私のアパートには備え付けのロフトベッドがある。大学4年間しか住まないのだから揃える家具は最小限にしたいと思いベッドや電子レンジ、洗濯機や冷蔵庫が備え付けのこのア…
カーテンから差し込む朝日で目を覚ます。夜中のうちに降り積もった雪が反射していつもより眩しく感じた。 時計を見るとまだ7時半。もう一眠りしても二限の授業には間に合…
7畳半の暗闇で目を覚ました。枕元に転がっているであろうスマホを探し身をよじるとロフトタイプのパイプベッドがぎしぎしと音を立てた。既に深夜2時を回っている。窓が斜…
「ねぇ、何で夕焼けは赤いの?」 角の信号が青に変わりかける時、私はこうやってたいして気にしてもない質問をして彼を引き留めた。彼の自転車の荷台に指を引っ掛けて、幾度…
補助輪の取れた背中に桜雨 追風やチャリのペダルに春来たり ひこばえに陽の当たる日のアウスかな 鞦韆や風に揺るるは未知の朝 アオハルの落書きの曲夏浅し 指先の君の…
僕は舞台の上の貴女に恋をした 秋の夕暮れ時の空は 先程まで降っていた雨の気配を匂わせながら 地球の表面を歩く人々を包んでいる 僕は劇場に入りチケットを切って その半…
1枚96円の板チョコを小さく割って ボウルに入れて湯煎にかける アルミの中の細かな欠片は やがて形を失って 黒くて重たいどろどろになる 白さと交差し深く深く沈んだ それ…
緋山あかり
2024年7月4日 17:58
ぬるま湯に弾けたバブルあの頃のハグの続きを今日今此処で
2023年2月27日 13:56
私のアパートには備え付けのロフトベッドがある。大学4年間しか住まないのだから揃える家具は最小限にしたいと思いベッドや電子レンジ、洗濯機や冷蔵庫が備え付けのこのアパートを選んだのである。そんなことはどうでもいいのだが、このロフトの下に置いているよくある透明な衣装ケース。その1番下段には使用頻度の低い雑貨を詰め込んでおり、あまり開かない引き出しなのだが、先日恋人とディズニーに行くことになり、レジャ
2022年12月19日 12:53
カーテンから差し込む朝日で目を覚ます。夜中のうちに降り積もった雪が反射していつもより眩しく感じた。 時計を見るとまだ7時半。もう一眠りしても二限の授業には間に合うだろう。 隣で寝息を立てる彼に布団をかけ直し、その額を優しく撫でる。「おはよう」 窮屈なシングルベッドで抱き合うようにして眠る2人の間を繋ぎ止めているのは、大人になりきれない幼い愛情と成長を要されることへの焦りが少し。 彼
2022年6月30日 00:40
マニキュアを重ねる滑稽私ごと君の視界で生きてないのに
2022年6月26日 17:53
失恋の曲で眠りに落ちる夜は君に捧げるいのちの一部
2022年5月23日 03:09
愛してと言っているよう頬紅の紅きを選び春は暮れゆく
2022年5月23日 03:07
君が今日空になったと思うなら傘を持つ手もやさしくなりぬ
2022年5月23日 03:04
静寂を「静寂」にする一ひらと花のワルツを今夜このまま
2022年4月13日 14:09
今って春の大三角とかアークトゥルス見えるんですかね。まぁ誰しもあの時に戻りたいとかそういう風に思う時ってありますよね。人生なんて常に不完全だから昔を美化して大切にしていく訳なんでいや、決してまだ某氏を忘れられないとかじゃないですよ。ずっと待ってる春の夜空で。って5年後も言ってそう
2022年4月6日 22:18
7畳半の暗闇で目を覚ました。枕元に転がっているであろうスマホを探し身をよじるとロフトタイプのパイプベッドがぎしぎしと音を立てた。既に深夜2時を回っている。窓が斜めにつけられたレオパレスでは、朝日や夕日は疎か一日中薄暗い。布団からはみ出し長い間冷やされていた肩から背筋に寒さが伝わり震える。エアコンのリモコンに手を伸ばそうとしたが、布団をかけ直しさらに深く布団に潜った。爪先に冷たいパイプベッドの柵が
2022年2月7日 14:24
死にたい気持ちって不可逆なのかもしれない。一度自殺スレスレまで行くと現状が変わっても自殺欲求って心の底には残り続ける。私はこの先もずっと抱えながら生きてかないといけないのかもしれない。
2021年8月30日 12:51
「ねぇ、何で夕焼けは赤いの?」角の信号が青に変わりかける時、私はこうやってたいして気にしてもない質問をして彼を引き留めた。彼の自転車の荷台に指を引っ掛けて、幾度となく青信号を見送った。信号だけじゃない、彼と別れる時はいつもこうやってでまかせの質問をした。科学のこと、数学のこと、哲学や宗教のこと。彼はどんな事でも教えてくれた。私が頷くまで何度も何度も。「なんでだと思う?」彼はいつも初めに
2021年5月18日 06:36
補助輪の取れた背中に桜雨追風やチャリのペダルに春来たりひこばえに陽の当たる日のアウスかな鞦韆や風に揺るるは未知の朝アオハルの落書きの曲夏浅し指先の君の香流す夏の雨数式に君の右手が滑る夏サーブ打つ刹那視界に虹もあり短冊の夢を滲ます洒涙雨夏季講座フィヨルドの線なぞりたりやはらかな雨に濡れしは祭りあと夕凪や大和の如き今日をゆく赤本の背の色変える日差しかな
2021年5月8日 05:24
僕は舞台の上の貴女に恋をした秋の夕暮れ時の空は先程まで降っていた雨の気配を匂わせながら地球の表面を歩く人々を包んでいる僕は劇場に入りチケットを切ってその半券を財布の中にしまったゆっくりとホールに入る半分より少し前の下手の座席ここがいつものスポット柔らかなクッションが僕の体を受け止めたこの独特の香りは何処から来るのだろうかそんなことを思いながらプログラムのキャストのページの
2021年5月5日 01:05
2021年3月10日 23:53
1枚96円の板チョコを小さく割ってボウルに入れて湯煎にかけるアルミの中の細かな欠片はやがて形を失って黒くて重たいどろどろになる白さと交差し深く深く沈んだそれはまるでいつかの1個110円の代物に注がれたどろどろは何かひとつの真理のように整然と並んでいる温かさと冷たさの先でもう一度形を取り戻したそれらは今日の感情の片鱗心臓と良く似たその形を見た君は笑ってくれるだろうか