noteで得た(たぶん最後の)ビッグチャンス/ピントを合わせる
トップ画像の絵は「みんなのフォトギャラリー」にある「世界の美術館」から選んらゴッホの作品です。
最初、なんか適当に描いてんなあって印象を受けたんですが、色使いといい筆運びといい、あたりまえだけど超ゴッホ。
目を引くおもしろい構図の中に、通路を左側へ入ろうとしている人の姿が見えますが、こんなちっこい人物像なのに、この人の好奇心やドキドキ感が伝わってくる気がします。だだっ広い回廊の中にただ一人配置されたこの人物。
やっぱゴッホは只者ではない。
私は漫画を描いていまして、(当人は不遇だったけれども)ゴッホみたいな偉才の持ち主ならよかったのですが、ごく平凡かつ不器用なために、ひとつの作品を仕上げるまでにたくさんの壁が出現し、いちいちそれを乗り越える努力をしています。
具体的にはネーム(絵コンテ)の直しです。自分一人で描くぶんには、別に直さなくてもよかったんですよ。勢いのまま描いて仕上げて公開して、読んでくれた人と少しの交流を楽しめたらそれで100点満点だった。
ただ、いまは商業漫画家をめざしているため、自己陶酔したままフィニッシュ! というわけにいかなくなりました。不特定多数の読者の姿をきちんと想定し、彼らから求められているものを十分提供できる水準に達していなければ、提出したネームが何度も突き返されるのは当たり前です。
プロ漫画家で単行本も出されている、あまいろさん。
note企画「わたしのマンガを見て」を通して「週刊少年マガジン」編集部からスカウトされ、現在webサイト「マガポケ」での連載を目指されているとのこと。
まだお会いしたこともないし、話をしたこともありませんが、あまいろさんの作風が好きなのと、同年代ということもあり、個人的に応援している漫画家さんです。マガポケであまいろさんの連載作品を読むのを楽しみにしています!
すでにプロとして活躍されている方と肩を並べるつもりはまったくないのですが、実はわたしも同じ企画を通して編集さんから声をかけていただきました。あまいろさんは講談社で、私は集英社です。初めて「担当」というものがつきまして、現在「ジャンプ+」の編集者さんに、読み切り漫画のネームを見ていただいています。
……めちゃくちゃ冷静に書いてますが、初めて連絡をいただいたときは、
っしゃ! これ! ウソやろ! マジで!?
ジャンプ+!?!?
と、嬉しさと信じられなさで情緒が大崩壊しまして、ソファの上で100回ぐらい飛び跳ねました。
このような経緯で担当がついたことを、けれども私は内緒にしておくつもりでした。だって「担当ついた! ジャンプ+に私の読み切りマンガ載るからよろしく!」と公言したあと、結局ネームが通らずに縁切りされたりしたら、めちゃくちゃ恥ずかしいじゃないですか。
なので、ネームが奇跡的に通ってから言うつもりだったのですが、やりとりを始めてからはや2ヶ月近くが経とうというのに、一向に実現化の目処は立っておらず、このまま一生黙っていることにならないとも限らない。
なのでもう、ぶっちゃけることにしました。
漫画家をめざしている方に、私は訴えたいのです。
私(のような下っ端の、漫画も未熟な53歳、終わってる)にも、このようなチャンスは訪れるのだと!
そのきっかけを作ってくれたのはnoteなのだと!
「わたしのマンガを見て」企画に、私は4本も漫画を応募しました。どんだけ見てほしいねん! と自分でツッコむぐらい、やれる全てをぶつけました。プロ編集者からの講評ほしさに展開した「数撃ちゃ当たる作戦」だったのですが、まさかの担当までついてくれた!
こんなチャンスは私にとって最大最後のラッキーに違いない。後がありません。いま取り組んでいる漫画に全魂を賭けて注力するために、今年の「創作大賞」は泣く泣く見送りますが、本気で応募される方の夢が叶うことを心より願っています。
手にしたチャンスを活かすのは自分以外にないので、私は私が得たチャンスに全力で挑みます。ぜってーモノにする!
夢を追いかけるみんな。共にがんばりましょう!
というわけでここからは、普段メンバーシップおよび有料マガジンで書いているような内容の、私なりの漫画道、というより私のもがく姿を、今回無料でお届けします。少しでも役立つ情報があれば幸いです。
漫画を作るとき、私は大抵冒頭シーンをまず思いつきます。4ページ分ぐらい話ができたら、これはイケる、と思う。この流れで最後まで、30ページぐらいの漫画が描けそう。
そう思えたら、紙のノートにボールペンでざっとプロットを書きます。オチまで決めて、メインキャラの顔をざっくり作り、ネームに突入する、というパターンです。
いままでずっとそうやって漫画を描いてきました。
けれども、そうして描いたネームが何度も返される体験をして初めて、このやり方ではダメなんだとわかりました。
いったい何がダメなのか?
編集さんから「テーマからずれている」と指摘され、テーマに添うよう直してもまた「違う」と返されます。編集さんは丁寧にどう違うかを説明してくださるのですが、会話をする中でどうやら私は「テーマ」そのものをわかっていないと気がつきました。
「テーマとは何か?」
ヒントを探してネットをさまよっていたところ、出会ったのが漫画名編集長ムラマツさんです。
私のネームはまさにソレ! 大体そういうことを担当さんから言われるんですよ。
どーすりゃいいの? 教えてくださいムラマツさん!
はうあ!!!
ぐぐぐ具体的にプリーズ!
ふむふむ。
え、違うの!?
そりゃそうだ。
なんと!!
テーマってそんなに深掘りするのね・・・・・・!!!
ごくり……。
ぎゃーーーーー!
めちゃくちゃわかりやすいやんけ!!!
もうね。
自分がいままでいかに適当に漫画を作っていたかが、身に沁みてわかりましたよ。
ただ描きたいシーンを並べてなんとなくひとつの話にまとめたように見せかけていただけ。
そんなつもりはなかったんですよ? 自分ではきちんとした漫画を描いている気でいたんですが、まったくもって思慮が浅かった。
ムラマツ編集長、貴重な情報を公開してくださってありがとうございます!
ムラマツさんの質問箱「mond」も、悩める漫画家さんに超オススメです。
ここからは自主練です。過去作を反省してみる。
『永友』という私の漫画を、「テーマ」に着目して振り返ってみると……。
<私の思い>
ヴァンパイアが描きたい。血の代わりに「愛」で生き永らえるヴァンパイアと、最後に共に生きることになる青年。この二人の友情物語を描きたい。
<テーマ>
「二人の永遠の友情」。
<反省>
テーマが大ざっぱすぎた。28ページと短い漫画だし、もっと軸になるわかりやすいテーマを考えるべきだった。
<新しく考えたテーマ>
「二人が互いをなくてはならない存在だと強く認め合う話」。
<改善点>
・ヴァンパイア(レオ)と人間の青年(マーク)、この二人だけの強い絆を見せるエピソードをあと2つ追加する。
・レオとマークの叔母(シルヴィ)とのロマンスはカットする。(テーマに直接関係がないので)
ほかにも工夫できる点はたくさんあると思いますが、シーンを整理しただけでもずいぶんすっきりした印象になるかと想像します。
この漫画を『Nemuki+』のマンガ新人賞に応募した際いただいた講評の中で、「(二人の永遠の友情が結実する)ラストシーンに納得感がなかった」と書いてありました。テーマに関係ないシーンをいくつも読まされたために、肝心の二人の絆がそこまで強く感じられないと判断されたのではないかと、いまでは思います。
私の漫画はまだまだこれから。いまからスタートです。
心をすっかり入れ替えて、ナウでヤングな20代の気分で、いまの担当さんにおもしろがってもらえる漫画を描きます!
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