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誰かの正解求めるな ~Canaan~

今回は『誰かの正解求めるな』というテーマの楽曲『Canaan』についての話です。
だいぶ長くなりました。

どうも『自分を生き抜く』をテーマに歌ってます、comprehend「コンプリヘンド」というバンドのvo/gtネモトナオヤです。

『Canaan』(カナン)は2021年にリリースした2ndアルバム『clarifioligy』に収録されています。


▼ようこそ中東へ▼

かなりクセが強い曲になりました。アルバムの中でも異色の曲。
中東音階やラテンのリズムを取り入れています。

僕が作った素材(仮歌とギターのコード)をBa.外山にーやんに聴かせたところ、

『これは中東やラテンのアレンジがハマるんじゃ…?』

となり試すことに。

まったく予想していなかった角度からのアレンジ。でもこれが見事にハマりました。シタールの音はクセになりますね。Ba.外山にーやんのアイデアに感謝です。

口で説明するより聴いてもらう方が早いと思うのでリンクを貼っておきます。良かったら聴いてみてください。(インドっぽいメロディで使ってる楽器がシタールです)


そういえば製作してるときにも2人で話していたのですが、
ロックバンドの重鎮たちは一度はインドや中東に行くイメージがあります…。

Queenのムスターファには度肝を抜かれました…
(Jazzというアルバムの一曲目に入ってます)


Aerosmithも強烈に印象に残っています。
(ちなみにエアロのアルバムではNINE LIVESが1番好きです)



恐れ多くも、僕らも中東に呼ばれたようです。


▼異国の歴史▼

歌詞にはかなり苦戦しました…。
中東の音はイメージできても、伝えたいテーマ『自分を生き抜く』をどう結びつけるか?
どうしようか…。なかなか見えてこなかったので、中東という場所の歴史や土地を調べてみることにしました。

【中東】
地域概念では、インド以西のアフガニスタンを除く西アジアとアフリカ北東部の総称。
特定の主体から見て東に位置する地域を指し示す相対的な概念。

範囲は曖昧であり、厳密な定義をして用いるようになったのはイギリスの政治行政官である。極東、中東、近東などはイギリスからみた呼称として成立した
wikipediaより
中東解体新書より

そもそも中東というのは日本の都道府県みたいに決まった範囲があるわけではないみたいですね。
地図で見るとアフリカまで入っていたり、石油王のイメージがあるサウジアラビアや紛争が起きてることをニュースで耳にする場所が中東とくくられていました。ちなみにインドは中東に入ってない。
イギリスから見ての東ということみたいです。

これは東西冷戦の歴史や現在のロシア・ウクライナ問題で出てくる東側、西側(NATO)とも関係してそうです。ですが、この辺りは勉強不足なので一度置いておきます。
(歴史は面白そうなのでちょっと調べてみたくなりました)



▼一つの都市に三つの聖地▼

話を歌詞作りに戻します。

中東を調べていくうちに気になった場所がありました。イスラエルという国にあるエルサレムです。
名前は聞いたことあるけれど一体どういう土地なのか?全然知らなかったので興味が湧いてきました。特に印象に残ったのが、エルサレムは三つの宗教の聖地ということ。

【エルサレム】
イスラエルにある都市。エルサレムは世界最古の都市の一つであり、エルサレムはユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖市と見なされている。
wikipediaより

多くの日本人にとって縁遠い宗教や民族という概念。僕自身も、特別どの宗教を信じてるというのはありません。強いて言うなら八百万の神でしょうか。

そもそも、クリスマスを祝い、お寺で除夜の鐘を聞き、神社で初詣。キリスト教や仏教、神道などがごちゃ混ぜになった中で暮らしています。

民族という言葉も島国日本で暮らしている以上はあまり意識していない。日常生活でほとんど日本人としか関わらない。
同じ言葉、同じ顔、同じ肌の色、同じ慣習。(方言の違いがあるくらいでしょうか)

だからなのか、聖地がひとつの都市に三つあるということはその土地で暮らす人たちにとってはかなり重要なことだけど、自分にはなかなかピンときませんでした。




▼それぞれ自分の信じるものがある▼

『それぞれ自分の信じるものが一つの都市に集まってる』
なかなか理解しづらかったけど、自分の日常生活に当てはめてみると同じだなぁと感じました。

信じるものは日本人でもそれぞれある。
例えば、家のしきたりや土地の慣習、方言なんかはまさにそう。西日本と東日本では味噌や出汁が違ったりもしますよね。
(むかし、神戸で食べた白だしのカツ丼を思い出しました)

育ってきた環境、過ごした場所で信じるものを当たり前として無意識に選んでる。
無意識に自分はそれが良いと思っている。


その土地その土地で守ってきたもの、信じてきたものが違う。そして同居してる。どれが良いとか悪いとかじゃない。
エルサレムは世界の縮図なのではないか?と考えました。

中東

イスラエル

エルサレム
この流れから今回の歌詞のテーマ
『それぞれ自分が信じるものがある=自分が思う正解』

に繋がっていきました。



▼正しさとは?▼

『自分が思う正解』というキーワードが出てきたのでここから『正解』を深掘りしていきました。

誰かを裁くことなんて誰にも出来やしない 
生命を食べて僕ら生きてるだろう

正しさ求めるあまりに誰かを傷付けている
〝自分は違う〟そうと言い切れるのか?
Canaanより

正解を追求していくと矛盾が生まれる。
正しさを求めた先でぶつかるのは他人との正解の違い。自分が思う正解、それは他人にとっては違っていたりすることがあります。

正しさとは一体なんなのだろう?
自分が思う正しさを押し付けると誰かを傷つけることがある。これがエスカレートすると現在のSNSでの誹謗中傷のようにになってしまう。

「自分はそんな傷付けることはしていない!」と思ったとしても、どこで誰が傷つくのかは分かりません。僕の歌詞やこのブログでさえ傷つく人がいるかもしれない。

もちろん、そんなことをしようなんて思ってない。けれど別の角度から見たらそうなる可能性はあるのかもしれない。

自分の発することが誰かを傷付けるかもしれない。なら、黙って自分の意見は言わないままでいいのか?ここは本当に難しい…

でも、(誹謗中傷は良くないという前提で)ここに明確な答えは今はないけど、
考えること、考え続けること、発することでその後の自分の言葉や行動が変わったりするのではないか?
そんなことを思って歌詞にしました。


▼時代で正解が変わる▼

誰かの正解求めるな 時は答えを変えてく 
心の中で震えるものに触れろ

何が正しいことなのか 誰かに託すものじゃない 
この歌も自分で選んでいけ
Canaanより

答えを求めてしまいがちだけど、時代が変わればどんどん正解が変わっていく
コロナでデジタル化が進んで、時代のルールが変わってきている。これも歌詞を書くうえですごく影響されました。

最近の話になりますが、まさに時代で答えが変わるんだなという例を知りました。
話題に上がっているロシア。
社会派ブロガーちきりんさんが2007年にロシアに訪れた時の話が印象的だったので引用させていただきます。

ソ連からロシアを生きた人の話です。
「ソビエト連邦の時代は共産党に入るのがエリートの道だったが、食べるものがどんどん無くなって大混乱に。生き残るためには隣の人のものを盗んででも生きろ!という状況。プーチン政権になって落ち着いたけどこれから先もどうなるか分からない」
という話でした。

ソ連が崩壊したのは1991年。ほんの30年前。
歴史を見ると国という一つ大きなものでさえガラッとその時代の正解を変えてしまう。その時に国を信じて生きていた人たちにとってはたまったもんじゃないですよね。。



大きな話になってきましたが、自分の住んでる国でさえ答えが変わってしまうのだから、会社組織や世の中の流れでさえ変わっていくのは必然なのかなと感じました。

だからこそ誰かの正解を求めるんじゃなくて、自分の中での正解を置いておく。そうすることで振り回されることが少なくなるんじゃあないかと思います。

何を信じるか?=自分が良いと思うものはなんなのか?それを自分で選んでいくことは『自分を生き抜く』ことに繋がる。

最後に歌詞を貼っておきます。だいぶ長くなってしまいましたが、ここまで読んで下さりありがとうございます。

日々コツコツと、1ミリでも自分の望む生き方へ。
それでは、今日も自分を生きてやりましょう。

Canaan

間違えたことは罪のままなのか 死ぬまで許されぬのか?
間違いに罰を与えるばかりじゃ恐れて何も出来ない

oh oh …

誰かを裁くことなんて誰にも出来やしない
生命を食べて僕ら生きてるだろう
正しさ求めるあまりに誰かを傷付けている
〝自分は違う〟そうと言い切れるのか?


誰かの正義は誰かを殺す 果たしてそれは正義か?
どちらが正しいと決めつけられる単純な世界じゃない

oh oh…

僕らが見てる地図だって誰かに描かせるな
染み付いている〝右にならえ〟を祓え
誰かの言葉に合わせて自分を飼い殺してる
そんなことで生命を終わらせるな


誰かの正解求めるな 時は答えを変えてく
心の中で震えるものに触れろ
何が正しいことなのか 誰かに託すものじゃない
この歌も自分で選んでいけ

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▶︎comprehend(コンプリヘンド)◀︎


『誰かのための人生になってないか?』

『自分を生き抜く』を歌うメロディアスなオルタナティブロックバンド。

激しく繊細。
美しく愚直。
エモーショナルなシューゲイザー、ドリームポップを軸としつつ、グルーヴィー。
あらゆる要素を包括した、ジャンルの枠に囚われることのないcomprehendの音楽を構築する。

comprehend
vo/gt 根本直哉 ba/cho 外山タロウ



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