雨の詩 【詩】
いい天気
けむる霧雨
しっとりとぬれた木々
真っ黒な枝々
その黒さは やさしい
いい 天気だ
傘
雨が 降ってきた
傘を さした
傘の大きさの分だけ
晴れになった
雨桜
大きなビルの駐車場から
黒塗りのハイヤーが出てきた
すました表情の車
よく磨かれた ぴかぴかの
その車体には
無数の白い花びらが
はりついている
おすまし顔のハイヤーも
今日ばかりは
外遊びで泥んこになった
子供みたい
よくみると
あちらこちらにそんな車が
桜を散らせてしまう冷たい雨が
ちょっとかわいい景色を
見せてくれた
雨の午後
雨模様
雨が 降る
乾いた地面が
さぁっと音をたてて湿り
にわかに光りだす
その上へ 次から次へと
雨粒が落ちてくる
そして 無数の波紋をつくる
できた波紋と波紋が
ぶつかり合って
また 別の波紋ができる
ひとつの点が
小さな輪になり
少し大きな輪になり
さらに大きな輪になり
幾重にも
輪ができあがっていく
絶え間なく できては消え
消えてはできる
雨の模様
本日雨天、雨模様
水のスクリーン
ある夏の日の 雨上がり
アスファルトの上に散らばった
青い空 白い雲
ゆるやかな弧で切り取られた
空の景色は
そのひとつひとつが 絵のようで
流れる雲の動きもそのままに
そこだけ動画で
いつも見る空とは
少し違った
自転車が 水しぶきをあげながら
その上を通り過ぎる
と、ゆらゆらと
その絵はゆれて形を失い
ちいさな波紋がいくつかできる
それもなくなると
また もとどおり
でも よくみると
さっきとは少し違う絵になっている
そうしていつまでも
夏の一日を映し続ける
水のスクリーン
大雨の日に
― 祭り ―
大地をたたきつけ
小気味よく降る 雨
ぴん と張った傘の面をたたく
大きな雨音
その鈍く強い響きは
和太鼓の音に似ている
祭りが
はじまった
― 水時計 ―
緩やかなカーブを描く電線
高い方から 低い方へ
雨のしずくが すべり下りていく
激しく踊り狂う雨のなか
そのしずくだけが
ゆっくりと
時を刻んでいた
― 風の姿 ―
規則的に降り続く雨
そのリズムを揺さぶる風
雨滴が上下左右に踊りだす
遠くの景色はけむり
波が立つ
風が その姿を見せる瞬間
大雨
大粒の雨
その落ちてくる速さは
どんどん速くなる
全身全霊を込め降っているようだ
大地も木々も家々も
みな静かだ
雨に注目している
その音を聴いている
空気も 匂いも 景色も
雨一色
ときどき雨を切って走りゆく車も
スピードも大きさも
雨にかなわない
雨の勝利だ
みなひれ伏している
けれど雨は
静かで無言だ
そして 無言のまま
激しさを増していく
プラネタリウム
ちいさな雨
黒いナイロンの傘
街灯の灯り
ふと見上げると
満天の星空だった
傘の中だけの
小さな小さな
プラネタリウム
雨上がりに咲く花
雨上がりに
あちらこちらで咲く
色とりどりの花
赤 青 黄色 縞模様 格子柄 水玉模様 透明なのも
そんな 雨上がりに咲く花たちには
青空が
とてもよく似合う
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