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商品開発のきっかけは息子の難病だった。子ども用栄養バランスチュアブル“mog”がもたらす、家族との楽しい食事の時間/小浦ゆきえさんインタビュー

4/23(土)新・朝市についてはこちら

こんにちは!新・夜市朝市編集スタッフの小玉です。
今回の出店者インタビューは小浦ゆきえさんです。

小浦さんは息子さんの難病をきっかけに、子ども用の栄養バランスチュアブル(かみ砕いて服用する栄養補助食品)「mog」を開発されました。息子に食べさせて安心なものを、という想いで作られた商品には、驚くほどたくさんのこだわり、そして愛と優しさが詰まっています。栄養補助だけではなく楽しい食事の時間を提供したい、と言う小浦さん。詳しくお話を伺いました。

小浦ゆきえさん

小浦さんのプロフィールを教えてください。

mog株式会社代表の小浦 ゆきえです。「mog」という子ども用の栄養バランスチュアブルの開発、製造、販売をしています。
加えて、「はぐもぐ」という食べることに課題を抱える子どもを支援するための情報サイトの編集長もしています。と言っても初めから起業を考えていたわけではなく、以前は大人用の健康食品の情報発信や、健康食品を作っている会社へのアドバイスをしていました。

mogを開発されたきっかけは何だったのでしょうか?

きっかけは、上の息子がミトコンドリア病という、現時点で治療法がない難病だとわかったことです。とにかく病気を悪化させないことが重要なため、家族にできることは、十分な栄養を取らせて適度な運動と休息を与えることだけだったんです。ただ、息子が少食で食事から栄養が十分に摂取できなくて。それまでは食が細いとはいえ、食育の観点からご飯をしっかり食べてほしいと思い試行錯誤してたんですが、病気を機に、命を確保するための栄養を満たすことが最優先だ、と優先順位が変化しました。仕事柄、どういう栄養素が必要で、どういう商品が安全であるか、イメージはできていたものの、当時は理想的な商品がなかったんですよね。そこで、息子に必要な健康を守る商品を作ろうと思い、mogを開発しました。

息子さんの病気が発覚した時のお気持ちを想像すると心が痛くなりますが、そこから今回出店されるmogが生まれたんですね。ぜひ商品について詳しく教えてください。

mogは子どもに必要と言われるビタミンやミネラルを22種類含んでいます。味はパイナップル味とチョコバナナ味の2種類で、そのままでも、ヨーグルト等に溶かして食べていただくこともできます。1歳ぐらいから食べられますよ。

2種類の味があるmog 左:チョコバナナ味 右:パイナップル味

かなりこだわって作っていて、大きく3つご紹介しますね。
1つ目は、特定原材料と言われるアレルゲン28品目を含まずに作っていることです。アレルギーのある子が食べられるものって限られるので、そういうお母さんにも安心して使ってほしいな、と思っています。
2つ目は、国内工場の中で最も厳しい品質管理基準のGMP工場で製造していることです。mogを作る前に、機器を分解し洗浄してから作っているので、アレルゲン混入の心配がありません。また製造に際して、医療施設にサプリメントを提供している企業に協力してもらい、高品質の材料で製造しています。開発部門の方は、mogがどういう目的でどういう人に届けたいか理解して頂いてるので、「この材料はほかのサプリだと使えるけどmogさんだとだめだよね?」という会話をしたりします。私自身が安心して息子に食べさせられるものを作っているんです。
3つ目は穴の開いた形状にしていることです。誤飲したとしても気道確保ができるようになっています。それに子どもって、親が見ていない隙に勝手におやつを食べてしまうことってあると思うんですが、mogは1袋全部食べても、栄養過多で身体に害にならないよう配合を設計してます。

こだわりを込めて作り、品質や安全性が評価されて2017年にキッズデザイン賞を受賞したんですよ。子供用の栄養補給食品でキッズデザイン賞を受賞したのは初めてのことで、とても嬉しかったです。

本当にこだわりが詰まっているんですね。受賞された時の喜びもひとしおだったのではないですか?

そうですね。それに、子ども用の栄養補給食品って否定的な意味でとられることもあると思うんです。食事をしっかり食べればいいじゃないか、そこまでしてサプリメントを与える必要があるのか、という声もあると思っていて。ただ、息子のように少食だったり、基礎疾患があったり、食べることに興味を持てない子だったり、普通に食べることが当たり前ではない子どももいるんですよね。そういう子どもを支える補助具として選択肢の1つである、と認めていただけたと思っています。

開発期間はどれぐらいだったんですか?

2016年の春に作ろうと決めて、発売は2017年の秋でした。味付きのサプリメントの発売ってもっと時間がかかるのですが、たくさんのご協力もあり1年半というスピードで発売することができました。
発売してからも味のリニューアルを重ねていて、3年ぐらいかけて今のパイナップル味になりました。チョコバナナ味も一度リニューアルをしていて、より美味しくなっていますよ。

この一粒にたっぷりのこだわりと愛情が詰まっています

実際に食べさせている親御さんからはどんな声をいただくことが多いですか?

お子さんの体調がプラスに変わったという声ももちろんいただくのですが、ママ自身が食事の時間を笑顔で過ごせるようになった、という声が多いです。子どものために食べてほしくても、思うように子どもが食べてくれないとママの心の余裕だってなくなっていきますよね。mogがあることで、食事を全部食べられなくても最低限の栄養は摂れていると、心に余裕ができ笑顔になるんです。そうすると、子どもも食事の時間を楽しめるようになり、食事が辛いものじゃなくなるんですよね。早い子だと、3ヶ月ぐらいでしっかり食事をとれるようになった、と言ってmogから卒業してますよ。私の息子のように持病がある子どもだと、大人用の製品に移るタイミングで卒業という方もいます。
mogを食べる期間は子どもによって差があるので、購入は定期便と単品の両方を用意しています。定期便は回数の縛りがありません。初回の方にはサンプルを送っていて、口に合わなかったら返品できるようにしています。かつて息子用に製品を探していた時、1瓶買ったものの1粒食べていらない、となり、残りの分どうしよう、ということを何度も経験したので、サンプルをつけて商品の返品もオーケーにしています。

至れり尽くせりという言葉がぴったりで、小浦さんの愛と優しさも詰まっていると感じました。そんな小浦さんが感じている社会課題って何ですか?

食べられない子どもがいることを知ってほしいなと思っています。
貧困で食べるものがないから食べられないという子どもは社会課題として認識されていますが、目の前に食べ物があっても食べられない子どもって問題視されていなかったと思うんです。わがままとか、しつけがなっていないとか、そういう風に見られていたと思います。ただその中には、食べる機能が獲得できていないから食べられない子どもや、障害や基礎疾患があり食べられない子どもが含まれているんです。そのことを世の中や保護者も認知しきれていない。知らないがゆえに、子どもが食べないことで保護者が責められたり、保護者自身が自分を責めたり、子どもにきつくあたったり、軋轢を生んでいると思うんです。
今まさに子育てしている世代だけでなく、それを取り巻く医療機関、教育機関、その親世代にも知ってほしいです。食べられない子どもがいたときに、見守っていいものなのか、何かしら手をかけなければいけないものなのかが分かる流れを作りたいです。

新・夜市朝市ではどんな価値、暮らしを提案したいですか?

mogは子どもが十分な食事を食べられないときの手立てですが、家族全員の食事の時間を楽しくするという価値を提供したいです。それと子ども自身に、食べることって楽しいことで、自分自身の健康を作り、一緒に食事をする人と楽しい時間を作るものだ、という価値を提供したいです。
とは言え、mogを食べるほどではないけど子どもの食が心配、という保護者も多くいらっしゃると思います。そこで、今編集長をしているはぐもぐというサイトでは、例えば子どもが食べないときにここまでは見守ってていいよ、という情報をお伝えしています。それ以外にも、食べないことを理由に受診ができる偏食外来や、食べる機能が発達してるかチェックしてくれる小児歯科等、医療機関の紹介もしています。こういった情報があれば解決することもありますよね。目の前のお子さんで手一杯になっているとなかなか見えづらいですが、振り向けば後ろにいっぱい頼れる手がありますよ、とお伝えしたいです。そうすれば、安心して食べない子どもに向き合い、楽しい食事の時間になるかなと思っています。

私の理想は、極論を言うとmogが必要な子がいなくなることなんです。ただ現実は、障害があったり、病気があったり、上手く食べられなかったり、サポートが必要な子どもはたくさんいます。これからも商品を通してだけでなく、情報発信をすることで、価値を提供していきたいです。


素敵なお話をありがとうございました!

インタビュアーあとがき
息子さんの病気発覚からmogが生まれた経緯、こだわりや配慮、さらにはぐもぐでの情報発信まで、一貫して小浦さんの愛と優しさを感じるお話でした。それだけではなく、息子さんの命のために商品開発を決意された芯の強さも感じます。現在1歳の息子を育てる筆者は終始感動し思わず涙しましたが、小浦さんのように愛と優しさと強さを持った母になりたいと思いました。

小浦さんは4/23開催の『新・夜市朝市』に出店します。皆さんも直接小浦さんに想いを聞いてみませんか。

新・夜市朝市とは?

新・夜市朝市は、作り手から商品の誕生秘話や込めた想いを直接聞き、
気になった点は質問できるオンラインマーケット。

普段とは少し異なる購買を体感することで、買い物上手への第一歩になるはずです。

参加費無料・オンライン開催(Zoom)
次回は 2022/ 4 / 23(土)9:00より開催!

入場(無料)のお申し込みはこちら
新・夜市朝市について詳しくはこちら


新・朝市での販売商品:食べられない子のための 栄養バランスチュアブル
WEBサイト:https://kodomo-mog.jp/
偏食・少食・食のお悩みの支援情報サイト:
https://www.hug-mog.jp

<NPO法人ETIC.とは>
ETIC.は、社会の未来をつくる⼈を育むNPO法⼈です。1993年の創業以来、私たちの⼿がける実践型インターン シップ や起業⽀援プログラムへの参加を通して、1600⼈以上が起業しました。これからも企業・⾏政・NPOといった多様なセクターを巻き込みながら、挑戦したい⼈を⽀える仕組みづくりを続けていきます。


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