FPSにおける最適なウォーミングアップとその考察
FPSをやっている人ならみんな、その日の調子というものにパフォーマンスが左右されてきたと思う。私も調子の振れ幅が大きく安定しないので日々苦労している。
調子を安定させるために色々なことを試してきたので、その中でも効果のあったものをこの記事で提供しようと思う。(この記事で本当に見てほしいのは2.脳のウォーミングアップの部分なのでそこだけでも見てもらえたら嬉しい。)
まず、FPSにおいて調子を安定させるために必要なことは健康管理と最適なウォーミングアップである。この記事ではウォーミングアップにフォーカスして書いていく。(健康管理は各自で最適なものを見つけた方がいいため)
結論から言うとウォーミングアップは
1.エイムのウォーミングアップ
2.脳のウォーミングアップ
の2種類をやる必要がある。
1.エイムのウォーミングアップ
私の場合、苦手なエイム練習5割+総合的なエイム練習5割でkovaakを使ってウォーミングアップを行っている。
エイムのウォーミングアップは基本的にやるゲームによって異なるのでここではウォーミングアップのメニューの決め方だけ紹介する。
決め方は簡単でゲーム内でエイムが悪かった時の録画を見直し、改善できそうなkovaakのシナリオを探してメニューに加えるだけである。
総合的なエイム練習も同じ方法で探してもいいし、ゲーム内の射撃演習場を使ってキャラコンを織り交ぜながら1on1をするのもいいと思う。
それでも何をすればいいかわからないという人のために私が使っているkovaakのプレイリスト(apex用)を公開する、それなりに量が多いのでいらないと思ったシナリオは消したり、自分に合ったプレイリストに改善したりして使って欲しい。↓
シェアコード:KovaaKsStartingBurntorangePlunder
ただし、エイムのウォーミングアップで注意したいのは長くても40分までに抑えるということである。ゲーム前に前腕や手のひらの筋肉を消耗しすぎるとウォーミングアップでパフォーマンスが低下することになってしまいかねない。
2.脳のウォーミングアップ
この記事で本当に伝えたかった部分である。
FPSは正直なところエイムより頭を使って勝つゲームだと考えている。
そこで初戦から脳をフル回転させれるようになるウォーミングアップを探した。
結論からいうと脳のウォーミングアップに最適なのは、
10~15分のできるだけ速い音読である。
なぜ音読が脳のウォーミングアップに最適なのか説明するためにまず心理学で使われている脳の2つの特徴について述べる。
心理学の分野では脳の機能を2つの機能に分け、それぞれ名前をシステム1、システム2と名付けた。
認知心理学者のダニエル・カーネマンの著書「ファスト&スロー」(2014)には、こう説明されている。
システム1:自動的に働き、自分でコントロールしている感覚は無い。
システム2:頭を使わなくてはいけない集中力の要する作業を行う。
(p.41)
脳のウォーミングアップでは、システム1はコントロールすることができないので、システム2を重点的に活性化させることを目的とする。そのためにシステム2の機能の一つである集中力の要する作業を行い、セルフコントロールや認知機能を高める。
認知機能を高める作業の一つとして立命館大学人間科学研究所高齢者プロジェクト(高齢者に対する計算と音読活動の介入が前頭葉機能の活性化におよぼす影響:NIRSによる検討、2008)では以下のような実験が行われた。
「認知症高齢者を対象にして、音読と易しい計算問題を1日に20分前後、1週間では3~5日間遂行してもらい、半年間または1年間にわたって介入をおこない、介入前後の変化を観察した。」(p.2)
結果としては、認知症高齢者を対象とした実験のため、改善の見られる部分とそうでない部分が明らかになった。しかし、同様の実験を「健康な大学生を対象にして検討した研究では、明らかに前頭前野を活性化していることが、証明されている(川島、2002)」(p.3)と記述されている。(前頭前野は認知機能を支配する脳の領域である。)
また、先述した「ファスト&スロー」では、子供に集中力を要するコンピュータゲームをやらせた結果、セルフコントロールが改善したとともに感情のコントロールにも大きく影響が出たことが記述されている。(p.89)
以上の2つの例から、kovaakのような特に集中力を要する作業と音読をすることで脳の認知機能とセルフコントロールを活性化し、ゲーム内でのパフォーマンスの改善に効果が出ると考察できる。
12日間という短い期間で、対象者が自分のみという信憑性に欠けるデータではあるが、上記の2つのウォーミングアップでゲーム内のパフォーマンスが改善したことは感覚的にも録画から見ても明らかだった。
以上のことから、エイムと脳の2つの要素をウォーミングアップすることでその日のFPSを調子の良い状態で始めることが可能である。