ショーン・ダーキン監督 『アイアンクロー』 : 「家族愛と強くあること」の呪縛
映画評:ショーン・ダーキン監督『アイアンクロー』(2023年・アメリカ映画)
1960年代から70年にかけて、必殺技「アイアンクロー(鉄の爪)」をひっ提げて、日本においても、若きジャイアント馬場やアントニオ猪木らと死闘を繰り広げたアメリカ人プロレスラー、フリッツ・フォン・エリック。
本作は、「呪われた一家」とまで呼ばれた、彼とその家族たちの波瀾の人生を、次男ケビンの視点から描いた、文字どおりの「衝撃作」である。
フリッツは、信仰心厚い妻との間に、6人の息子に恵まれた。ただ