リストカットシンデレラ
リスカットシンデレラ 14話〜26話が読めます。 1話づつの販売もしてます。 1話と2話は無料で読めます。
リストカットシンデレラ 3話〜13話が読めます。 1話づつの販売もしてます。 1話と2話は無料で読めます。
小学生のタバコと自殺あれは確か、小学校3年生の時だったと思う。 私は幼い妹の手を引いて、ばぁちゃん家の近くにある煙草の自販機に向かった。 じいちゃんの口から重く吐き出される入道雲のような煙が好き。 母が煙草を挟む指先に漂う色が好き。 父がさりげなく空になった箱をクシャクシャにする瞬間が好き。 「ねぇ奈々、煙草って美味しいのかな」 「・・・知らない」 「吸ってみようか」 「うん!」 妹は、お菓子を買いに行くみたいにルンルン気分。 知らないって幸せだよね。 私は少し高鳴る
何ていえばいい? 私は友達に恵まれている。優、五月ちゃん、楓ちゃん、鶴見、時枝にもカミングアウトした。 「別にいいんじゃん。だってさ、好きになっちゃったもんはどうにもできないしさ、何が悪いん?」 時枝はサッパリ。確かに人に話したら楽になった。自分がレズって事を隠してた時より、心の底にある錘が軽くなったような気がする。自傷の癖はいまだに抜けないけど。 家族は相変わらずゴタゴタしい。奈々は母に何も話さない。話せない。私のところに泊まるのでさえ、一苦労だ。 「お母さんに、泊ま
我が家の住人 メールはほとんど毎日。お互いにたわいもない内容。日々はバラ色だ。彼氏なんか要らなくなるくらい、私に夢中にさせてやる!意気込みだけはいつもトップクラス。 時枝が夜、突然飲みに来た。 「カイちゃん、今日はお客さん連れてきたよ」 「え?誰?」 「だーれだ」 「春!」 「カイちゃん、久しぶり!」 「久しぶり!早く上がんなよ」 「おじゃましまーす」 「いつも2人で飲んでるの?」 「そうだよ」 「うん、朝までね」 「まーったく、どうしようもねぇーんじゃねん」 「飲まな
変わったこと 「いつもメールしてるけど、会うのは久しぶりだね」 「そうだね、何か変わった?」 「何も変わってない。カイちゃんは変わった?」 「特に変わってないなー。あっ二十歳になった。大人だよ大人」 「ふーん、でもカイちゃん子供っぽいじゃん。私の方が大人だよ」 「お酒と煙草吸ってもいいんだぞー」 「そんなの、前から吸ってるじゃん」 「まぁ、そうだけど」 「前に、煙草のこと学校で勉強したんだけどさ、カイちゃんやめた方がいいよ」 「わかってるんだけどやめられないんだよなぁ、こ
会話 「カイちゃん」 体が固まる。 「おぉ、おう久しぶり」 「遅れてごめんね」 「あぁ、別にいいよ」 杏は私の隣に座り、うつむいたまま目を合わせなかった。 「緊張してるの?」 「う、うん、けっこう」 「へー。別に緊張するような相手じゃないじゃん」 「本当はさ、ずっとあそこにうずくまってたんだ。タイミングがなくて、なかなか出てこられなかった」 「え?!マジで?そこにいたの?早く出てくればいいのに。私が1人でキョロキョロしてたの見て笑ってたんだろー」 「違うよ、なんか緊張しち
読まれた手紙 「もしもし何?」 「お前、何やってんの?」 「は?!」 こうなったら逆キレだ。 「あの奈々と同じ部活の子、あの子に何かやってんだろ」 「何が?何もしてないよ」 「今日、その子のお母さんがたまたま友達とお父さんの働いてるカラオケハウスに来て、変な手紙もらったからやめてくださいって言われたんだよ」 「は?!何、変な手紙って!」 「だから、好きだとかなんだとか書いた手紙!言われるの2回目なんだよな。初めて言われた時、何の事かサッパリわかんなかったけど、今日たまたま
【十八歳】車にはねられた 夏になってピーマンを作る事になった。 本当はナスを作りたかったけどばぁちゃんが反対。ピーマンなら初心者でも簡単らしい。 ピーマンは剪定をして、自分の背より大きく育てる。 出荷するには規格があって大きさ、形、重さが決められている。傷物はダメ。規格外は全部ゴミ。食べるか捨てるか。 腐ったピーマンってものすごく臭い。ときどき気づかないで触ると最悪。 この頃、五月ちゃんがウチによく遊びに来るようになった。私にとって、ちょっとお姉ちゃんみたいな存在。夏休み
病室 2月8日、雪じいちゃんの命日。 年が明けて元旦。救急車を呼んだ。 ばぁちゃんが慌てて私の部屋に来た。 「果理!!じいさんがどうかしちゃったよ!」 私は急いでじいちゃんの所に行った。 「じいちゃん!じいちゃん!!」 目が開いてるのに返事がない。微かな呼吸。 手を触ったら冷たかった。 ばぁちゃんはオロオロしながら父に電話。救急車を呼ぶように言われて急いで電話する。ばぁちゃんは慌てててパニック状態。 「ばぁちゃん!ばぁちゃん!!」 「あ?!」 「落ち着いてよ」 「・・・
孫は同性愛者 本当は結婚をして家庭を作りたい。 でも、この国は同性愛の結婚を認めないし、どんなに愛し合っても子供を作る事はできない。 じゃぁ、結婚て何?なんの為にするの? 年頃になると、大人たちは結婚の話とか「恋人ができた?」とか聞いてくる。 恋はしてるけど女が好きだなんて言えないし。 結婚なんてしたくない、自分の親みたいになるのは嫌だ。本当に好きならずっと一緒にいればいいだけ。子供は産みたくない、いつもそう言っていた。 心の底では結婚したいのに。でもできないから。 ば