せっかく買ったカメラを「使いこなせないかもしれない」と思った時に読んでほしい
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レンズに書いてある数字の意味?F値?アイエスオー感度?シャッタースピードってなんだっけ?
わからないことがあったらそのたびにググってわかった気になってるけど
だけど実は理解してない気がする。
技術的な問題は調べれば解決できるけど
どうすればカメラを使いこなせるのかは調べても出てこない。
いや、正確には出てきすぎてどれが正しいのかわからない。
写真について興味が湧いたり、実際にカメラを使いこなそうとしたときに誰もが一度は抱える悩みだと思います。
いくら調べても調べ足りないし、「自分が何を知らないのかを知らない」という感覚をだれも解決してくれないですよね。
大事なのはググってわかる解決法ではなく、写真に関連した知識がどの様な相互の関係にあるかという全体図を把握することだと私は考えています。
そこで、カメラと写真の全体像をマップを作りました。
せっかく買ったカメラを眠らせてしまう原因
カメラを買ったのに次第に触らなくなったり、飽きてしまうのはこの「全体図」が見えないので、「使いこなせないのではないか?」という不安が次第に大きくなってしまうからだと考えています。
また上手く撮れなかったらどうしよう、という不安があってカメラを持ち歩く気になれなかったり。
全体像を把握できないままになってしまう理由のひとつは、写真の技法書やカメラの解説本など、体系的にまとまった情報に触れていないからではないでしょうか。
実際、カメラを買ったときにカメラ関連の書籍を一緒に買って勉強するという人は少数派だと思います。大多数の人はカメラを買ったときの箱に付属している説明書すら読まないか、もしくはカメラ自体を中古で手に入れたので説明書がなかったりします。それに、カメラを手にしたらすぐ外に出て撮りたくなりますからね。
そうして、撮り始めのころはすべてがキラキラして見えて、パシャパシャとシャッターを切るのが楽しいですが、次第に不満が溜まっていく…。
感動してカメラを向けた夕焼けが白く写ったり、要らないのに勝手にフラッシュが光ってしまう、どの写真も見返すとなんかめっちゃ緑。いいカメラなら夜の写真もきれいに撮れると思ってたのに…全部ブレてるし…。
おかしいな〜スマホよりきれいに撮れると思って買ったのに。
カメラを初めて手にしたときの興奮は去って、気づいたらわからないことだらけで、ふと思うんです。
「あれ、わたしってカメラ下手かも…。向いてないかも」
「いや、もともと写真にそんなに興味なかったのかもしれない…。」
一度そう感じてしまうと、いまさら写真の基礎の勉強なんてやる気が生まれません。そうしてまた1台また一台とこの世界にカメラ型のインテリアが増えていくのであった…。
これが多分、全世界で起きている写真撮り始めの超あるあるストーリーです。ごく個人的な体験を基に状況を描写してみましたが、似た経験に心当たりありませんか。
少し煽り気味な言い方をしてしまいましたが、なにも心の傷をえぐりたいからこんな話をしているわけではありません。むしろよくある話なので安心してください、と言いたい。多くの人が通る道なんです!
このnoteもそうですが、カメラ/写真関係のHowTo本やブログなどが多くあるのはそういった挫折を多くの人が味わってきたからなんじゃないかと思います。
購入されたカメラのうち3分の1くらい、または4〜6割、もしくは60%以上のカメラは、このようないきさつで使われなくなってしまうと考えられています。
全体像を掌握せよ!
冗談はさておき、それでは写真に飽きないように、思い通りの写真を撮るのを諦めないようにするにはどうすればいいのか?
その答えがさっきも言ったように、写真とカメラの全体像を把握することです。
最初に全体像を把握しておけば、自分が抱えた疑問や不明点を少し余裕を持って観察したり、別のアングルから見たりして、自分が広い世界のどこにいるかをなんとなくわかるようになります。
「何がわからないかを、わかっておく」とも言えるかもしれません。
これは写真に以外にも、他のあらゆる場面で重要ですね。
例えば、本を読むときに目次から読むのは、その本の地図を確認することに他なりません。学校のテストや入試でもまず最初に問題を全部を見ろ、と言われたりします。
なので、まずは各用語やややこしい数字の意味などの説明や解説を見るのではなく、写真とカメラの全体図を把握していきましょう。
カメラと写真の関係のマップを見てみましょう。
全体マップ
かなり要素を絞ってはいますが、カメラと写真の全体図はこんな感じになっています。
っといってもこれを見せるだけでは説明不足ですし、独断で思い切って省いてまとめた部分もあるので、すこし解説します。
(この画像自体は保存して手元に持っててもらって大丈夫です!ツイートから保存した方が高画質かもしれません。ただし、画像の内容、noteの内容ともに最新版に更新している場合があります。
私の名前が入っている状態でならSNSや各種Webなどへの転載もOKです。ただし常識的な範囲の利用でお願いします👍)
3つのパート
まず明確にしておきたいのは、図の中に大きく3つのパートがあるという点です。それは
・カメラの構造
・パラメーターと具体的な変化
・写真の形態
という3つです。わかりやすく色分けしたのがこれ↓
カメラの構造
カメラの構造というのは、図の左側の青い背景の部分です。これは物理的な構造を示しています。部品から機構が組み立てられ、機構が組織的に動くことで機能を持ちます。いつでも決まった形をしていて同じ働きをします。
レンズ、しぼり、焦点距離、シャッターとなんとなく見たことある名前が並んでいますね。
どのカメラを買うか調べているときに出てきた項目ですね。センサーはどんなサイズで、シャッタースピードは最高1/8000秒で、というように細かいスペックが書かれていたと思います。
写真の形態
写真の形態というのは、図の右側の赤い背景の部分です。これは色や形、ボケ感や質感といった抽象的な概念です。
カメラは人が作ったものなので、分解していくとどんどん細かい部品に分かれていって、最後はネジやバネといった最小単位にまで分解できます。だけど写真や"イメージ"というものは奥深く、カメラのように単純な項目に分けることができません。ですがここでは独断で
・露光量…センサーに当てた光の量、写真の明るさに関する項目
・画角…写真に写る範囲。現実世界をどうトリミングするかの項目
レンズによるパースの違いやセンサーのサイズによるトリミングなどカメラという光学現象が含まれています。
・ボケ味…背景のボケやパンフォーカス、シャープネス、ブレやアレなどのような写真ならではの表現に関する項目
・色味…モノクロのトーンやカラーの彩度、白いものが白くみえるかという色の再現度、夕日を見たときの感動が表現できているか、など「色」に関する項目
という4つの項目に大別しました。
パラメーターと具体的な変化
そして、カメラの構造と写真の形態に挟まれた、画像中央の緑色の部分↑。これは実際に私たちが操作しているパラメーターと、そのパラメーターを動かすと具体的にどんな変化が起きるかを示しています。
なんとなく感じの威圧感がすごいですね。被写界深度って非破壊検査みたいで強そう。各パラメーターの説明は長くなってしまうのでまた今度やります。
図の説明はこれくらいにして、次はこの全体マップをどのように見ればいいかという話に進みます。
カメラの構造と写真の形態を意識する
まず、先ほどの3つのパートを意識してください。というのは、原因と結果をはっきりさせるということです。
ここでいう原因とは、すこし難しい言い方になってしまいますが、カメラの物理的な構造であり、光学系の原理のことです。それが写真を生み出します。あくまで写真は結果なんです。
写真を撮り始めたころには
シャッタースピードやF値を適当に設定してしまったので二度と同じように撮れない(再現性がない=狙って撮れない)
ということがよく起きます。これは結果だけを重視した結果、原因を軽んじてしまうが原因です。へんな言い方になってしまいましたが、ようするに何が原因で写真写りがどう変化したかを常を意識せえってことです。
例えば、写真の画角を変えたいなら焦点距離かセンサーのサイズを変えなくてはいけません。あくまで、
レンズの焦点距離が変化する(原因)→画角が変化する(結果)
の順番だということです。
この例をみると当然なことに思えますが、これがF値やシャッタースピードや感度の例になると混乱し始めるんですね。F値を小さくするところを逆に大きくしてしまって、ブレブレ…ということがよくあります。
ボケ量を変える→F値を変える
という考え方ではうまくいきません。自分が今どのパラメーターをいじっているかを把握して、写真の形態がどう変化するかをマスターしましょう。
一方で、何をしたいかを明確にすることも大事です。
写真を撮るのはあくまで自分であってカメラではないということです。
ボケ量を大きくしたい(意図)→F値を小さくする(原因)→ボケ量が大きくなる(結果)
意図を結果に反映させるために、原因=光学の理論を理解しようという話です。ここまできてようやくカメラを道具として扱えるようになり、狙った写真をとれるようになるんですね。
左から右へ、右から左へ
原因→結果を意識して欲しいといいましたが、じつはこのマップの見方としては、右のカメラ側から見ても左の写真側から見てもどっちでも構いません。
シャッタースピードを変えると露光量が変わるという左から右への見方でもいいし、露光量を変えるためにはF値変えればいい、と右から左へ逆算してもいいです。ただそのときは先程も例を出したように
露光量を変える→シャッタースピードをいじる
という短絡的な見方ではなく、カメラのシャッター構造がどうなっているのか、シャッタースピードが短いとどうなるのか、という原因を意識するようにしてください。それだけで全然理解の速度が違います。
全体が見えれば、ちょっとスッキリ
全体マップをみて、
そういやこの辺知らないな
普段こういうところは意識してなかったな〜
今度はこの設定をいじってみよう
とか考えているうちに、カメラ持って外行きたくなりませんか。私は今このnoteを書いていて、猛烈に散歩に行きたくなりました。
このマップ片手に散歩にいくのもいいですね。
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今回は、『せっかく買ったカメラを「使いこなせないかもしれない」と思った時に読んでほしい』と題しまして、みなさんが抱えているカメラへの疑問や写真への漠然としたわからなさはなんなのか、どうすればいいのかを書きました。
たどるべき道筋、やりたいこと試したいことがすこしでも見えてきたなら幸いです。
そして、面白い!なるほど!と思ってくださったならぜひお気に入りやコメント、同じ悩みを持っている友人に教えてあげてください。わたしも喜びます。わーい😃
このnoteをはじめとして、カメラ写真、メディア史がわかる「光のおなはし」シリーズを少しずつ書き溜めておきますので、また気が向いたときに読みに来てください。
ではまた別のnoteでお会いしましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
書いている人:@YoneharaRyuhei
書いている人の撮っているもの(Instagram)