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最近買ったZINEの感想文(1/4)『KUNIBIKI』NNさん

今年はZINEをたくさん買ったなあ。
同人誌が好きというのもあるけど、なんか今年は孤独な作業がずっと続いていて、よく知った仲間の書いた作品に、とにかく触れたかったようだ。

さみしかったのね。
ひとりの時間を大事にしたい私でも、あまりに孤独だと人のぬくもりを求めてしまうのね。

最近読んだ4冊の感想文を、4回に分けて書きます。今日はその1回め。

『KUNIBIKI』 NN著(ウミネコmini文庫)

著者のNNさんは、アニメや映画、漫画原作を始め、作詞までなさるプロの文筆家です。いまは業界から離れていらっしゃいますが、そんなすごい経歴をお持ちの方の小説ならぜひ読んでみたい! 

しかも表題作の『KUNIBIKI』は近未来のスモー(相撲)がテーマとのことで、どんな内容なのか全然想像がつかない。興味津々で購入しました。

『KUNIBIKI』NN著。とても丁寧なパラフィン包装に、しおりまでついた豪華な文庫本。(発行:ウミネコ制作委員会

読んでみて、いちばんに驚いたのは疾走感です。もう、ものすごいスピードで話が進む、進む! 取り遅れてはなるまいと必死に食らいついているうちに、あっという間のエンディング。

私がこんなことを言うのは僭越ですが、プロの筆力というものをひしひしと感じました。この続きが早く読みたい、先を知りたいと思わせる。読者をぐいぐい引っ張る力のある人がプロだと聞きますが、まさにそのお手本のような本でした。

話の内容も、私なんかじゃ考えつかないような突拍子もない展開が最後まで続きます。こういう設定や舞台をどうやって思いつくのかしら? とにかく楽しくて、遊園地でさんざん遊んだあとのような満足感を得ました。

この本にはもう1篇『タツミヤアカネものがたり』という短い小説も収録されています。これがまた予想外の展開でびっくり! 私の好きなタイプのお話です。少ないページ数でこれほど濃い物語を書ける、また、NNさんならではの個性を存分に発揮していらっしゃるという点においても、やはりさすがと唸るしかありません。

エンタメ性のとても高い、明るい気持ちにさせてくれる1冊です。

(『KUNIBIKI』のほか『バーもののけ』という新刊も販売中です)


NNさんの短い小説『メリー・クリスマス』。楽しくてほっこりします。

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猫野ソラ
最後まで読んでくださってありがとうございます。あなたにいいことありますように。

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