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リストカットシンデレラ16
読まれた手紙
「もしもし何?」
「お前、何やってんの?」
「は?!」
こうなったら逆キレだ。
「あの奈々と同じ部活の子、あの子に何かやってんだろ」
「何が?何もしてないよ」
「今日、その子のお母さんがたまたま友達とお父さんの働いてるカラオケハウスに来て、変な手紙もらったからやめてくださいって言われたんだよ」
「は?!何、変な手紙って!」
「だから、好きだとかなんだとか書いた手紙!言われるの2回目なんだよな。初めて言われた時、何の事かサッパリわかんなかったけど、今日たまたまお父さん掃除してたらさ、お前が書いた手紙見てよ。やっと意味がわかった。何をやってるん?!お前、何考えてんだ?」
「何って、何も考えてないよ。好きだから好きって言っただけ。別に普通の事じゃん」
「お前さ、女が好きなんだか知らないけど、それはひとまず置いといて、もう少し大人になれよ。奈々とたいして頭も年も変わんねぇガキ相手にして、どうすんだ?へたしたら相手の親に怒鳴りこまれるぞ!ましてや、あそこの家は娘が陸上で活躍してるし、もぅ可愛くってしょうがねぇんだから。その娘に変な事したら、あのオヤジさんだって、お前どう出てくるかわかんねぇかんな!そしたらここに住んでいられなくなるよ。今日あのお袋さんが来て、俺もビックリした!」
「もう手紙もやってないし、会うこともないよ」
「まぁとにかくなんにしても、もう少し大人と恋愛しろ。お母さんはいいじゃんなんて言ってたけど、俺にはわかんねぇ。はっきり言ってお前の感覚が。でも、お父さんがどう言ったからって、どうにかなるもんじゃないし。まぁ、その話はまた後でゆっくりするとして、あんまり変なことしないでくれよ。大体、奈々にそんな事させんなよ」
「わかってるよ。奈々は私が無理やり頼んで渡してただけだから。奈々は何も考えてないよ」
「まぁ、そうだろうね。とりあえず話はそんだけ」
「じゃぁね」
それにしても、杏の親に手紙を読まれた事は、動揺を隠せない。
きっと杏はそんなこと知らない。知る必要もない。
もう会うこともないし。
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