酒飲めば 友の顔から 皺が消え
先日、学生時代に所属していたクラブの設立60周年記念パーティーが都心で開催された。参加者は180名に及び会場は通勤電車とまでは行かずとも鮨詰め状態であった。現役、OB合わせた会員数は500名〜600名だと推定されるので、その1/3が集まったことになる。新型コロナウイルスの蔓延が収まりきらない中での開催だったこともあり、パーティーの世話役もこれほどの人数が集まるとは想定せずに会場を設営したのだろう。
何はともあれ、同じ釜の飯を食った仲間が一堂に集まれて何よりであった。「同じ釜の飯」は我がクラブにとって比喩ではなく、実際に同じ釜で作った食事を食べった仲なのだ。自転車にテント等諸々のキャンプ道具を積んで旅するのがクラブの主たる活動で、調理用の大きな鍋も自転車の荷台にくくりつけて走っていた。夏休みには約1週間の合宿をするが、毎日60〜70キロ、日によっては高低差1,000mある道を走る。目的地に着くとテントを張り、火を起こして食事を作る。正に同じ釜の飯を食うと言う訳だ。
年代別にテーブルが割り振られていたが、私はクラブの創設者でおん年80歳の先輩と同じテーブルであった。周りのテーブルも年代の近い連中ばかりで、個人差はあるものの皆んな頭が薄くなり顔の皺が深くなっている。60年と言う歳月を改めて感じる光景であった。しかし、お酒が入り、話が弾むうちに気持ちが若やいできて、皆の顔から皺が消え学生時代に戻ったように感じられてきた。これこそが同じ釜の飯を食った仲間の集まりの良さであろう。
通常であれば全員で校歌を斉唱してお開きになるのだが、今回は新型コロナウイルスの感染予防のため録音された校歌を会場に流し、参加者は声には出さず心の中で歌うことを求められた。なんとも奇妙な感じがしたが、やってみたらそれなりの一体感を感じることができたから不思議だ。5年後に開催される次回のパーティーにも参加できるだろうかと思いつつ会場を後にした。
(2022.12.17)
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