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【たんたた短歌】オレンジ色はつよい

もういちまい ほっとけーきを つみあげて 
はこんでくるよ オレンジのこ
 

うちの絵本の本棚は、西陽があたる場所に置いてあるのだが、『しろくまちゃんのほっとけーき』*は元気なオレンジ色だ。黄色みを帯びた本は背が焼けやすいのに、背と表紙は色あせない。

主人公のしろくまちゃんは、眼の周りがオレンジ色のふちどりがある。
クライマックスのホットケーキが焼けるまでのあの場面。次第に焼けていく様子を表現したふらいぱんが11個と、皿に載ったホットケーキが並ぶ。この名場面の背景も、ラッキーカラーのオレンジ色だ。

しろくまちゃんは実は、本の中でエプロンを3回変えている。   1. 料理用のオレンジ
2. 食事用の緑
3. 食器を洗う時の青
どれも縦のストライプ。お気に入りは料理用につけていたオレンジなのだと思う。つけている時間が一番長いので。

途中でしろくまちゃんとお揃いのオレンジの縞のエプロンをつけた、そっくりな大きな熊が登場する。2場面しか描かれていないけど、火を扱うので、ずっと枠の外にいるはずだ。
最後にしろくまちゃんがこぐまちゃんに『おかあさんと いっしょに つくったの』と、教えているので、大きな熊はお母さんなのだとわかる。

しろくまちゃんのお母さんはえらいと思う。
冷蔵庫を開け、取り出した卵を割っても、
混ぜるとき、ボールから生地をこぼしても、
あつあつのホットケーキをたくさん積み上げても、
怒らないから。
しろくまちゃんがホットケーキを載せた皿を運ぶときもあれこれ言わない。こんな心の広い人になりたいと思った。黙って床を拭く人に。私にとっては難しいことだ。

家族は絵本の真似をして、自分で焼いたホットケーキを重ねて積み上げるようになった。私自身はホットケーキを焼く回数は減ったが、お好み焼きを焼いても、チヂミを焼いても、重ねてしまう。どうせなら、オレンジ色の皿に積み上げたい。

*『しろくまちゃんのほっとけーき』わかやまけん/著 こぐま社/刊

こぐまちゃん短歌 夕焼けタンス短歌同好会

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