価値ある事業アイデアを生む「問い」とは
自分は『正しい問い』が設定できているのか? は、身近なひとに事業アイデアを伝えたときの反応でわかるものです。
たとえば、自分が考える事業アイデアに対して「へー、そうなんだね」で終わるのか、「え、それなに?もっと聞かせて」と続くのか。
後者のポジティブなフィードバックをもらい続けるためには、相手から共感を得られるような「問いかけ」ができていることが大切ですし、続くことで「事業の確からしさ」をある程度までは担保できます。
今回は「事業アイデアと良質な問いかけ」について考えを記してみます。
事業創出における「正しい問いかけ」とは何か
以前公開したnote『「問題」の見つけ方と「課題」の設定を考える』で、デザイン思考について3つの特長を述べましたが、「正しい問いかけができているか」のチェックポイントもこの3つのポイントと同様のことが言えるように思います。
(1)問題解決に向けて最も重きを置く要素は、ユーザーの「共感」、「理解、納得」
(2)問題の定義付けと解決意図を明確にした上で、アイデアの創出と組み合わせの試行錯誤を繰り返しブラッシュアップする
(3)バイアスや固定観念を取り去り、前例にも捉われない
事業活動を通じて実現したい未来に向けて大事にしなければならないのはユーザーの「共感」です。では事業活動において、実際にユーザーの共感を得ることができたビジネスモデルとはどんなものがあるのでしょうか。
僕は、ゲームとフィンテックが融合するGameFi領域で、世界をリードするNFTゲームプラットフォーム『PlayMining』を運用するDEA社に注目しています。
同社のNFTゲームは、従来のモバイルゲームの性質であった「お金を消費させるプラットフォーム」を「お金を稼げるプラットフォーム」に逆転させているところにミソがあります。実際に、ブロックチェーンを使って、貧困層に生活費や学費を稼げる仕組みを提供しているそうです。
つまり、DEA社の事例からいまあるビジネスモデルに対して逆説的な問いかけをすることで「質の高い問い=新しい事業のビジョン」につなげられる可能性があると僕は学んでいます。
成熟事業の担当者がスタートアップの会話から学べることは多い
自分たちの事業に逆説的な問いかけをする、ということについて、成熟事業の担当者はスタートアップのメンバーの間で繰り広げられる会話を参考にすると良いかもしれません。
たとえばスタートアップは以下のような雑談の延長で話したアイデアが試され、事業活動に発展していくことがよくあります。
コーヒー休憩や飲み会の場でゆるくはじまる「実はこういう未来に向けてこうアイデアがあるんだけど、実現できると思う?」という提案
2週間後の飲み会で「この前話したアイデア、こんな感じでできそうなんだよね」と検証結果の共有
飲み会から1ヶ月後にペーパーモックができあがり、チームで実装に向けて動く
このスピード感はもしかしたら成熟企業ではちょっとあり得ないかもしれません。
もちろん、技術的なことがわかっているスタートアップだからこんなクイックに話が進んでいることもあると思います。
でも、スタートアップだけではなく、起業家やイノベーター気質同士の会話ってきっとこんな形で「気軽に試してみよう」の精神でクイックに物事が進んでいきます。
そんな彼らの特長として「日常のニュースを自分ごとにして考える」「問いが内在化されている=常に問いかけをしている」ことが習慣化されているように感じます。
自分の目先の業務に関係ないことでも興味を持つからこそ、たくさんのアイデアが思い浮かぶし、それが日々の会話の質の底上げになっているんです。
問いの質はインプットする一次情報で変動する
スタートアップや起業家、イノベーター気質の方から学べることは他にもあって、彼らの根幹にある「自分の知らないことを否定しない」という姿勢です。
どれだけ質の良いインプットができているかで、問いかけの質も良くなっていきます。
インプットの情報はインターネットの情報でも、飲み会や交流会で直接人から聞く、でもなんでも良いんです。ただし、一次情報に自分が極力近づいていることが重要です。
たとえば、冒頭で述べたDEA社に例えるなら「ネトゲに課金しまくっているソシャゲ会社の社員」がアーリーアダプターとして、事業アイデアの参考になる一次情報をもっているないしは取りにいってる可能性が高いです。
自分がもっている仮説を実証したいのであれば、どこから、何の情報を得るべきか、といった視点で情報源を選別して、インプットをしていけるとより“質の高い”情報に近づけるかもしれません。