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ほとんどの人が勘違いしている、会社に捧げた時間の価値

「俺はな、休み明けで体調が悪い部下は許さないんだ」

もう20年前くらいに言われた言葉だが、いま思い出しても失笑してしまう。


当時、僕は営業担当で外回りをしており、この言葉を発したのは内勤の上司だった。

野球の強豪校の出身で、体が大きい。その出自から部下にはどこか威圧的なところがあった。

シンプルに、体育会系。そんな人物だった。


ある月曜日、僕の後輩が会社を休んだ。体調不良らしい。

嘘をつく人物ではないから、本当なのだろう。でも、支店内はどこか落ち着かない雰囲気になっている。

いまでこそ、有給を積極消化せよとの号令の元、常に誰かが休んでいる状態は当たり前になったが、当時は全く違った。

20年前は、有給は1日も消化してはならないものとされていた。そして実際に、病欠以外で有給を使う人は皆無だった。

だから、平日に誰かがいないという事態そのものが極端に少なかった。そうなると、メンバーが欠けている状態がどうにも落ち着かない。

そんな中、後輩が病欠し、僕の上司は冒頭の言葉を口にしたのだ。

「そうはいっても、体調不良じゃ仕方ないと思うんですけど」

と、僕は当然すぎる返答をした。

病気にいつ罹患するかはわからない。好きで罹る人などいない。それは事故みたいなもの。僕はそう捉えていた。

「あのな、次の日仕事とわかっているなら、体調管理はしておかなきゃいけないんだよ。病気になるなんて論外。仕事を舐めてんだ」

なるほど。一理ある。

そう感じた。

そこには、仕事に対する崇高な精神があるなと感心した。


でも、それは一瞬だった。

その後に僕を襲ったのは、ドス黒い鎖に縛られた僕たちの姿・・・・・だった。



会社のために、休日を抑制する。

その姿勢の先に待っているものは、いったい何だろう?


+++++++

労働基準法における年間休日数の下限は105日となっており、完全週休二日制なら120日以上付与されていることになる。

年間120日の休日に年次有給休暇を加えると、140日以上仕事を休めることになる。(年次有給休暇の付与数は継続勤務年数によって変わる)

140日となると、年の約38%は休めることになるので、かなりの日数に感じる。また、有給休暇なので、これらをフルに休んだところで給料が減らされるわけではない。

年間の勤務日数が225日(365日ー140日)で、勤務時間が8時間とすると、年間に会社に捧げる時間は1800時間だ(225日×8時間)。

1年は8760時間だから、会社に捧げる時間は約20%になる。

これを多いとみるか、意外と少ないとみるかは、それぞれの価値観次第だろう。

あなたは、どう感じるだろうか?



この世のほとんどのモノはお金で買えるが、絶対に買えないものがある。それは時間だ。

だから、時間は大切なのだ。という話では終わらない。

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