松浦寿輝 『ゴダール』 : ロマンティックな幻想
書評:松浦寿輝『ゴダール』(筑摩書房・1997年刊)
松浦寿輝の「ジャン=リュック・ゴダール」論である。
松浦寿輝は、今でこそ芥川賞を受賞した小説家として知られるが、もとは詩人であり批評家として出発した人だ。
そのあたりの事情については、松浦の小説『半島』(2004年刊・読売文学賞受賞)を論じたレビューに詳しいので、そちらに譲るが、松浦の最初の小説書が1996年刊行の『もののたはむれ』であり、小説書として4冊目の『花腐し』による芥川賞の受賞が2000年であるから、本書『ゴ