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親しい人のZINEは2倍の旨み
noteで知り合った友人、くにとみゆきさんのZINEを購入した。小説『ねなしぐさ』とエッセイ『吾輩は猫が飼えない』の2冊である。「である」と書いたのは、どうしたって想起する『吾輩は猫である』の語尾から来ているのである。
2冊の表紙の色味がみゆきちゃんっぽいなあ、と思えるほど、私は著者と仲が良い。
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こういう色の服やバッグを身につけたみゆきちゃんに、私は何度も会っているのだ。この本は見た目からもうみゆきちゃんの分身だ。
中身は更に彼女である。彼女自身が濃縮されている。小説『ねなしぐさ』は自身と同じような構成の家族の話。それだからか、妻の思考や行動がやけにリアルに感じられる。みゆきちゃんとは全く違う人の話なのだけど、妻の中に著者もいる。息遣いが感じられる。
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今朝一気に読んだばかりのエッセイ『吾輩は猫が飼えない』は、そっくりそのままみゆきちゃんであった。エッセイだから当然と言えば当然だが、完全無欠に著者そのものが、動いて喋って考えている。
半年前に『ねなしぐさ』を読んだとき、私は向田邦子さんの小説を思い浮かべた。視点や表現、物語の組み立て方が、向田邦子さんの作品のように洗練されており、かつテレビドラマで見たくなるような親しみやすさを感じたのだ。
一方で『吾輩は猫が飼えない』ではどの作家も頭に浮かんではこなかった。そこにはみゆきちゃんしかいない。隅から隅まで見事に彼女なのである。
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猫が大好きなのに事情があって飼えない著者のZINEに、いちいち猫を絡めて写真を撮り、こうして並べる私を彼女は決して怒らないだろう。自分は猫が飼えるからって何さ! とはならない。そのぐらい遠慮のない信頼関係と愛情の行き来が、彼女と私の間にある。
私はこの2冊のZINEを著者の手から直接買い受けることができた幸せ者であるが、それが叶わない人は彼女の店『ふづき書店』を訪れてみてほしい。
『ねなしぐさ』だけ在庫がまだあるようだ。
くにとみゆきの綴る文章のファンは多い。すぐに売り切れることが私にはわかっていたので、事前に取置きを頼んでおいた。正解だった。
著者と親しい仲であると、書かれている内容が2倍味わえる。彼女の次のZINEもいまから予約しておくとしよう。
(『吾輩は猫が飼えない』の表紙にちょこんと座っている小さな猫のイラストは、以前みゆきちゃんからオーダーいただいて描いたもの。こんなところに潜ませてくれる彼女のセンスに惚れ惚れする)
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