マックス・オフュルス監督 『忘れじの面影』 : 見返りを求めないという「美徳」
映画評:マックス・オフュルス監督『忘れじの面影』(1948年・アメリカ映画)
1948年だから、戦後の作品である。けれど、モノクロ作品であることを差し引いても、もっと古い映画という印象を与える作品だし、およそアメリカ映画らしくない。戦前のフランス映画かと見間違うばかりの、きわめて上品かつロマンティックな「メロドラマ」だ。
これは、原作が、オーストリアの作家シュテファン・ツヴァイクの小説であり、ウイーンを舞台にした作品になっているからでもあろう。
しかし、それにしたって、昨