12. 好きになった人がたまたま同性だったってだけ
30歳で転職してから出会った
恋人は6歳も年下の同期で
ボーイッシュな女性だった。
初めての会議で隣に座った時、
見た目が男の子か女の子か
考えてしまうほど。
うーん、どっちだ？
化粧してる感じもないけど
体型的に女性？
でも声は少しハスキーだし
手もどっちか分からない。。
のちに女性なんだと分かる。
今までにいないタイプだったし、
私から興味を持って
飲み行こう！とか
あの店行こう！とか
誘いまくった。笑
なかなか誘いに乗ってこなかったけど
新入社員歓迎会があって、
お酒を飲んだこともあり
職場も近いという理由で
ウチに泊まりなよと誘った。
自分の事をあまり
話さないタイプでその日は
素性が分からなかったが
後日新たな展開を迎える。
急遽、泊めてほしいと連絡があり、
驚いて事情を聞くと
実は年上の彼女がいて
その人の子供2人と
4人で同棲中。
そして今別れ話中で
ケンカをして帰れないと。
予想外な話だったし
衝撃的すぎた。
でもその時の私は
もう彼女を側に
おいておきたくて
『じゃあ別れてウチに来ちゃえば？
職場から近いんだし。』
って軽く言ってみた。
それからすぐに彼女は
その家を出てうちに転がり込んだ。
一緒にご飯を作って食べたり
一緒に出かけて
お揃いの物買ったり、、
恋人みたいな感覚で
いつの間にかお互いに惹かれてた。
もう自然の流れで
付き合いが始まった。
今まで同性を恋愛対象に
見たことなんて一度もなかったし、
考えたこともなかった。
でも、
男だからとか
女だからとかじゃなくて、
”この人だから”
ってことなんだよね。
毎日が幸せすぎた。
毎日が大好きすぎた。
毎日一緒にいない未来が
考えられなくなった。
思い出がいっぱいすぎた。
もうこの時点でお互いに
依存していたと思う。
私は甘えてくる彼女が
大好きだったけど、
甘えられない自分がいた。
24時間一緒にいたい彼女と
自分の時間がほしい私の
ズレが生じてきた。
そしてやっぱり体の関係には
違和感しかなかった。
私はもう32歳になっていた。
私、結婚は？
子供は？
このままでいいの？
自分の中でずっと葛藤してた。
彼女はまだ26歳、
まだまだどうにでもなる。
私達が付き合っていることを
彼女が親には言えないと
言った時から、別々の道を
考え始めた。
これから先、誰からも祝福されず
こそこそと人目を気にして
一緒に過ごしていく、、
そんな2人が幸せになれるのか？
そんな2人がどうやって、、
離れることを決心して
ひとまず一緒に住むことを
辞めようと提案した。
正直に私はこの先のことを
不安に思っているということも
話した。
その上で一旦友達として、
同期として付き合っていこうと
伝えた。
2人で大泣きした。
当然相手は反対したし
すぐには諦めなかったけど
話し合いを重ねて
彼女は家から歩ける距離の
アパートを借りた。
別々の家になっても
お互いの家を行き来はしていたが、
少しずつ距離を置くようにした。
結局その後、私に彼氏ができる。
彼女のことを
乗り越えるための
一歩でもあったし、
その彼となら幸せに
なれると思ったからだ。
彼氏ができたと報告した。
そしてその彼と
結婚すると報告した。
彼女は明らかにボロボロになり
職場でたまに見かけるたびに
泣き腫らした顔をしていた。
私もまた結婚前なのに
幸せそうじゃないねと言われるほど
心の中がぐちゃぐちゃで
彼女の事を思い出すだけで
涙が溢れていた。
私がいなくなって
彼女は大丈夫だろうか？
自殺してしまうんじゃないか？
そんなことを思ってた。
もうその気持ちは依存であり
正常ではない。
最近はLGBTに対して
ほんの少しだけど
理解してもらえる環境や
人が増えてきているのかなと思う。
でもまだまだ当事者たちにとっては
公表しにくい世の中だと思う。
同性カップルが
パートナーとして認められ
子供を持つ選択をできるように
なってきた。
私は結果的には
その選択ができなかったけど
きっと私と同じように【この先】を
どうしようと悩んでいる人も
いっぱいいると思う。
好きになった人が
たまたま同性だっただけ。
それなのにこんなに悩んで
こんなに辛い思いもする。
私にとって彼女の存在は
何にも例えられないもので、
何にも変えられないもので
特別なもの。
でも恋愛対象ではないことは明確。
そして今私の隣には
とっても大切で
大好きな旦那の存在がある。
彼女ではない。
気持ちを吹っ切るには
手っ取り早い方法なんてない。
時間が経つことでしか
解決しないこともある。
彼女は今転職して
遠くに引越して
新たな仕事を頑張っている。
今は妹のような
友達のような
そんな存在として
たまに連絡をとる関係だ。
依存と執着と洗脳って
なんか似てるよな。