眠れない人と謎のおじさん
さて、音響の作業もひと段落終えました。あとは本番まで微調整です。
本番というのは、私が在学しております、
多摩美術大学の演劇舞踊デザイン学科8期の
2023年度 上演制作実習Ⅰ 演劇公演
原作:W・シェイクスピア「ロミオとジュリエット」
『ここだけの話』
という作品ですね。もう既にチケットが完売したという有難いことが起きているようです。本番まで頑張らなくちゃ。
そして現在、劇作を唸って搾り出してる所存でございます。全く進みは芳しくありません。
というわけで
永田はちと、元気ではないです。
これはいわゆる鬱状態です。永田の場合、定期的に起こります。
永田のいう鬱状態というのは、動き出す気力がない、というものに終始してます。
今いる場所から動けない、食べるのが億劫、シャワー浴びるのが億劫、等々。
最終的には動くし食べるし、浴びるのですが。
そして何が嫌って寝れないことです。
寝れない時、やること
①インド香を焚く。
死ぬほど大量にあるインド香。あの量は死ぬまで、いや、死んでも無くならないと思う。比較的安価で手に入れられるので、エスニック雑貨に入ったら出た時には一つ二つ買ってる。全然なくならないので、いい機会とばかりにそれを使う。
②アロマキャンドルを焚く。
IKEAで買ったやつ。大切にちまちま使っている。暗いところで使うと楽しい。蝋が溶けていくのをじっと見るのが好き。そして火の黒いところを見ていると、某シュガー氏の如く超能力を使い始められるのではないか、という妄想を一瞬楽しむことができる。(ロアルド・ダールの『奇才ヘンリー・シュガーの物語』をご参照ください)
③『寝れる呼吸法』を試す。
軍隊がやっている、とか昔本で読んだ方法、など。時々成功するが、確実に効果的な感じはそんなにしない。いい方法ある人は教えてください。
④奥義:睡眠導入剤
処方されたやつ。効果は抜群。信頼もしてる。ただ、翌朝にも響くし、もう二錠しかないのであまり使いたくない。また病院行くのめんどくさい。でも今回はこれは使わないといけないんじゃないか、と思う。うーん。
そして
⑤最終奥義:寝具を、或いは寝具の場所を変える。
これもめんどくさい。個人的には④以上にめんどくさい。できれば変えたくない。永田の特性上、枕を普段足の方に移動させるだけで寝て起きてがスムーズになるのである。
連続的にそのスムーズさを担保させたいのであれば、毎日違う場所に布団を敷かなければならない。
この⑤の特性を活かした快眠方法が、旅行である。
毎回、違う宿に泊まり、違う硬さの寝具で寝る。だいたい寝付き寝起きが良い。
ちょっと気晴らしに、以前行った旅行を思い出そうと思う。
この夏、静岡の伊豆を中心に同行者と二人旅へ行った。
初日の宿はビジネスホテルのようなところである。
小さいが清潔でなんとなく雰囲気のある場所であった。
自分達以外にもお客はいた。ビジネス目的らしい壮年男性が何人か。
そして廊下の一番手前の101号室に案内された。
その部屋でも、若干枕が硬いなという印象は持ったものの床に就いてすぐに寝た。
翌朝、
案の定、永田の寝起きは通常時より格段に良い。
一方、同行者の寝起きが悪い。
聞くと「隣におじさんがいて眠れなかった」と言う。
どうやら102号室におじさんがいたのだろう。
きっといびきがうるさくて眠れなかったのだ。
この同行者というのが、耳が恐ろしく良い。そして動かせる、耳を。
(分からないが、耳を動かせるのは聴覚が優れていることの同義だと思っている)
そして耳以外にも嗅覚や触覚なども優れている。
なるほど、耳が良すぎるというのも考えものだな、とその日の目的地へと足をすすめた。
辿り着いたのは 怪しい少年少女博物館。
ああ、もう見るからに怪しかった。入るのが若干怖くてワクワクした。
怪しい少年少女博物館には、昔懐かしのグッズやフィギュアが所狭しと並んでいた。本来置いてあったら「悪趣味だなぁ」と思われるものも、あの場所がそれを正当化させていたと思う。非常に興味深いものばかりだった。
永田が特に気になったのは保存状態の悪い剥製の数々、双頭の牛、そしてレトロゲーム。
そして怪しい少年少女博物館には、ちょっとしたお化け屋敷があった。怖めのフィギュアなどは、その暗いところに押し込められていた。
入るとセンサーで動くモーターによって動かされるフィギュアたちがいる。
正直怖かった。
ただ、勘違いして欲しくないのは、怖さの種類が本来のお化け屋敷とは違うのだ。恐怖が100%を占めているのではないのだ。
なんて表現すれば良いのか難しい。
とんでもない音を立てながら落ちていくジェットコースター的な怖さ、、、というか。
壊れないよね?!ねぇ!?壊れないよね?!?!
という怖さ。不気味さからの心配というか、、、
(東北の人は八木山サイクロンを想起していただきたい。感覚としてはあれが似ていると永田は思うのです。)
お化け屋敷から出てきて「なんか思ったより怖かった。変な怖さがあった」と永田が言うと、同行者は
「そう?今日までいたホテルの方が怖かったけど。おじさんが隣にいたし」
永田「隣って隣の部屋でしょ。ほんとよく聞こえるね」
同行者「違うよ、隣だよ。すぐ横」
永田「すぐ横、永田じゃん」
同行者「いやいや、私と永田のベッドの間に立ってたじゃん。おじさん。見てないの?」
見てねぇわ!!
んじゃ、皆さん。
よく寝る、健やかで文化的な日々をお過ごしください。
永田那由多