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背中に刺さった釘
時刻は深夜1時、高円寺はまだ眠らない。
飲み会終わりに知り合いとラーメン屋の暖簾をくぐった。
飲み会は高円寺の主みたいな人が主催していて、今回はその主が三重へ移住する送別会も兼ねたその飲み会だった。
仲がいい人もはじめましての人もたくさん参加した飲み会。
別れを惜しんだり、はじめましての人たちと沢山話したりして大変盛りあがった。
今回の飲み会には旅する喫茶店の店員さんも2人いて、彼らはあと2ヶ月でお店を辞めると先日知ったばかりだった。
悲しいお知らせはいつも突然にやってくる。
猫の余命が宣告された時と同じくらいショックだった。
主が移住することも、親しい人にとっては突然だったのだと思う。
近くにあるものは、不思議とそれがあることが当たり前になっている。
だから終わりが分かった途端に寂しさが膨らんで惜しむべきものに変わる。
都合のいい感情だなって思いつつ、だから大事にしたいのかも。
飲み会はご飯を食べる会というより、お酒とご飯を潤滑油にして、コミュニケーションをとる場だと私は思っている。
だからエネルギーは消費するし、お腹は満ちない。
店員さんはこのあとラーメンを食べるというので、一緒に行くことにした。
記念写真を撮ったあと、主を慕う芸人の男性が「今日が最後なんです、二次会行きましょ」
って言ってきた。
酔いと寂しさが混じりあって、ちょっと強引だった。
でも分かる。
が店員さんはラーメンを食べに行くらしい。
だから私もラーメン。
昔から、会社の飲み会や、誰か偉い人や影響力を持つ人が参加する飲み会、二次会はちょっと無理してでも行った方がいいのかな、って思うことがあった。
出会いがあるのかも、とか色々思って。
が実際行って、良かったことはあまり無い。
だから仲の良い店員さんがお店を去るまでの時間が惜しくて、ラーメン屋に行くことにした。
暖簾をくぐろうとした時
「何勝手にラーメン行こうとしてだよ!」
芸人の言葉が背中に刺さった。
光る香味油、
たっぷりの切り落としチャーシュー。
エロい。
早く食えと誘ってくる。
じゅるじゅじゅる〜、はふはふ
麺をすする。
スープを飲む。
3人ともラーメンをすする。
言葉が少なくても、一緒に飯をくう、その時間がご飯をいっそう美味しくさせる。
たまに世間話を挟みながら、貪る。
1人が
「うめぇ、今日めっちゃうめぇ」
って言った。
芸人にとってヌシがとても大事で惜しいように
店員さんとの時間も私にとってとても惜しい。
飲み会で、保護猫の仕事をしている、と自己紹介で言うと
「わかる〜、猫みたいだよね」
ってみんなに言われた。
大正解。
猫は気まぐれ、個人主義。
だから自分が行きたい方に行くのだ。