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本を売るという行為
本を売ることがなかなかできないのが、売った後に少しだけ後悔に後ろ髪を引かれるからで、もしかしたらいつかの自分が読みたくなるかもしれないという気持ちが消えないから
本についた傷や年季は私の元にあったからこそ出来たもので、二度と同じようにはならないから、何となくそれが一点物で、レアで、私だけのもののように感じてしまうから
売った後に残ったお金が、大抵「これだけの価値にしかならないのか」と思ってしまうから
とはいえ、私の家の本は年々増えていく一方だし、学生の身で本のために大きな部屋を借りて家賃を払うことももちろん厳しく、手放さなくてはならない瞬間が毎日のように訪れる訳で
じゃあ買わなければいいんじゃないか、と言う話も、本のおかげで生きている節があるからそれはそれで難しくて…
何かを蔑ろにしなければいけない人生が時々嫌になる
お金を稼ぐにも時間が必要で、お金を稼いでいる間は趣味に没頭出来なくて、趣味に没頭するとお金が無くなってしまう
どうして思い通りにいかないんだろうか
母から売っておいてと言われて貰ったフランス語の辞書、あれは取っておくべきだった
今日も好きだった本たちにごめんねと言って査定にだし、泣きながら得た二百円を握りしめ、八百屋で皮がきたなくて安いりんごを買った