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裕季の彼女と付き合うことになった。 「信じられねーよ」 初デート(これは裕季と彼女の)の後…
「唐揚げをお腹いっぱい食べて死にたい」 まさゆきくんのために私は何の変哲もないトリの唐揚…
常盤さんがその話をしてきたのは、私が比嘉さんに体の左側だけが勝手に踊るという話をした数…
夜更けにしっとりと降る雨の気配で目が覚める。それはそんな感覚に似ているのだ。 音もなく…
❄︎月子の告白 夫には好きな人がおりました。 無口で朴訥と言われる夫でしたが、気の優しい…
雪が降って、閉じ込められて、ほんとうの親族が続々とやってくる。 …
その野をいく。 乾いた風が背をおして、草を搔きわけ、丘陵をかけのぼる。頭上いっぱい、空だけが広がって青い球を内側から見ているようだ。 光はあふれかえって雲はゆっくりゆっくり流れて、空には飛ぶ鳥の影ひとつなくて。 歩兵は独り、ただひたすらに進む。時に胸元まで伸びた草を掻き分け、たいていは膝ほどの麦のような枯れ穂の白茶けた草を踏んで。同じ歩調で、編上げ靴の下でざぐりざぐりと茎の立てる音も同じで、何処までも何処までも草原が、何処までも何処までも青空が繰り出され、背後へ流れてい
二月は硝子(ガラス)で できている。 誰も わけ入ることも、誰も 立ち去ることもできない、…