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岩崎弥太郎の師



おはようございます。今日も暑いですね。
知人で、才能もあり、努力もして、プロ意識も凄い人がいます。
自分の納得のいくパフォーマンスができる分野じゃないと、自分の作ったものを出したくない。それが徹底してる人です。

人間としてもかっこいい、と、私は、思っています。
私が、趣味でシナリオ書いたりボイスドラマを作っている関係で知り合った方で、声の仕事をされる方なのですが、一流のアスリートみたいな気構えで、本当に人間として、尊敬しています。

本人にとっては、それが、当たり前なのだと思いますが、いろいろいろいろかっこいい。

それに対して、私は、それがいいかどうかは別として、自分で自分のことを一度も、クリエイターと言ったことはありません。
精神も体も弱い。作るものの出来が、どうしても甘い。でも、甘さを克服できない。

自分の拙さ、作品だけでなくて、自分の精神的な幼さが、どうしても痛々しくて、それでも、何かを出さないことには何も始まらないので、書いたり作ったりしているという感じがあって、その辺はとても葛藤しています。

でも、みっともない自分をネタにしてでも、何かを書くのが、書き手というものなのかもしれませんが。

本編に関係ない余計な前置きが長くなりました。
積読していた「竜馬がゆく」といい小説を今、読んでいます。
ずいぶん昔に、買っていたのですが、なかなか読めないでいました。
司馬遼太郎が書いた名作ですが、その中に、こんな話があります。

今回ご紹介するのは坂本竜馬の話ではありません。

竜馬と同じ、土佐出身の「岩崎弥太郎」の「師匠」の話です。
あくまで、小説からの引用なので厳密な史実ではなくて、脚色がある内容があるかもしれないということは、ご承知おきください。

その小説の中で描かれている弥太郎と弥太郎の父、

岩崎弥太郎が息子
岩崎弥次郎が父
です。

弥太郎も弥次郎も、非常に癖の強い乱暴な人たちで、弥次郎が酒の席で揉め事を起こし、投獄されてしまいます。

当時、弥太郎は江戸に行っていたそうですが、すぐに戻ってきて、弥次郎を開放しろと、奉行所に物凄い抗議をする。
賄賂が動いているのを知っていたので奉行所の壁に
「役人は金と感情で裁判をする」
というようなことを大きく書いて抗議。

弥次郎を開放した上で、弥次郎と対立した人を逆にみな投獄すべきだと主張。

しかし、岩崎親子と対立している人たちは、さらに役人に賄賂を渡して、弥次郎も投獄されてしまいます。
役人も弥太郎の要求があまりにも苛烈だったので、うんざりもしていたかと思います。

牢獄で、弥次郎は人生を変える師匠(?)に会います。
なぜ、牢獄で師匠に出会ったかというと、その師匠は闇業者みたいな人で、役人の許可を得ないで木材を伐採して他の地域に売っていたから逮捕されていたのです。

当時は、主要な生産物は、専売制になっていて、藩が管理していました。
だから、勝手に木材を伐採して、売りさばくというのは犯罪行為です。
それで、師匠は投獄されていた。
そういうきっかけで師匠と弥太郎は出会いました。
お互い投獄中なので時間はいっぱいあります。
弥太郎は師匠からあることを学びます。

何を学んだのかというと「算術」と「商売のやり方」です。

弥太郎は、金があるか無いかで、人間がどう扱われるかというのを嫌というほど思い知らされていました。

その上、当時は幕末。

黒船がやってきたり、江戸幕府がおかしなことになっていて、時代が変わるということも、なんとなく感じていたかもしれません。

「これからの時代は金と商売だ」

と言って、武士であったのに、商人の道を突き進みます。

多分、ご存じの方も多いと思いますが岩崎弥太郎は「三菱」の創設者です。

有り余る才覚があったのだとは思いますが、投獄されて、自分の人生を大きく変える人に出会いや学びをする。

そんなことがあるんですね。

そんな凄い人にならなくても、何かが大きく動くときというのは、自分では予想がつかないような、思いがけないきっかけがあるのかもしれません。

蛇足ですが、師匠と別れるとき、岩崎弥太郎は「この御恩は、私が出世したあかつきには、大金でもって報いたい」といい、師匠も「せいぜいがんばれ」みたいなやり取りがあったみたいです。

でも、弥太郎は、本当に物凄い成功をしました。そして、約束通り大金をもって報いようとしました。
当時の師匠は、山の中で貧困生活を送っていたのですが、
「物乞いになるつもりはない」
と言って、金銭を受け取らなかったそうです。

困窮しているのにお金を受け取らないというのは相当な人です。

貧困でなくても、変なお金をたくさん受け取ってしまう人が多いのに……

名前は伝わっていませんが、投獄されるようなことをする人でありながらも、大変な気骨のある人物だったのだと思われます。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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