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冬枯れの山に住む

こないだの強烈な雨風で紅葉が落ちた。万騎が原の山も冬枯れてきた。

紅葉が落ちきるまえに大山に行きたい。

ねえ、大山行かない?石段だって結構のぼれるじゃない?

 山?わざわざ山に行ってどうするの?
ここが山よ

母はにべもない。元気の証ならそれでよし。あっさり引き下がる。

近くの公園に花を植えに行った。パンジービオラの鉢をいくつか地植えに。遊んでた子どもたちが寄ってくる。

この花好き。あたし、絵描こうかな。

習ってるらしい。水彩画かな油絵かな。

植えるの手伝いたいとせがむ子もいた。土だらけの鎌を見せたらびっくりして固まる。遠くから見たら危ない大人と心配されそうだ。

使い慣れた祖母の形見。100均のシャベルとは感じが違う。幼い目には怖かっただろうか。

花綺麗。あのね、これポトっと落ちてたの。

可愛いクマのアップリケがついたハンカチを見せる子もいた。目が潤んでいる。

人といて、大方予想通りの受け答えに慣れきったわたしには子どもたちの反応がキラキラ煌めく。役所勤めで身についた想定問答も考えものだ。

真っ直ぐに花を見つめる子どもたちが眩しい。わたしにもそんな時期があったはず。

あの子、花の写生に来るつもりかな。わたしも幼い頃、絵を習っていた。

またやろうか。余生の手習。いまさら下手は気にならない。この一年なんでもビギナー気分に磨きがかかってきた。




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土庫澄子
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