吉田健一 「饗宴」ほか 「日本幻想文学集成16」 : 朗らかで自由で頑固だった、 酒好き犬好きおじさん
富士川義之編『日本幻想文学集成16 吉田健一 饗宴』(国書刊行会)
吉田健一を初めて読んだ。ずいぶん前から気になっていた作家の一人で、読みたい読みたいと思いながら、その機会を逸し続けてきたのだが、今回やっと読むことが叶ったのは、きっと本書を含む「日本幻想文学集成」(全33巻)を、1冊も読まないまま、蔵書整理のために手放したからであろう。
私は、吉田の英文学者(研究者)としての側面には興味がなく、興味があったのは、もっぱら「幻想小説作家」の面に限られていた。
そんな幻想小説