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人生リブート指南(28)費用がかからず、逆にお金が浮く趣味それは「散歩」

今でこそ健脚自慢の散歩師を自認する私ですが、昔はこうではなかったんです。
私が散歩を始めたのは高校を出て上京してから。
それまでは自転車を生活の足として使っていたんですが、東京のアパートには駐輪場がなかったので所有することができず、必然的に「徒歩移動」に切り替わりました。

通学定期のカバー範囲内なら電車を使うんですが、それ以外にはほぼ例外なく歩きました。
ビンボー人は、電車賃に使うお金があったら迷わず食費に回しますよ。
例えば学校の実習場が京王線の沿線にあったんですが、その始発駅である新宿までなら定期で行ける。
しかしそこから先は切符を買わないといけないので、そのルートは却下。
そこで自宅のある国鉄(まだJRではなかった)中央線の「荻窪」から京王線「上北沢」まで歩いて通っていました。

荻窪上北沢

時間にして2時間くらいかかってましたかねぇ……でも疲労感より「やった! 無駄な金を使わないで済んだぞ!」という充足感のほうが優ってたんで、辛くは全然なかったですね。
そう! 普通のレジャーは「それをするための費用」がかかるものですが、散歩の場合はそういったものがかからず、それどころか「本来使われるべきだった交通費分のお金」が財布に残るんです。
おまけに適度な運動ができて健康にも良いわけで、まさに「良いことずくめ」なんです。

この成功体験に味を占めた私は、その後どんどん徒歩移動距離を伸ばしていきました。
しまいには定期で行ける駅なのに歩いていったりして。
実は私は混んでる電車が死ぬほど嫌いなんで、「あんなのに乗るくらいなら歩いたほうがマシ」と考えるクチなんですよ。

「節約」と「満員電車回避」以外の、私が散歩師になった理由が「散策して楽しいルートが東京にはたくさんある」というもの。
実際、自宅のある荻窪からは上下左右どちらへ進んでも面白い町やスポットがありました。
西武新宿線方面に歩けば富野由悠季作品で知られる日本サンライズ(現サンライズ)がありますし、新宿方向へ進めば阿佐ヶ谷・高円寺・中野といったサブカル系タウンがある。
八王子方向へ進めば「住みたい街万年上位タウン」の吉祥寺があるし、京王線方面に進めば芦花公園などがある。

駅ひとつひとつに名所があってドラマがある、というのは東京、そして大都市の大きな強みですね。
駅と駅の間隔がおそろしく空いていて、かつ繁華街がその周辺にしか存在せず、それ以外はひたすら田畑ばかり……というような地区は、私のような散歩師にはいささかキツイ。

都会と非都会

私のようなタイプは、だからそういう土地への移住は避けた方がいいでしょう。
でもまぁ最近は、かつては何も無かった「駅と駅の間の巨大な空白地帯」にも移住者が面白い店を開いたりしてることがあるので、「駅が少ない地域は歩いても面白くない」とは必ずしも言えません。
だからやっぱり、人生リブートを成功させるためには綿密な事前リサーチが重要なんです。
ただし車利用だと早すぎてキチンと見て回れないので、行くときは徒歩でね。

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フジミ・セージ
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