ララバイ続くよ、季節外れの詩
最近よく架空の四文字Tシャツを妄想しております。例えば「常時鼻炎」とか「樹齢千年」とか……ことわざシリーズだと「馬耳念仏」とか「二階目薬」とか……ふふふ
言葉の添え木様のお題で作った詩を4編、吟遊詩人K.様の朗読企画#GW詩祭りへの応募作品1編、オリジナルお題の詩を1編お送りします。
春に作ったものが多く、タイトル通りの季節外れの詩になっております_(._.)_
季節外れの詩
春だけ、こぽっと
「季節」から外れました
経年劣化でしょう
またボンドでくっつけときましょう
これで安心
「心」から、こぽっと
春が零れ落ちる時期
ぼんやり春を手に乗せて
もう慌てない不思議
溶けかけの氷を噛んで
ボンドが乾くのを待ちます
続
三両編成で走り続ける
鉄の待合室
乗車と降車が回り続ける
誰とも待ち合わせず
誰とも待ち合わせて
右に友と小さく語らう誰か
ページをめくり続ける私
左に眠り続ける誰か
正面に空席の誰か
終点の待ち合わせ
夢の果ての続き
想像
ページをめくる手が止まる
メヌエット
大円舞ほど派手ではない三拍子
蛙が跳ねる
モノクロの滑走路
響くメヌエット
蛙の手を見る
弾き終わる頃には
飛び立つだろう
彼方へ飛ぶだろう
メヌエットの助走
か、え、る、の、う、た、が
聞こえてくるよ
新しい君(吟遊詩人K.さんの朗読企画#GW詩祭りの応募作)
新しい日を積み上げて
君が完成していく
積み上げた日々の99%は
過去の日々
残り1%は新しい生活
甘くても苦くても
新しい君になる
完成のタイミングを決めるのは君
人生で最も風光るのは
いつも今この瞬間の君
ララバイ
若葉からララバイが
絶え間なく聞こえても
眠りたくない
眠ってしまえば楽なのに
分かっているのに
眠らない
どうしてララバイ
ララバイは動詞でもある
ララバイどうして?
目が覚めなくなるまでの旅
起きていたい
できるだけ
見つめていたい
忘れもの(オリジナルお題)
スケッチブック、日記帳、録音テープ
一枚だけ、一行だけ、一言だけで
残された忘れもの
ありあまる空白
埋まる予定だったかどうかは定かでないが
忘れるつもりでなかったのなら
忘れることができなかったら
雨降り忘れものセンターで
落ち合いましょう