壊れたからってラクになれると思うなよ
ある先輩が、心を病んで休職した。
そのとき、僕はそう思った。
僕は現在本部に勤務しているが、過去にも在籍していたことがあり、2回目の勤務になる。
1回目の時は兵隊として招集され、まあかなり乱暴に使われていたからTHE・本部といった仕事はさせてもらえなかった。なので、本部に対する観察もそこまでできていなかった気がする。
2回目(現在)の配属は最初から課長として赴任してきたので、それなりに責任があるポジションとなった。
そうなってやっと、本部を俯瞰してにられるようになった。
そこで目に入ってきたのは、かつての猛者たちの「終局」だ。
これまで支店や本部で強権や狂気を振り撒いて恐れられていた人が、出世レースから脱落し、閑職に回されている。または、気力がごっそりなくなって干物みたいになっている。
加齢による意欲の減退は間違いなくあるだろう。それはわかる。
長き戦いの末、敗れた人が増えていく。そして、自分もこうなるかもとの思いもよぎる。
お疲れ様でした、とお声をかけたくなる人もいる。
しかし、中には「お前の過去はいったい何だったんだ」と問い詰めたくなる人がいる。
そして、そのうちの何人かに、どうしてもぶつけたい言葉がある。
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現在、Aさんは本部で勤務している。
席がある部署は検査系の部署で、本来ならかなり年配の社員が配置されることろだ。明確に左遷部署といえる。
Aさんはまだ50歳で、そこに配置されるには若いが、もう最前線には置けないとの理由から配属されている。
では、Aさんはポンコツであったかというと、そうではない。
明らかにシゴデキと目されていた。
営業マン時代もトップクラスの実績を上げ、支店長になってからも活躍しており、経営陣からの評価も高かったと思う。
その一方で、部下には厳しかった。いや、極めて厳しいと言った方がいい。
彼の部下からは、その厳しさに対する恨み節が聞こえてきた。特に、できない部下にはとてもつらく当たっていた。
そんなAさんとたまに話すこともあったが、まともな人間ではない空気がビシビシ伝わってきた。
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