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眼前に広がる海原の向こうへ
こんにちは、ねこです。
約2ヶ月ぶりのエッセイとなってしまいました。待ってくださった方がいたら、なかなか書くことができなくてごめんなさい。
2月の末から3月のはじめ頃、件の流行り病にかかってしまってからというもの、なかなか気分が上がらず、ずっと文字とにらめっこしているような日々でした。もうすっかり元気になり、ようやく書いてやるぞ!という気持ちになれたので、またまっさらな場所に文字を落としています。
さて、ここ最近は春の気候どころか夏の光や風が訪れ、桜もいつの間にか満開になり散っていく、早足に季節が過ぎていくのを感じています。みなさんはいかがお過ごしでしょうか。春というのは、憂鬱になってしまうことも多い日々ですから、無理をせずゆっくりと生きてくださいね。
家に籠っている間、窓の外にあった冬の気配はいつしか消えていて、あたたかな空気が流れていることに不思議さを感じました。こんなに家を出ないことなんてそうそう無いので、世界に置いてけぼりにされたような気持ちで。
久しぶりに吸った世界の空気は、どこかいつもより澄んでいたような気がします。頬を撫でる風のことが、肺を満たす春の空気のことが、肌を金色に照らす光のことが好きです。
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先月は、パートナーとの記念日がありました。そのいろいろがあって会うことができなくなり、いろんな予約していたものをキャンセルして、とても悲しかったことを覚えています。愛する人が悲しむ顔を見ることが、わたしにとってはいちばん。
だからこそ、次に会えた時はたくさんの幸せを分かち合おうと、たくさんの愛を手渡そうと、ずっと心に決めていて。会えない間、記念日にはなにをプレゼントしようかと、ずっと考えていました。
贈るなら、わたしの祈りを込めたようなものがいい。いつまたこんな風に、長い間会えなくなってしまうかわからないから、生きていられるかさえ曖昧な世界だから。
そんな風に考えて、ちいさなオパールの光るブレスレットを贈りました。オパールはわたしの誕生石なので、離れているときもきっとあなたのことを守ってくれるよ、という意味を込めて。この煌めきがどうか、あなたにとって微かな光となりますようにと。
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これからきっと、またいろんなことがあります。愛し合うだけではなくて、喧嘩したり、離れることがあったり、落ち込むことがあったり。それは仕方のないことだから、その都度またお互いを向き合って。
おそらく周りからどうこう言われることもあって、それでもきっと「いろんなことがあったけど、ようやくここに辿り着いたね」と言える日が来ます。互いに1をひとつずつ重ね合わせて行ったら、いつかきっと。
たくさんの人が言う形でなくていい、二人のままの形でいられたら、わたしはそれを愛しく思います。そんな言葉を、パートナーに伝えました。
あなたへと、希望と呼べる微かな光が差しますように。それが今、わたしの持てる両手いっぱいの愛だから。
きっと、その光はあなたの持つ海に反射して、わたしを照らすでしょう。そんな祈りを込めて。
このあたらしい一年も、同じ船に乗ってあの光が照らす波間の先へ。眼前に広がる海原の向こうへ。
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今日のエッセイはここでおわりです。
読んでくださって、ありがとうございました。
あたたかくなったり、さむくなったりが続く日々ですから、どうか体に気をつけてお過ごしください。よい夜を。