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第17話 10年後の未来
僕の住んでいる周防大島は高齢化率がずば抜けて高い地域です。
2015年の統計では高齢化率は驚異の51.9%。全国平均は26.6%で、集落によっては8割近くになっしまっているところもあります。
8割がお年寄りって…想像できますか?
ここまでじゃなくても日本はじきに周防大島のような人口動態に近くなってくると予想されています。つまり周防大島は日本の平均的な地域の10年から20年先をひた走っていると考えることができます。
お年寄りがお年寄りを支える暮らし、若い人がいない暮らし、という状況を想像できなければ是非周防大島に遊びにきて下さい。肌感覚でわかると思います。ご連絡ください。
僕は周防大島に来るまではそんな超高齢化社会の訪れを悲観していました。そんな社会は崩壊するに決まっている。誰も幸せになんかなれないと思っていました。しかし、いろいろな暮らしを見て体験して考えは変わりました。地域で良い文化を育てることができれば超高齢化集落でも素敵な暮らしができます。というか高齢化社会だからこその美しさと柔らかさがあります。僕が見た素敵な集落の話については今度また話をまとめようと思います。
しかしそういった素敵な暮らしも施設に入所してしまうと住み慣れた集落の暮らしからはバッサリと分断されてしまいます。高齢者施設の設計や地域との関わり方ももう少しオープンなものになればいいなと思いますがそれは以前も書いた通り難しそう。今自分にできるのはできるだけ長く、住みなれた地域で暮らし続けることをお手伝いすること、という結論に至りました。
地域での良い文化を醸成して行くこと、高齢者が住みなれた地域でできるだけ長く住み続けること、望むならば自宅が困難となっても地域にオープンな高齢者施設で近しい友人と交流しながら過ごすこと。高い理想かもしれませんが実現してくれるといいなと思います。
そして周防大島で良い生活支援の形を作ることができれば、そのほかの地域でも良い形を作ることができると思います。
10年先を行く未来の場所でもがく意義は実はとても大きいものなのかもしれません。