新古事記
村田喜代子著「新古事記」読了しました。
今年のアカデミー賞受賞映画「オッペンハイマー」で描かれた、原爆開発のために砂漠の真ん中に作られたコミュニティ・アラモアナをそこで暮らした研究者の家族の目を通して描いた作品。
あとがきによると「ロスアラモスからヒロシマへ 米原爆開発科学者の妻の手記」という本が下敷きになっているとのこと。
映画を見に行く前に読もうと思っていたのですが、遅くなっちゃった。
でもおかげでY地やオッピーや将軍のビジュアルが容易に思い浮かべられました。
映画で「キッツイなぁ」と思った、広島に原爆投下「成功」したことをアラモアナの人たちが泣いて喜んでいたところ。
この小説では真逆でした。
3年に渡って家族にも秘密裏に研究されていた何か。
1945年7月、砂漠での実験大成功で研究の内容が明らかになり(映画でもそこは重要なシーンだった)浮かれに浮かれるY地の人たち。軍楽隊のマーチ、子供たちはおもちゃの楽器を打ち鳴らし犬たちは絵の具で「ハッピーバースデーアトム!」と描かれた帯をつけてパレードを繰り広げる。
こっちだと思いたいなぁ。
映画「オッペンハイマー」での広島への原爆投下を泣いて喜ぶ人たちの姿は、いくらなんでも…と思ったことでした。
ところで犬がいっぱい出てきて楽しかった。
主人公はY地の動物病院で働いていてそこで毎日犬の世話をして、犬を連れて来る奥さんたちと仲良くなるのです。
ルーズベルト大統領の犬の話も知らなかったー。