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【学びの振り返り】UoPeople教育修士課程 コース⑥「思春期の成長」(後半)

皆様お世話になってます。小林です。

今回は、UoPeopleの教育修士課程の学びの振り返り第6弾(後半)です。

後半の記事は、広く皆さんに知って頂きたい内容であっため、無料で公開する事としました。ぜひご覧ください。

コース⑥「思春期の成長」



D: 性に関わる課題

遅発思春期(Delayed pubertal timing)

思春期の遅れは遅発思春期と呼ばれ、症状は以下のような第二次性徴の欠如とされます(Stanford MEDICINE, n.d.)。

女児によくみられる徴候

  • 12歳までに乳房が成長しない

  • 最初の乳房の成長から最初の月経までの期間が5年以上ある

  • 15歳までに月経がない


男児によくみられる徴候

  • 14歳までに精巣が大きくならない

  • 15歳までに陰毛が生えない

  • 成人性器の成長完了までに5年以上かかる


思春期の遅れは、遺伝や染色体異常などの体の機能不全や、運動不足やひどい食欲不振(拒食症)などの異常な生活習慣が原因で起こる可能性があります。

遅発思春期にはホルモン治療を適用することができます。男の子はテストステロンによる短期間の治療を受けるかもしれませんし、女の子は低用量のエストロゲンを受けるかもしれません(NEMOURS TeensHealth, n.d.)。

遅発思春期は放置すると、内面的なストレス、社会から大人として見られない外部からのストレスにより生徒の精神衛生上よくありません。教員は、体の成熟のタイミングは人によって違うということを教え、認知しながらも、遅発思春期の疑いを感じたら、まずは養護教諭や校医に相談すべきです。そのうえで、保護者との話し合いや血液検査を行う事態もあり得ることを知っておかなければなりません。

参考となる動画↓


性別違和(Gender dysphoria)

性別違和とは、性自認が出生時に割り当てられた性別や性別に関連する身体的特徴と異なる人に起こりうる不快感や苦痛のことである(Mayo Clinic, n.d.)。Danyonら(2022)によると、アメリカ人の0.6%が性同一性障害を経験している。

以下、NHKの行ったLGBT当事者アンケート結果より

“親へのカミングアウトで全否定をされて気持ちが不安定になり、人が怖くなった時期があった”(青森県)

“自分を偽った生活を続けていると生活のリアリティが希薄になり、自分の人生は、取るに足らないものとの感覚が育っていった。このことが精神疾患を患う要因の一つとなった”(宮城県)

“保守的な地域でLGBTのコミュニティは色眼鏡で見られていて、「触れてはいけないもの」扱いをされていると思うと、差別と戦うことすらできない自分が切ない”(石川県)

“誰にも打ち明けられず思い悩んだ。コミュニケーションが困難になり友人関係が次々と破壊。一時期は失語症に苦しんだ”(埼玉県)

“テレビなどを見て家族がゲイやレズビアンを否定している姿を見るのがつらい。家族にはカミングアウトできない”(千葉県)

“カミングアウトすることのストレス、しないことのストレスがある。パートナーと生きていくことが社会的に承認されるとは思えず、これからも差別を受けていくであろうことへの絶望感がある”(京都府)

“「もし自分が同性のパートナーを連れてきたらどうするか?」と親に聞いたときに「縁を切る」と言われてとてもショックを受けた。親世代など中高年層の人たちの間ではまだ理解が進んでいない”(福岡県)

LGBT当事者アンケート調査

LGBQの青年が負っているリスク

Saewyc(2011)によると、LGBQの若者は異性愛者の10代に比べて、喫煙、アルコール使用、注射薬物使用を含むその他の薬物使用の有病率が高い。また、HIVやその他の性感染症のリスクにもさらされている。さらに、家族の拒絶は、うつ病、自殺企図、違法薬物使用の有意に高い割合と関連していた(Saewyc, 2011)。

トランスジェンダーの青年が背負うストレスと日本の現状

トランスジェンダーの若者は、出生時の性別とは異なる性自認を持つ(Telingator & Woyewodzic, 2011 )。彼らの状況はこの定義ほど単純ではない。身体的な手術を考えるだけでなく、どのトイレを使うべきか悩むときにも不快感を覚える。さらに、ノンバイナリー(non-binary)、有色人種や女性のトランスジェンダーの方々は、二重のマイノリティである可能性があるため、より困難な状況に直面している(TED, 2017)。

スペイン、デンマーク、アイルランド、マルタ、ノルウェー、ギリシャなどいくつかの国では、身体的な手術なしに法的な性別を変更することができる(Pride Japan, n.d.)。しかし残念なことに、日本の法律では、合法的な性転換のために身体的な手術を要求している。この状況は、2006年に採択されたジョグジャカルタ原則の「いかなる人も、法的な性転換の要件として、性別適合手術、不妊手術、ホルモン療法その他の医療行為を受けることを強制されない」に反している。

以下のTEDの講演でジャックが語ったように、社会がトランスジェンダーのことをよく知り、彼らをコミュニティの一員として扱ってくれることを願ってやまない。


E: アーミッシュ教会(Amish Church)における思春期の決断

アーミッシュ教会(Amish Church)は1693年、「幼児に洗礼を授けるのは間違っている」とする少数のキリスト教徒によってヨーロッパで設立された。アーミッシュはこの信念のために厳しい迫害を受け、1860年までに全員がアメリカに移住した。彼らの生活は外界から隔絶されており、アーミッシュには電気もテレビもラジオもない(S.H., 2017)。彼らの教育は14歳までで、聖書の知識が中心の教育を受ける(DW Documentary, 2024)。


Rumspringaラムスプリンガとは、成人洗礼前の16歳のアーミッシュの若者たちが、数ヶ月間、他の10代の若者たちと同じように生活し、実験する自由を与えられる期間のことである。彼らはこの期間中に、アーミッシュ共同体から出るか、共同体に戻るかを決定しなければならない。

Rumspringaラムスプリンガの期間、彼らは劇場に行ったり、現代的な服を着たり(S.H.、2017年)、飛行機で他の州に旅行したりする(tic.uk、2021年)など、初めて外の世界を探検する。初めて見るものばかりで、彼らはエスカレーターの使い方さえ知らない(tic.uk、2021年)。この期間は、彼らにとって最もエキサイティングな瞬間に違いない。


一方、アーミッシュの10代の若者の中には、「自由」の名の下に、ビールを飲んだり、タバコを吸ったり、ドラッグを使用したりといった違法行為をする者もいる(S.H.、2017年)。ドラッグを扱うなどして警察に逮捕されれば(S.H.2017)、世の中が怖くなる人も出てくるかもしれない。

ラムスプリンガの最後に、アーミッシュの若者たちは教会に入り、アーミッシュの生活に身を投じるかどうかを決めなければならない。アーミッシュの青年に外の世界を恐れさせることがラムスプリンガの目的かどうかはわからないが、事実としてアーミッシュの90%近くはアーミッシュ教会に入信する。

16年間も外の世界を教わらず、好きな人もアーミッシュの中にいて、仕事に就くための卒業証書などの証明書も持っていない彼らが、アーミッシュの教会に入るか、教会の外で生活してアーミッシュのコミュニティから追放されるかの選択は、ほとんど答えの出ている質問だと感じた。

映画(S.H.、2017年)の中でファロンが経験したように、アーミッシュ共同体の外で仕事を得ることは難しく、その仕事は低賃金に違いない。誰だって自分のコミュニティから追放されたくはないと思う。したがって、映画の中でジョアンがしたように、人々が洗礼を受けてアーミッシュ教会に入るのはごく普通のことなのだろうと感じた。


学びを終えた感想

「思春期」という複雑な人生のステージを理解しようとした本コースの学びを通して、生徒達との関わり合いをより円滑に、支援的に行うことができるようになるのではと感じました。

生徒たちの抱える不安の根源を、事前に予備知識として蓄えておくことはとても重要に思います。その不安には、「性に関わる課題」も当然含まれるものであり、人の自由と平等を追求する未来の教育の為に、教員は現在どの年代に属していても理解しなければならないと思います。

「思春期」の不安定さと同時に、無限の可能性を認識し、その生徒の未来を明るくするためのアプローチをしていきたいものです。


前半はこちら


ここまでお付き合い頂きありがとうございました。
この記事の内容は私自身の学びが進む中で、随時更新して参りたいと思います。
どうぞ引き続きよろしくお願い致します。

小林


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References

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