ネリマ富士

後期高齢者の仲間入りを果たしたのを期して、日々の出来事、気づきそして思いを綴ってみようと思い立った。老いを受け入れたくない自分と、受け入れざるを得ない現実の間での葛藤を客観化して、老いの楽しさ、おかしみを表現したい。

ネリマ富士

後期高齢者の仲間入りを果たしたのを期して、日々の出来事、気づきそして思いを綴ってみようと思い立った。老いを受け入れたくない自分と、受け入れざるを得ない現実の間での葛藤を客観化して、老いの楽しさ、おかしみを表現したい。

最近の記事

今年こそ 止める止めない 年賀状

 今年は年賀状を何枚刷ろうか、来年は巳年だけど、どんな絵にしようか。枚数と絵は、毎年悩むが、今年は更に悩みが深い。  11月に入ると、喪中を知らせるはがきが届く。その数によって、年賀状を刷る枚数が変わる。  友人の多くがアラ・エイトとなり、年賀状仕舞いをする人が増えた。今年届いた年賀状から、「今年をもって、やめます」とあるものを、より出さなければならない。  年齢に関係なく増えてきたのが、新年の挨拶をSNSで済ませる人だ。向こうがSNSならこちらが年賀状を出すことはない

    • 紅葉散り 酒飲み干せば 冬近し

      「まずは、ビールと行きますか。」 「そうだな。」 「ア、俺はノンアル。」 「エ、どうしたの。」  久しぶりの飲み会。集まった5人の内でも1番の酒好きYが、ノンアルを所望。4人の目がYに集中。 「体の調子でも悪いのか。」 「イヤー、酒を受け付けないと言うか、飲むと後で気分が悪くなるので。」 「そりゃ困ったね。」 「それがさー、飲みたいと思わないんだなー。」 「へー、お前がねー。」  自分も最近、酒量がとみに落ちたが、毎日、日暮になると酒が恋しくなる。飲みたいと思わなくなった

      • 氏子減り 村の神社は 火の車

         「このままでは神社の維持が難しいので、秋のお祭りに際して、奉納をお願いしたい」といった趣旨の貼り紙を、家から歩いて5分、氷川神社の境内の看板に見つけた。  いつ創建されたかは定かではないが、1849年には存在していたことが分かっており、練馬区の有形文化財に指定されている神社。2千平米の敷地に、神殿、神楽殿、社務所を備えている。春には桜、秋になると銀杏が周辺の人々の目を和ませてくれる。  大晦日から元旦にかけては、参拝者の長蛇の列。秋のお祭りには、神楽殿での歌舞音曲とイカ焼

        • 老若の ギャップに気づく 衆院選

           「国民 比例代表で名簿不足3議席他党へ」  27日に行われた衆院選、翌日のNHKニュース・防災アプリ、トップニュースの見出し。エッ、どういうこと。  比例代表名簿に搭載されていた候補者が、小選挙区で当選して名簿から削除されたために、北関東ブロックで1議席、東海ブロックで2議席、本来なら得られた議席を他党に譲った形になったようだ。因みに、棚から落ちてきたぼた餅を食ったのは、公明、自民、立民で各1人。  国民民主党の獲得議員数は31のはずだったのに、獲得投票数の読み違いによ

          変な店 優しい心 あふれてた

           チョコレートって、発酵食品なの!?  黒地に白いチョウークで書いた看板が店先に立てかけられていた。エ!ホント?  散歩で前を通るたびに、「こんなところにチョコーレート店を開いて。誰が買いに来るのだろう。」と不思議に思っていた店。近所の消滅寸前の商店街の空き店舗の1つ。3年くらい前に開店。ガラス戸越しに見える店内は薄暗く、およそチョコレート店らしくない。チョコレート好きの若い人が、起業をしたか。それにしては、商売気っが感じられない。そんな店先に突如、キャッチーな看板が置かれ

          変な店 優しい心 あふれてた

          3K職場 担うは今や 外国人

           猛暑もようやく収まり、散歩の距離が伸びてきた。久しぶりに歩く道の角で、家が解体されていた。横目で様子を見ながら歩いていると、浅黒く、彫りの深い顔つきの作業員が目に入る。イラン人かな。更に目をやると、同じ顔つきの作業員が4人、重機を使って壁を引き倒している。そこに、2トントラックがやってくる。運転しているのも、イラン人のようだ。  運転が上手い。狭い道から奥まった作業現場まで、バックで1度も切り返さずに入った。降りてきた運転手は、貫禄のある50歳がらみ。作業員に何やら指示を

          3K職場 担うは今や 外国人

          櫛の歯が 欠けるが如く 友去りぬ

           7月末に学生時代の友人Aから、〇〇君が亡くなったとの電話が入った。葬儀は内々でされたと言う。奥様にお悔やみの手紙を書くか、お花を送るか。と言っても、奥様とは面識がない。Aと話した結果、偲ぶ会を暑さが収まってからやることになった。  コロナの蔓延以降、お葬式の形態が変わってしまい、今や限られた身内の人だけによる家族葬が主流だ。遠くの親戚の葬儀に忌引き休暇を取って出かけたり、仕事上の関係もなく、親しくもなかった会社の先輩の通夜に勤務が終わってから参列したり、そんな葬儀は今や昔

          櫛の歯が 欠けるが如く 友去りぬ

          運動場 公園となり 皆うれし

           鬱蒼たる木々を背景に設営された能舞台に夕闇が迫り、開演を今や遅しと待っている。ここは石神井公園に隣接した練馬区立松の風文化公園の一角、区が年1回催す薪能の会場である。この公園が開設されたのは10年前であり、それまでは日本銀行の運動場であった。  園内には、テニスコート、陸上競技のトラックとフィールドが整備されている。平日はテニスに興じる健康老人、週末はフィールドでサッカーや野球に夢中な小学生で活気に満ちている。そのいずれにも属さない私のような老人は、今宵、薪能を楽しむ。こ

          運動場 公園となり 皆うれし

          コロナ禍で 生じし変化 後戻り

           Amazonの米国本社が、従業員の出勤日数について、コロナ禍以降週3日としていたものを週5日に変更するとのニュースが流れた。コロナ禍対策として日本でも在宅勤務が普及し、我が娘や息子もその恩恵に浴していたが、Amazonの新方針の影響を受けるのだろうか。  東京の郊外に住み都心の会社に勤める娘は、コロナ蔓延以降、週に3日出勤し、残り2日は家で仕事をしている。週5日会社に行っていた時に比べると、通勤時間が減り、肉体的に楽だし、自由な時間が増えたと喜んでいた。コロナによってもた

          コロナ禍で 生じし変化 後戻り

          窓口で 列んで待つは 訪日客

           先週の「おじさん図鑑」(東京新聞)で私と同年代の作者は、JR東日本の「みどりの窓口」が減少し不自由していると嘆いていた。  「おじさん」は、JRが合理化のために接客する人を減らそうと「みどりの窓口」を減らしている、と断じている。一方、JRは、インターネットやスマートフォンの普及に伴い、切符の購入や予約がオンラインや自動券売機でできるようになり利用者が減ったので、「みどりの窓口」を削減したとしている。「おじさん」の断定は一方的すぎるが、窓口に長蛇の列ができていることからする

          窓口で 列んで待つは 訪日客

          難問に シカクいアタマは 立ち往生

           コロナ騒動3年で電車の吊るし広告の数がめっきり減る中で、学習塾日能研の「シカクいアタマをマルクする」は1人気を吐いている。首都圏の私立中学の入試問題の中から、ユニークな問題を選が選ばれていて、いつも「えー、これを小学生が答えられるの」と思ってしまう。頭の柔らかい小学生には分かっても、頭の硬くなった大人には難しい問題。それが、キャッチフレーズの「シカクいアタマを・・」につながっているのだろう。  通勤電車で、この広告の読める位置に立つと、ついつい正解を求めて考えてしまった。

          難問に シカクいアタマは 立ち往生

          熱中症 気を付けてたら 残暑バテ

           風邪を引いたようで、喉が痛く、36.9度と少し熱がある。連日の猛暑日で体力が低下したせいか、冷房漬けの毎日で体調が狂ったか。それとも、息子、娘の家族と旅行をして、若者のペースに付き合わされてくたびれたせいだろうか。  今朝のN H Kのニュースで、「残暑バテ」が取り上げられていた。9月になっても連日30度を超える日が続いており、「残暑バテ」になっている人が増えている。予防策として、冷たいものを飲み過ぎない、冷房の効いた部屋に長時間居続けない、の2点を上げていた。  熱中

          熱中症 気を付けてたら 残暑バテ

          秋田杉 山から降りて 街角に

           いつもは素通りする角の材木屋の倉庫が日陰を作っていたので、暑さを凌ごうと立ち止まった。ビッシリと倉庫の壁際に立て掛けられている板や角材を眺めていると、「東濃」と小さく書かれた板があった。東濃檜だな、わざわざ板に書いてあるのは、銘柄材で価格も高いからか。少し目を移すと、「能代」、「紀州」、「秋田」と書かれたものもある。書かれているのは、どれも美林で名高い場所である。  半径1キロ弱、散歩の範囲に材木屋が4軒ある。コンビニには及ばないまでもかなりの数だ。商売敵との差別化は、材

          秋田杉 山から降りて 街角に

          僧房に 料理の極意 見つけたり

           1日3食、365日、1年に1,095食。人間は食べるために生きているのか、生きるために食べているのか。全食事を妻に作ってもらうのは、流石に気が引けるので、週に2、3回は朝食当番をやっている。トースト、ハムエッグに野菜を添えるだけだが、出来栄えや味が一回毎に微妙に違う。朝食1つと言えども、徒疎かにはできないと知った。  ブックオフで次に読む本を探していて、水上勉の「土を喰う日々」が目についた。水上が季節毎に自ら作る料理をテーマにしたエッセイである。朝食作りの参考になるかと思

          僧房に 料理の極意 見つけたり

          パリ・ロンドン 宴・騒乱 夢現

           パリオリンピックでの日本選手の活躍に一喜一憂する一方で、世界で次々に起きるきな臭い出来事が気になった。その中で、労働党政権が誕生したばかりの英国で起きた暴動に注目した。  ことの発端は、両親が移民の少年が起こした3人の少女刺殺事件。極右勢力が、この事件をネタに、事実と異なる情報を流して不特定多数の人達に、移民排斥の行動を促し、それが暴動を誘発した。  成熟した社会であるはずの英国において、暴徒がホテルや商店を襲撃する映像を見て驚いた。貧富の差の拡大による社会の分断の成せ

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          遊歩道 今朝も目に映ゆ 百日紅

           散歩で朝夕通る白子川の遊歩道の百日紅が、薄いピンクの花をタワワに付けている。百日紅の花を見ると、高校への通学路に咲いていた赤い百日紅の花が脳裏に甦る。高校2年生の夏に親の転勤によって、広島の高校から東京の高校に転校し、新しい環境に戸惑っている頃だった。散歩道で心を和ませてくれる花々は、思い出も連れてきてくれる。  もう盛りは過ぎたが、散歩道の至る所に咲いた紫陽花から、今年も小学5年生の授業での出来事が思い浮かんだ。5月のある日、理科の時間に先生が「紫陽花は6月の花です」と

          遊歩道 今朝も目に映ゆ 百日紅