必要とするものになります。
具体的には、広告配信のためのユーザー追跡に使われるIDFAの使用時に、許可を求めるポップアップが表示されるシステムになります。
このAppleの新しい機能「ATT」によって、勝手に私たちの情報を使うことを制限してくれるので、少し安心ではありますが、ネットでの情報の見せ方や、私たちのデータの使われ方が、時代と共に少しずつ変わってきていることが「フィルターバブル」や「ATT」について知ることで、分かってきたのではないでしょうか。
改めて、今何が起きているのかを、知ることは大切です。
■倫理観が問われるUXデザイナー
そのような時代背景の中で、「UXデザイナーの倫理観」について、取り上げて見たいと思います。
UXデザイナーとは、UI部分も含めて、サービスやWebサイトを利用したユーザーの体験を設計することが目的の職業です。
例えば、ユーザーがWebサイトを訪れた際に「どのような感覚を抱き、どのような体験を得られるのか」を客観的な視点から判断して設計していきます。
ただ魅力的なデザインを提供することだけではありません。ユーザーを不当に誘導したり、無意識のうちに特定の選択をさせるような設計は避けなければなりません。
デザイナーとして、ユーザーの真のニーズを理解し、本当に価値ある体験を提供することが「UXデザイナー」には求められます。
本当に価値ある体験を提供するためには、ユーザーの行動や反応を深く理解することが必要になります。ユーザーの体験を徹底的に調査し、そのデータに基づいてサービスの改善を行うことが不可欠です。
定量的なデータ(数字で表されるデータ)だけでなく、定性的な調査(ユーザーの感情や思考を探る)も重要です。
例えば、ある行動が観察されたとき、単にその結果を受け入れるのではなく、「なぜこのような行動をとったのか?」と問い掛けて、その背景にある理由を深掘りする必要もあります。
そして、その答えを基に、ユーザーが本当に求めているものは何かを見極め、それを満たすサービスや商品の開発につなげるのです。
この一貫した「疑問」の姿勢が、ユーザー中心のデザインを生み出し、結果としてユーザーの心を動かすプロダクトやサービスを実現することに繋がります。
日々の生活の中で、「なぜ?」という疑問を抱き、好奇心を持ち続けることが、良質なUXデザインを生み出すためには不可欠なのではないでしょうか。
■最後に
今回、サービスデザインを考える上で、顧客体験というテーマで深掘りをしてみました。
「サービスデザイン」とは、製品やサービスを利用するユーザー側の視点に立って、求めるニーズや価値を考え、ユーザーの真のニーズに寄り添った製品やサービスを開発するものです。
しかしながら、フィルターバブルのように、ユーザーが求めるものをただ一方的に届けることは、決して顧客視点に立ったサービスデザインではないということは注意しなければなりません。
改めて、ユーザーがどんな課題を抱えていて、なぜそのような行動を取るのか、なぜそのような感情を感じるのか、
見えない部分まで「なぜ」という疑問を抱きながら掘り下げて、倫理観を持ってデザインすることが、これからの「顧客視点」を考えたサービスデザインを語るうえで大事なのではと思います。
ユーザーが本当に求めているものは何かを見極め、それを満たすサービスや商品の開発につなげることを大切に、取り組んでいきたいですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
次回は、「行政と公共部門のデジタル化~最新UI/UXトレンドを探る~」というテーマでお届けします。
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