リストカットシンデレラ15
割引あり
【十八歳】車にはねられた
夏になってピーマンを作る事になった。
本当はナスを作りたかったけどばぁちゃんが反対。ピーマンなら初心者でも簡単らしい。
ピーマンは剪定をして、自分の背より大きく育てる。
出荷するには規格があって大きさ、形、重さが決められている。傷物はダメ。規格外は全部ゴミ。食べるか捨てるか。
腐ったピーマンってものすごく臭い。ときどき気づかないで触ると最悪。
この頃、五月ちゃんがウチによく遊びに来るようになった。私にとって、ちょっとお姉ちゃんみたいな存在。夏休みはほとんど毎日遊んでいた気がする。
私は車の免許を取った。
お父さんが車を買ってくれるって言ったけどウチは貧乏だからいらないって言った。それにじいちゃんが乗っていた車があるし。毎日その車で五月ちゃんと遊び回った。
私は教習所に行くのが嫌で本当は免許を当分取るつもりはなかった。お金もないし。でも、野菜を出荷するのに車は絶対に必要。しかも軽トラはマニュアル。
ばぁちゃんにお金を借りて、早く教習所を卒業するために毎日通った。真面目に勉強もしたし、予習復習は欠かさない。
もう二度と教習所には行きたくない。鶴見は面白かったからもう1回行きたい、なんて抜かしてたけど学校みたいで最悪だ。お金をばぁちゃんに返せたのは、教習所に通ってる時に夜にビールを飲んで気分転換に自転車で散歩していた時に事故にあったから。
外灯のない真っ直ぐな道。目の前には信号のない交差点。右から車が飛ばしてくるのが見えたけど私の方が先に渡れると思った。間に合うと思った。
でも気がつくと、私はスローモーションのように宙を浮いて、地面に落ちた瞬間、激痛が体中を駆け巡って声が出ない。とっさに、じいちゃんがお迎えに来たと思った。
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