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名前が言えなくなった娘

長女の吃音

ちょうど次女が1歳を過ぎ、二足歩行するようになった頃。
長女3歳半。ある日突然、自分の名前が言えなくなった。
言おうとすればする程、吃って(どもって)しまう。所謂“吃音”だ。

あれ?様子がおかしいな、と思っていたらみるみるそれは悪化し、「ママ」と「パパ」も言えなくなった。

本人もこの言葉だけは言えない、と気付いたのだろう。自分を「女の子」、私と主人をそれまで呼んだことのない「お母さん」「お父さん」と言うようになった。

「ねーねー、お母さん、女の子はお腹が空いたー!」
。。。というように…


心当たり

私はすごく自分を責めた。
そして、何が原因かと思い返せば思い返すほど、思い当たる節がたくさん出てきた。

たしかに次女の自我が芽生えだし、動きも活発化し、娘2人の世話がグンと大変になっていた時期だったから。
いつもせかせか、イライラしていた。
辛うじて意識して作っていた笑顔の裏には、全く余裕もなかった。笑顔が消える瞬間もたくさんあった。
子供は繊細だ。微妙な表情の動きや感情を読み取る天才。きっといっぱいいっぱいな私を読み取って、たくさんの我慢を強いてしまっていたのだろう。。

とりあえず悩んでも仕方ない!
まず前に進むために、長女の吃音を悪化させない為に、今できる事を考えた。
そして一つの決断と、一つの行動をとった。

一つの決断

長女は1歳半からインターナショナルプレスクール(英語保育学校)に週3日、4時間半通っていた。
とても楽しんでいたし慣れ親しんでいたが、退園を決めた。

言語的なストレスを排除する為だ。
通園したことが原因であったかどうかはもちろん定かではない。しかし、1%でも可能性があるなら、それは取り除いてあげよう。

急ピッチで日本の幼稚園を探した。
4月からは楽しく新しい幼稚園に通っている。

一つの行動

次に、専門家を頼りたい、と思った。
吃音についての知識はもちろん0。本やネットのような一方向的な情報だけでは不十分だと思った。

早速区役所に問い合わせ、地域の療育センターを紹介していただいた。
しかし、なんと3ヶ月先まで予約いっぱい。

予約手段も、月に1回、決められた日の9時に電話予約での受付とのこと。
人気アイドルのコンサート?!のような争奪戦が繰り広げられており、まずは電話が繋がれば奇跡、だった。

しかも勝手に指定された予約日の9時は学校の送迎やら予定があり、中々その日時に電話を持って構える、みたいなことは困難を極めた。
働いてる方なんてどうしてるんだろう。。

色々な伝手で調べて調べて、幸運にも私は大学病院の耳鼻科が小児の吃音を専門に見てくださる、との情報を得た。
インターネットでの検索エンジンではヒットしない機関だった。

こんなに苦労しないと辿り着かないのか。
世の中は情報で溢れているのに。。

そして言語聴覚士さんとの面談で、吃音は早い処置がとても大事だ、と教わった。
吃音が癖になってしまう前に色々見直して、環境を整えてあげることがとにかく大事だと。
早い段階で通院できたことは大正解だった。

解消できていないコト

このように私は素早く決断し、行動をとった。

しかし、「私」への対処はとれていない。
そう、私、とは吃音発症の原因であったかもしれない存在、だ。

自分が育児でいっぱいいっぱいになりストレスを抱え、そのストレスが娘に伝わり、
娘が知らず知らずにストレスを抱え、吃音という形でSOSを発した…
私はそんな風に思えて仕方なかった。

言語聴覚士さんに、
お母さまはご自身を責めないで下さいね、
と言われ、本当に救われた。
が、やはりどこかで、今までとこれからに対する不安と自信のなさが拭いきれないのだ。。

吃音をキッカケに

いくつかのことを考えるキッカケになった。

まず、子供を救う為には、まず母を救う事が必要だ、ということ。
子供が一緒にいる時間が長く、最も影響を受けやすい存在である母が笑顔でいられることは、子供の健やかな成長の為に最も大事だと気付かされた。

次に、早期英語教育への見直しだ。
グローバル化、ということで英語を幼少期から学ばせる事がある意味ブームだが、もう一度見直したい。
またそれがきっと合う子、合わない子がいるかもしれない?!、ということも知って頂きたい。

そして、専業主婦へのサポートだ。
働く女性は育休産休が明けると、保育園等に子供を預ける。しかし、専業主婦は基本的に幼稚園入園まで子供を一人で育てる。
しかも、0〜3歳という猛烈に大変な時期を、だ。

私は次女を妊娠し、悪阻に苦しんだ時期に長女をプレスクールに入れた。英語学習という建前もあったので多少罪悪感なく預ける事ができたし、こういったプレスクール以外で未就園児を預かってくれる施設がそもそもなかったからだ。
ちなみに、自治体のやっている一時預かり等の制度の利用は基本的に月に1回。これまた奇跡的な電話予約を通過した場合のみ可能だった。
待機児童が叫ばれる昨今、働きに出ていない専業主婦の子供にまで、もちろん手が回っていないのだ。

最後に、知りたい情報に到達することの難しさ、だ。
いつでもどこでもスマホでパッと調べる事ができる時代。何不自由ないようで、実は違う。
知りたくない情報が勝手に目に飛び込んできて無駄に不安を煽られる。私も吃音の件を調べれば調べるほど、知らないサイトから自分の育て方等を責められてるような気になって、本当に苦しかった。でも調べずにはいられない。少しでも有力情報を得たい。。
こうして情報の波に呑まれて私は溺れていた。

何がどうあるべきか

答えはわからない。
しかし、状況を改善できるアプローチがあるはずだ。
私はそんな事を日々考えながら、一生懸命、ストレスを抱えないように、子供たちと向き合っている。

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